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#843 漫画論67|ゴーマニズム宣言 差別論スペシャル

前回の漫画論でゴーマニズム宣言について紹介しましたが、その中から「差別」に関しての回を取り出して、書下ろしと対談を載せて、オムニバス形式で特別編としてリリースされた「差別論」を紹介しましょう。

そこに紹介されている作品は、基本的に前回紹介したゴー宣で読めるのですが、なかなか衝撃的な内容が多く、初めて読んでから今でも鮮明に覚えているくらい、かなりセンセーショナルな作品でした。

前回のゴー宣の紹介では、重複すると思ったのであえてこの辺に関しては触れていないので、是非チェックしてみてください。


ゴーマニズム宣言で紹介された「差別」について

1.差別だらけの社会を糾弾せよ!(ゴー宣1巻)

高校の頃、この話を見て戦慄が走った記憶があります。
小学校の授業で、過去の日本の歴史で「士農工商」の下には、「穢多(えた)」と「非人(ひにん)」という身分があったが、それはあくまで昔のファックな風習で、身分解放令以降、近代化した日本ではもう無いと聞いていたのですが、そうでは無かったという内容でした。

そして、この中でよしりんが「どうしょうもなくも無く悲しいことだが、すべての人間の心の中に、自分のプライドを満足させる為に差別の心は潜んでいる」と定義した内容は非常に重かったですね。
マーシーのリリックが染みます。


2. 青春の差別(ゴー宣1巻)

これも滅茶苦茶重いストーリーです。
よしりんが高校時代にいじめられそうになっていた時、よしりんを助けてくれたSには親友がいて、その親友が交通事故にあった際に、Sが即効駆けつけて輸血をしたそうですが、その時に上記のセリフを親友は漏らし、Sは居なくなったという話ですね・・・重すぎる話です。


3. 解同小森書記長に会う(ゴー宣4巻)

解同とは、部落解放同盟の略称であり、部落差の撤廃及び被差別部落の解放を目的とした集団なんです。
その書記長と対談をして、色々と語るのですが・・・
その中で印象的なのは「差別と言うものは資本主義において必要なシステムとして組み入れられていないか?」という質問で、思わず小森書記長も回答に詰まったというものですね。


4. ザ・部落ウルトラ解放フェスティバル(ゴー宣4巻)

この発想はエグイです。
部落出身の芸能人や政治家はたくさんいるという対談を、前述の小森書記長から聞いて、このような「ザ・部落ウルトラ解放フェスティバル」を開催して、部落がどれだけ凄いかを自慢してやろう!という発想。
小森書記長には一蹴されていましたが・・・

とにかく、そんな感じで日本に未だに蔓延る「差別」について、色々な角度から知る事が出来ます。


結局「差別」とは何なのか?

差別を知る上で、やはり「破戒」は読んでおかなければならない作品です。ベリーハードな内容ですが、一生忘れない作品です。
僕はこれを19歳の時に読みましたが、その時期に読んで良かったと思ってますね。


「差別」と「格差」は良く混合されがちですが、「格差」はあってよいんです。
この場合の格差は資本主義を指し、格差が無い世界は共産主義的な考え方になり、共産主義で成功した国は一つもないので、頑張った人が頑張った分稼いだりできる資本主義はあってしかるべきでしょう。

ただ「差別」は、よしりんも本書で言ってますが、スタートラインが平等ではないのがイカンという話ですね。
「格差」においては、スタートラインは一緒で、速く走った人が前に出れる、先にゴールに着ける、賞賛されるという類のものですが、「差別」だと早く走っても、自分のスタートラインが皆より遥か後方であれば、やはりそれはおかしいですし、本人の努力でどうしょうも無いものは辛いですよね。

よしりんも言っていましたが、残念ながら誰の心にも差別心はあるんですね。
なのでそれを受け入れて、自分はそうならないように一人一人自問自答を続けることこそが、差別を無くしていく方法なのでしょう。


まとめ

まとめるとベンジーもピンクの若いブタで歌っていましたが、「人種差別は良くない、永遠に」という感じです。

日本から完全に差別がなくなる日は来ないかもしれませんが、「人種差別は良くない、永遠に」という言葉を胸に刻んで、毎日を過ごすことが大事ですね。

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