
#944 アルバム論67|GRIP / HUSKING BEE(1996)
気付けば67回目となったアルバム論、まだまだ語る対象は鬼の様にありますが、本日からハスキンことHUSKING BEEのアルバムを紹介したいと思います。
ハスキンはマジで僕の青春でした。
HUSKING BEEとは?

HUSKING BEE(ハスキン)は1994年に結成されたバンドで、BRAHMANやBACK DROP BOMB、SCAFULL KINGとかその辺が同期ですかね。
AIR JAM世代を代表するバンドであり、エモコア(エモーショナル・ハードコア)の始祖として、多くのフォロワーに影響を与え、伝説として名を刻んでおります。
デビューから3rdアルバム直前のシングル「THE SUN AND THE MOON」までは、ギターヴォーカルのイッソン、ベースのテッキン、ドラムのレオナの3人体制、スリーピースのバンドでした。
そして2000年に発売された3rdアルバム「Four Color Problem」はそのアルバム名に冠した「Four」の通り、新メンバーでギターのどんどんが増えて4人体制になり、ギターの重なる音といい、ハイトーンのどんどんのヴォーカルという新たな武器が増え、バンドの厚みが増して物凄くいい感じになりました。
3人時代も、4人時代もどっちも甲乙つけがたい位好きですね。
魅力としてはメロコアを軸としたイッソンの切なくなるメロウな声、重厚なロックサウンド、そして抒情的な歌詞、英語でも日本語でも違和感のない世界観、とにかく大好きでしたね。
ですが、2003年くらいからあまり聞かなくなり、5thの「Variandante」とかも殆ど聞いてなかったんですが、2005年に解散を発表し…
そして大学時代に何故かタイミングが合わず、ライブに行くのは解散ライブが最初となってしまいましたが、解散ライブがメチャクチャ印象に残っており・・・2005年はハスキンばっか聞いてましたね。
僕の辛かった就活の応援歌は、他でもなくハスキンだったりしました笑
そうして方々のリクエストに応え、解散後もコンスタントにライブを行い、再結成してからもちょくちょくライブを魅せてもらっておりますが、毎回とにかくテンションが上がる、そんな素敵なバンドですね。
GRIPとは?

GRIPがリリースされたのは1996年でしたが、僕が初めてGRIPを聞いたのはそれから2年後の1998年、中3の秋でした。
この頃の僕はCORKSCREWを聞き、SHINEを聞いていましたが、その少し前に聞いたハイスタに完全に魅了されており、「ハイスタ的なバンド」を探していました。
そんな中で、何が理由だったか忘れましたが、ハスキングビーという存在を知り、ちょっと興味を持ってこのGRIPを買ってみて、聞いてからは一瞬で大好きになりましたね。
受験の時期、勉強しながらずっとGRIPを聞いていましたね笑
とにかく激しさの中に哀愁があり、ハイスタとは違う魅力的な世界がそこにはありました。
恐らく当時、僕の中学校でハスキンを聞いていたのは僕しかいなかったと思っています笑
そんな感じでずっと大事にしていたアルバムなんですが、大学3年生位の時、友達が誕生日で、その友達に「金ないから家にある好きなCD持ってっていいよ」と言ったら、このCDを持ってかれまして、それをメチャクチャ後悔しましたね笑
GRIP 歌詞カード
そんなこんなで歌詞カードですが、前述の通り本CDは友人にプレゼントしてしまったので、下記のサイトから拝借しました!
