2023.8.1（火）雨 UBER日記
UBER19件配達。UBER週間30件クエスト達成。
東京は豪雨。ビルも車も人もその打撃の下になった。ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃ！ 粒が大きい。手数も多い。アニメのパンチの連打のようだった。だいあいあいあいあいあいあいあいあいあいあいあいあいあいああいあいあい！
雨はトリプル（3件ピックアップ）を抱えたUBER配達員（俺）の体も叩いた。何この雨の中俺3件も配達を抱えてるねん。
豪雨は悪くない。俺が悪かった。
そもそも出撃した時点で、もう、凄いのが降りそうな空模様だった。あとポツッと来た時俺は1件目を配達中で、ひとまず次は様子を見た方がいいなと思ったはずだった。でも何でかその後すぐに鳴った2件目を引き受けてしまった。そしたら土砂降りになった。
1件目を完了。2件目へと向かうに二の足を踏む配達先の軒先で、俺の心を占めたのは2件目を受けた後悔だった。何故俺はあの時…。ばしゃばしゃばしゃばしゃ。またスマホが鳴る。1件も2件も同じか。ばしゃばしゃばしゃ。俺は新しい注文を受けてしまう。注文はダブルだった。すでに引き受けている2件目に合わせて俺はトリプルを抱えることになった。雨止まないかなあ。局所的豪雨って割とすぐ止んだりするんだよねー。10分ほど俺は軒先から動かなかった。
配達は難儀した。土砂降りの中でスマホは上手く動作しないとしたもので俺は軒先に退避してはスマホを開き、軒先に退避してはスマホを開きして、業務した。東長崎から北新宿の間で3件配達した。
実のところ普段はやらない雨宿りが功を奏してはいた。3件分のピックアップと1件目の配達は知ったぐらいの雨の中での配達だった。ふつうだった。豪雨を食らったのは2件目に向かう途中だ。山手通り中井駅付近だ。2回目のピークがきた。雷鳴が轟き天地がひっくり返った。ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃ。視界が雨にけぶる。街並みは色を失って灰色のモノトーンに。暗い。昼時と思えない。風も強くなり雨は横殴りだ。
あ。
そういえば俺、部屋の窓を開けたままだ。パソコンがやばい。配達をうっちゃって自宅に帰る勇気が欲しい。
俺は帰らなかった。勇気の欠如？配達の責任感？ ともあれパソコンの無事を祈るだけしてトリプルの2件目を完了、残すところあと1件とする。最後の住所がスマホに現れる。あらー、住所の欄にマンション名と部屋番号の記載がない。これは一軒家に配達だ。
一軒家は的が小さく同じ番地に複数の家が建つ場合がある。マップのピンはアテにならない。表札で探す。それがたまに見つからない。一軒家がこのタイミングで来るのかよ。おもしろい！（おもしろくない） オラわくわくしてきたぞ。
俺は軒先に退避してスマホを開き軒先に退避してはスマホを開きして、東中野駅の脇を下った。下りきった曲がり角の軒先で目的地はもうこの通り沿いだ（区検通り）と確認する。あと1回、軒先に入って、そこからは自転車を捨ててお宅を探ることになるだろう。
俺は再び自転車にまたがる。雨勢に衰えはない。ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃ。
1分ほど区検通りを南下。勘だとこの辺りというところに、ガレージを発見。とりあえずあそこに入ってスマホを開くべし。つって人の家のガレージなんだけどね。俺は自転車を滑りこませる。あいた！ ガレージの中に人影がある。「すいません。軒先をちょっと貸してください」
人影が口を開いた。
「オー！ ユーアー マイ ヒーロー！」
人影はお客さんだった。ガレージのお宅は配達先だった。ビンゴ。俺の勘がすごい。
お客さんは代金を用意してガレージのベンチに座り、ごはん（UBER）を待っていたのだった。彼女が目をやるガレージの外はバケツをひっくり返した豪雨だったろう。その帳を開いて俺の自転車が現れたのだ。ヒーローは言い過ぎにしても、あるいは劇的だったかもしれない。
俺も彼女のユアマイヒーローにうまく返せれば良かったのだが瞬時にうまいのを思いつけずガッツポーズだけした。何て返せばよかったのかな。
✕「エイドリアーン」
〇「ノーイッツマイビジネス」
なんだかんだ体験としては面白く、同日の数時間後、別件のピックアップ先で「雨凄かったですね」と話を振られた時、この体験を話した。おーゆあまいひーろー。スーンとされた。オレの喋りがへたくそだった。面白かったのに。キミには伝われ。
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