#884 アルバム論61|HIDE YOUR FACE / hide(1994)
そんな感じで気づけば61回目を迎えるアルバム論ですが、本日から3回でhide a.k.a X JAPANの作品に関して紹介していきましょう。
hideとは?
最早説明不要でしょう。
1980年代後半から90年代に日本のミュージックシーンに革命を起こし、多くのフォロワーを生み出した伝説のバンド・X JAPAN、このバンドに憧れて音楽に興味を持った人は多いと思います。
そんなXの中でも、派手で、お洒落で、更には解散直前でYOSHIKIもTOSHIも落ち着いていく中で、最後まで赤い髪を靡かせて傾奇続けたのがHIDE(Xでは大文字表記)ですね。
僕の世代より少し上の世代がど真ん中であるものの、hideに憧れてギターを持った友人も何人かいました。あのburnyのオレンジのモッキンバードですね。
X JAPANの海外進出の準備や、完璧主義のYOSHIKIのこだわりなども相まって、ART OF LIFE以降はX JAPANの活動頻度がガクッと落ちてしまい、まずはTOSHIがソロ活動を初めて、追ってhideもソロ活動を開始し、ソロアルバムをリリースしたのは1994年でした。
HIDE YOUR FACEとは?
己の名前であるヒデ(HIDE)は、ローマ字で書くとHIDE、英語でいうと「隠す」の意味を持つ動詞になりますので、自分の名前とのダブルミーニングで「HIDE YOUR FACE(素顔を隠せ)」というタイトルでリリースされました。
とにかく!バラエティに富んだアルバムです。
hideの脳内世界を再現したと思われますが、とにかくポップであり、ロックであり、ハードコアであり、とにかく広く深い果てしない世界観です。
今聞いてもメチャクチャカッコいいですね。
中学生当時は王道の曲が好きでしたが、大学生になってから当時スルー気味だった曲のカッコ良さに気づいたり・・・そんな深いアルバムです。
先に買ったのはPSYENCEで、その後追っかけて買った記憶があります。
確か1996年、中1の頃ですかね。Xが解散する1年前でしたね・・・
HIDE YOUR FACE 魂の全曲解説
1. PSYCHOMMUNITY
hideのソロデビューはこのインスト曲で始まります。
hideの好きなワード「PSYCHO」と「COMMUNITY」の造語であり、猟奇的な交流を正に体現した、なかなか不思議な曲ですが、オープニングに相応しい名曲です。
hide的にもWorld Anthemを意識したようですが、その通りでロックでクラシックな感じで士気が上がる感じの曲で、どちらかと言うとDear Loserっぽい感じがしますね(最後のドラムとかの盛り上がる感じとか)
徐々にボリュームが上がり、冒頭はギターソロが孤独感を演出するんですが、徐々にテンポが上がり、仲間が増えていき、さぁ冒険の旅に出ようぜ!という勢いを感じます。この感覚、分かる人は分かってくれる思います!
そしてこの曲のYouTubeのコメントで言い得て妙があったんですが、「HIDE YOUR FACEというテーマパークの入場口で流れている曲」というのが正にズバリですね。
そんな感じで最高のオープニングで次の曲に繋がります。
2. DICE
そしてPSYCHOMUNITTYの勢いそのまま、恐らく極限までそぎ落とした曲間のブランクを経て、速攻2曲目のDICEのリフが始まりますが、クソカッコいいです。
とにかく疾走感がありまくる3rdシングルであり、まさに2曲目に相応しいキング・オブ・2曲目ですね。
年を取って昔のことは色々と忘れていきますが、この曲の歌詞とかは未だにソラで歌えるくらい覚えてますね。
「目の前にあるすべてのものが化け物に見える」とか、
「意識のパイプは断たれたままで十字を切れ」とか、
「儚さの代償 無駄に使い 垂れ流すリビドー」とか、懐かしいですねえ。
3. SCANNER
この曲もエッジが利いたロックンロールです。
いきなり始まるギターリフの勢いのまま最後まで続きますが、非常にゴキゲンでカッコいい曲です。
この曲は歌詞が良いですね。
Xの曲とは一線を画し、hideのコミカルな歌詞が魅力だったりするんですが、この歌詞でも「天国のアインシュタインも舌を巻く」「壁の中のモナリザも荷物まとめ夜逃げする」とかセンスが爆発しております。
ちなみにこの曲の歌詞は実在する人をモデルにしてるようですが、僕は真っ先にYOSHIKIが浮かびましたが、どうなんでしょうか?笑
トリビュートでLUNA SEAもカヴァーしてますが、静と動の感じが非常に◎。リスペクトを感じるカヴァーです。
4. EYES LOVE YOU
hideのデビューシングルですね。
とにかくデビューシングルに相応しい、超ポップな曲です。
兼ねてからhideはソロデビューの際は森雪之丞に歌詞を書いて欲しかったとのことで、雪之丞節が炸裂してます。
いきなり「赤い瞳はソドムの街で美しい女を採取する」で始まりますからね笑
とにかくポップな曲ですが、あんまり演奏機会は多くなかった印象ですね。
5. D.O.D.(DRINK OR DIE)
この曲は以前にも紹介しましたが、これまた大好きな曲です。
やはりX時代にはなかったコミカルな歌詞が非常に良いですね。
そんな感じで歌詞はふざけてますが曲はなかなかハードでエッジが利いていて、非常に楽しい曲ですね。
とにかく酒豪であり、酒を愛したと言われているhideらしい曲です。
「日本酒 バーボン ビールにアブサン 焼酎 テキーラ どぶろく」と酒名を連呼する歌詞と、「GAN!GAN!GAN!」のサビ、更には早くなるラスサビなど構成が非常に秀逸。ライブで鬼盛り上がる曲ですね。