https://musicholic.jp/grip/



Special Thanksも毎回楽しいですよね。

GRIP 渾身の全曲解説
1. ANCHOR
この曲は初めてハスキンで聞いた曲であり、以前のBEST10ではNo.1に選出した位に、僕の中では非常に大事で、大切で、大好きな曲です。
CDの再生スイッチを押して速攻、ダーッ、ダッの後に「I've got too many hang ups ~」と言う冒頭部分を聞いただけで大好きになりました。
とにかく本当にこの曲には何度も支えられましたね。
構成はシンプルでAメロ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→Aメロ→Bメロ→サビ→アウトロと言う感じですが、フレーズ間の移行がスムーズで気持ちよく、アウトロも非常にいい感じです。
演奏、メロディ、歌詞、そしてイッソンのヴォーカルのすべてが好きですが、やはり一番好きなのはサビですかね。
I'm back and fill, I'm back and fill
心が揺らぐ
ライブで何度叫んでも泣きそうになるくらい、このフレーズは好きですね。
ライブでは基本毎回聞いていると思っておますが、やはりガルニでシークレットで聞いた時が一番あがりましたね。
今年の5月に越谷でアンコールで聞けたのも良かったですが・・・
とにかくハスキンを知らない人は、騙されたと思って3分時間をください。
そしてこの曲を聞いて何も感じない人は、もういいかなと・・・
2. 8.6
2曲目から畳みかけるようにライブで鬼盛り上がる名曲が続きます。
8.6はエイトシックスと読み、広島出身のイッソンが、広島に原爆が投下された1945年8月6日について歌った曲ですね。
That's 3ピースのメロコアと言う感じの曲で、疾走感もあり、イントロのベースラインとかも非常にカッコよく、ライブで最高に盛り上がるんですが、何といってもこの曲は歌詞ですね。
こんな感じ始まり、とにかく「その日」について歌っています。
On that day was the sky blue
Many men didn’t know it coming
A few men knew that the day don’t clear
A break many have melted away
その日 空は碧かった
多くの者は何が起きるか知らなかった
少しの者が晴れない事を知っていた
多くの者が消えていった
僕が特に好きなフレーズが2つあるんですが、
1つが下記ですね。テッキンのコーラスが栄えるところです。
Nevertheless, the people lived through
Nevertheless, the city crept up
Nevertheless, the city lived through
それでも生き抜いた人々
それでも這い上がった街
それでも生き抜いた街
そしてもう1つは最後のフレーズですね。
地元の広島を誇りに思うと歌う、イッソンを素敵に思います。
I’m proud I was born there
I’m proud I was brought up there
I like the peace and quiet of the town
僕はそこで生まれた事を誇りに思っている
そこで育ったことを誇りに思っている
平穏で静かな街
3. WALK
このアルバムを代表する曲であり、バンドを代表する曲ですね。
ライブではいつも大ラスに演奏され、オーディエンスが一体となり、
「So Far, So Good」とシンガロングする、90年代後半のパンクシーンにおいて欠かせない名曲 of 名曲です。
ライブではイッソンのソロ含め、恐らく聞かなかったことは無いと思われるくらいライブで欠かせない曲ですね。
そんな感じで1曲目のANCHOR、2曲目の8.6、3曲目のWALKと、初期の代表曲が3曲連続で続き、この時点で結構おなか一杯だったりしますが・・・笑
4. THE SHOW MUST GO ON
そんな感じで怒涛の3曲の次はカヴァーです。
60年代にアメリカで活躍したThree Dog Nightと言うアーティストのカヴァーで、クソ有名なイントロのあの曲ですね。
ZIGGYがSWEET MAGICで使っているあのやつです。
そんな感じで原曲の面影はあるような、無いような感じですが、完全にハスキン色に染めており、僕はずっとオリジナルだと思って聞いてました。
この時期のパンクアーティストのカヴァーはどれもカッコいいですね。
5. DON’T GIVE A SHIT
元々はGIVE A SHITという曲名で、結構昔からあったっぽい曲です。
BPM高めの速いテンポの曲で、テッキンがコーラスで「FUCK」とか言っているのは当時を感じますね。
この曲はラストライブで演奏していた印象が強く、残っています。
あとは01が解散後のトリビュートで参加した、HB EALRY TRACKSの印象も強いですね。
6. SHAKE THE JOY OF OUR TOUR
曲名を翻訳すると「私たちのツアーの喜びを分かち合いましょう」です。
その曲名の通りにポップでカジュアルな曲で、このアルバムでキャッチ―一般受けしそうなのはこの曲と思います。
前述のトリビュートでWater Closetがカヴァーしてましたが、女性ヴォーカルでも何の違和感もなく聞けるような曲ですね。
7. BEAR UP
BEAR UPとは「困難や苦悩などに耐える、持ちこたえる」などの意味を持つ言葉ですね、初めて知りましたが・・・笑
この曲もコアな曲で速く、とにかく速く、1分ちょいで嵐の様に歌いきって終わるという、90年代メロコアでよくあった様式美を持った曲ですね。
ライブで聞いたことは無かったですが、始まったらエグかったでしょう。
8. QUESTION
そしてこの曲も、このアルバムで愛された曲ですね。
曲中でピアノが栄えるくらいにポップで、このアルバムではSHARE THE JOY~に匹敵するくらいゴキゲンな曲です。
ライブでは「QUESTION!」とオーディエンスが一斉にコーラスもできて楽しい曲ですね。
LLOYD PRICEというアメリカのシンガーの曲で、そのカヴァーです。
解散を行ったラストツアーの最終となるDVD化もされた東京公演でラストライブで、WALKで終わったはずが、まさかのトリプルアンコールでこの曲を演奏し、長い歴史に幕を閉じたのが記憶に残っています。
最後がカヴァーで終わるというのに当時違和感を観じたのですが、昔はこの曲でライブを〆ていたから最後もそうしたと解釈しています。
全然違うかもしれませんが笑
9. ONLY WAY
この曲も前述DON'T GIVE A SHIT に似たような、疾走感溢れる曲ですね。
この曲も初期から愛されている曲だったと記憶しています。
Aメロでテッキンのベースが縦横無尽に暴れ狂っているのが結構好きですね。
10. DON’T CARE AT ALL
BEAR UPを更に凝縮したような曲で、50秒で終わる曲ですね。
とにかく一瞬の間に激情を全部詰めたような、そんな曲ですね。
11. GO IT ALONE
この曲は本当に大好きで、大好きで、何度も聞いてました。
このアルバムではどうしても1~3曲目がどメジャーで、ライブでセレクトされるのもだいたいその「ANCHOR」「8.6」「WALK」、時々「QUESTION」とかで、このGO IT ALONEは僕がハスキンを聞き出してからのセットリストを見てやっていた記憶はないんですが、この曲をライブで聞けたらマジで泣くかもしれない位、大切な曲ですね。
とにかくイントロからメロウでなんですけど、Aメロもメロウ、Bメロが更にメロウで、そしてサビがハイパーメロウな感じでどこを切り取ってもエモいんですけど、やはり構成が素晴らしいですね。
イントロはAメロを盛り上げ、AメロはBメロにうまく繋げて、Bメロはサビを盛り上げるという・・・・まさに音楽の基本。
やはりサビが一番好きですね。この歌詞も本当に大好きです。
Did you think enough for yourself ?
TIme will solve the problem
Why are you farting around ?
You just have to go it alone
もう十分考えただろう
時が解決してくれるさ
何をぐずぐずしている
一人で始めなければ
12. MY OWN COURSE
ちょっとモンスター曲が集まるこのアルバムの中では若干印象薄めだったりするんですが、僕の中でこのアルバムの後半の見せ場である「GO IT ALONE」と「BEAT IT」を繋ぐ、いい感じのチェイサー的な曲と認識しております笑
13. BEAT IT
そしてこの曲、BEAT ITも大好きです。
GO IT ALONE同様、ライブで一回も聞いたことが無いんですが、それが逆にいいのかも知れませんね。マジで隠れた名曲と言っていいでしょう。
この曲も最初のイントロから最後のアウトロまで終始メロウで素晴らしい曲です。本当に美しい。
エモコアバンドを始めた人は是非この曲から聞いて欲しいですね。
極限にシンプルな構成でも、ここまで染みる曲が作れるという最高のよき模範と思っております。
もう、うまく言葉を選べないので、とにかく聞けとしか言えない感じですね笑
14. ALL YOUR LIFE
バラエティ豊かで、粗削りながらも才能の片鱗が輝きまくり、とにかく初期衝動溢れて勢いがある、ハードな曲だらけの本アルバムですが、ラストはアコースティックに終わります。
この様式美は次作でも続き、3rdもそれに近い感じですかね。
最後はイッソンのヴォーカルが優しく染みるこの曲でGRIPは終わるんですが…この曲を数10分放置すると、「THE SHOW MUST GO ON」が始まりだすんですけど、これを歌っているのはまさかのプロデューサー・ken yokoyamaだったりします笑
ケンがメインで歌う曲が初めて収録されたのは、何気に本作なんですね笑
まとめ
そんな感じでハスキンの初期の名作のGRIPを振り返りました。
リアルタイムでは聞けませんでしたが、中3の頃に感じた衝動を今聞いても感じられるくらいの名作であり、ハスキンの中ではこのアルバムが一番思い入れがありますね。
次回も名作揃いの2ndアルバム「PUT ON FRESH PAINT」を紹介しましょう!