6. CRIME OF BREEN St.
とにかく1曲目から5曲まではかなり重厚でヘヴィーな曲が並ぶので、ちょっと箸休め的なインタールードですね。
7. DOUBT
このアルバムを代表する、インダストリアルでラウドな曲です。
後のspread beaverやzirchでも再録しており、hideからも相当愛されていた曲であると推察されますね。
とにかく税所から最後までエフェクト欠けたボーカルが最初怖かった記憶もありますが、こういう前述のDICEやEYES LOVE YOUとかのポップなシングル曲と、このようなヘヴィーな曲が対になってこのアルバムを盛り上げますし、まさにジェットコースターとお化け屋敷が共存するテーマパークですね。
Mステでは黒い雨に打たれて歌うカオスな演出になっており、PATAが嫌がっていたようですね笑
8. A STORY
優しい曲ですね。
このアルバムで唯一のアコースティックな曲で、アルバムの癒しと言っても過言ではないでしょう。
テーマパークでいう所のメリーゴーランド的な感じでしょう。
9. FROZEN BUG′93
この曲はメチャクチャカッコいいですね。
初めて聞いた中学生くらいの頃は難解でしたが、洋楽とか重いのを聞くようになってこの曲のエグさを知りました。
とにかくイントロの時点からヘヴィーで最高にカッコよく、洋楽っぽいですね。このグルーヴを出せる日本のバンドは当時いなかったでしょう。
10. T.T.GROOVE
この曲もインタールードですね。箸休め的な感じです。
11. BLUE SKY COMPLEX
この曲はCOMPLEXと言って内向きなタイトルでありつつも、ホーンが入ったりでかなりゴキゲンで、爽快感のある曲だったりします。
歌詞でも韻を踏んだり言葉遊びを楽しんでいますね。
アルバムにこういう曲も1曲あることで、いい感じの広がりを生みますね。
12. OBLAAT
このアルバムで1~2を争うポップな曲で、1stシングルの「EYES LOVE YOU」のカップリングだった曲です。
ポップでありながらメロディに哀愁漂うこの曲が僕は昔から好きで、結構フェイバリットに挙げていた記憶があります。
この曲のコンセプトが面白く「もしダムドが初期メンバーで活動を続けていたら、こんな曲を作ったはず」という仮定が流石ですね。
パンクにも造詣が深く、想像力溢れるhideならではです。
13. TELL ME
初期のhideを代表する曲ですね。
アルバムリリース後にシングルカットもされて、広く愛された曲です。
もう最初のギターの入りの時点で名曲を確信できる入りなんですが、その後もメロウなAメロ、メロウなBメロ、そしてメロウなサビに繋がり、最初から最後まで胸がキュンとなる曲です。
spread beaverでも再録を予定していたようで、hideにも愛されていた曲ですね。
高校の頃仲良かった先輩がライブで歌っていて、どうしてもその光景が未だに浮かんでしまう、そんな名曲ですね。
14. HONEY BLADE
この曲もヘヴィーでラウドでカッコよくて、中学時代は琴線に触れなかったんですが、ある程度成長してからカッコよさに気づいた系ですね、
で、この曲について書こうと調べるまで知らなかったんですが、この曲は「高校教師」的な四文字の裏テーマがある曲らしく、なかなかエグイです。
初期のdir en greyが得意とする領域ですよね笑
15. 5O%&50%
2ndシングル曲ですが、あまりメジャーじゃないですよね笑
僕はずっとアルバムバージョンしか知らなかったんですが、シングルバージョンもカッコいいですね。この歌詞も森雪之丞が書いてます。「どっちもどっち」という事ですかね?
そんなゴキゲンな感じでこのアルバムも終盤を迎えます。
16. PSYCHOMMUNITY EXIT
そしてアウトロですね。
このアルバムをテーマパークとするのであれば、タイトルの通り退場ゲートで流れる曲ですね。
なかなか哀愁漂い切ないアウトロですが、また来たい(聞きたい)と思わせる力を持った曲ですね。
まとめ
そんな感じで懐かしく、色々と書いてしましました。
やはりhideは中学校時代にタイムスリップできますね・・・
そんな感じで次回は2ndアルバム「PSYENCE」を紹介しましょう。
このアルバムもメチャクチャ聞きましたね・・・