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#904 アルバム論63|Ja,Zoo / hide with Spread Beaver(1998)

前々回、前回に引き続きhideのアルバムを紹介します。
今回はhide名義では3枚目、hide with Spread Beaver名義で1枚目、そしてhideのラストアルバムとなったJa,Zooを紹介します。


X JAPAN解散~Spread Beaver結成

1997年、中2の頃に僕はハイスタを知り、パンクにのめりこみ始めつつありましたが、それでもX JAPANの解散はやはり少なからずショックでした。
1つの時代が終わる感じがして、何とも言えない寂しい感覚がありました。

そんな中で、1997年12月31日に東京ドームでラストライブを終えて、紅白でラストステージを終えて、年が明けて1998年元旦に新聞で、Spread BeaverとしてRocket Diveリリースをアナウンス!
一刻も早く、ファンに届けたかったというhideの優しさですね。


Spread Beaver結成

そして仕切り直しを機に、名義をhideからSpread Beaverという女性の陰部を広げるの意の固定メンバーのバンドを結成。このノリは凄く好きでした。
更にカラフルでカッコいいですよね。
Guitarはmedia YouthのKIYOSHIと、OBLIVION DUSTのKAZ、Bassは布袋のバックバンドでも有名なCHIROLYN、KeyboardはGLAYのサポートメンバーでもお馴染みのD.I.E.、DrumsはZIGGYJOE、そしてマニュピレーターにI.N.A.が固定メンバーになるという豪華ラインナップ。

Rocket Diveは最高にカッコよかったし、非常にいい感じでのスタートだったんですが・・・


1998年5月2日

この日のことは、一生忘れないでしょう。
この時僕は塾に通っていたんですけど、確か夕方位ですかね?
塾の先生が「お前等、X JAPANのhideって知ってるか?」と謎の質問をしてきて、なんでそんな事を聞いてくるのかと思った否や、あまりにも辛いニュースを僕らは聞きました。
当時はネットも無かったので、帰ってテレビを見たのか、次の日の新聞を読んだか覚えていないですが、なかなか受け入れるのは辛い出来事でしたね。

その後の葬儀で、YOSHIKIのピアノでTOSHIがForever Loveを歌うのも悲しかったですし、YOSHIKIが「hideが悲しむから後追い自殺はしないでくれ」と言っていたのを覚えています。
僕の地元でも凄く好きで、本願寺に行った人がいましね。

そんな感じで未だに5月2日が来たら思い出してしまう、悲しい出来事ですが、悲しみこらえてSpread Beaverのメンバーが、hideという存在を証明するために、レコーディング途中だった3rdアルバムのレコーティングを行い、3rdアルバムは完成しました。


Ja Zoo とは?

そんな感じで11月21日、亡きhideの意思を継いで・・・3rdアルバム「Ja, Zoo」がリリースされました。
Japanese Zooの略であり、Yahooともかけたようです。
もちろんオリコン1位でかなり売れた作品でしたが、やはり「HIDE YOUR FACE」とか「PSYENCE」のように凝りまくっていた感じではなく、無理やりリリースしたという感じで少し寂しかったですね。

あとは全10曲中、シングル4曲とセルフカバー2曲と、既に既出の曲も多かったのもちょっと悲しかったですね。致し方ないのですが・・・

それでもこの時期を思い出す、そんなアルバムですね。


Ja,Zoo 魂の全曲紹介

1. SPREAD BEAVER

過去2作のオープニングナンバー同様インストなんですけど、全2作は「オープニング」感が強く、あくまでアルバムのプロローグ的な感じでしたが、この曲は単独でも頭を張れる、バンド「Spread Beaver」のテーマソングですね。最高にカッコいいです。


2. ROCKET DIVE

初めて聞いた時、カッコよすぎてビビった記憶がありますね。
確かハンマープライズとか、スーパーサッカーとかを見ていて土曜日の夜だったと記憶していますが、CMの時点で「かっけー」と思い、そしてMステで初めてフル尺で聞きましたがピョンピョン飛び跳ねて歌いまくるメンバー、そしてhide。ドエレーCOOOOLでした。
当時はシングルを買う金が無かったので、このMステのテレビ放送をマイクで繋いでMDに入れて聞いてた記憶があります笑
ポップジャムも似たような感じなので、これをみて当時の雰囲気を感じてもらえればと思います。

とにかく攻撃的で、ロックンロールで、そして何よりポップで、イントロからアウトロまで全てカッコよく、歌詞のテーマもポジティブでとにかく前向きになれる曲ですね。
hideを代表する名曲です。

この曲を愛するアーティストは多く、DragonAshのトリビュート氣志團のトリビュートも非常に良いんですが、やはり布袋のトリビュートが最高ですね。

曲の途中でのこの語り掛けもいいですが・・・

Hello,hide、Can You Hear Me?It's Me

やはりラスサビのオリジナルのパートが最高に熱い。
hideも布袋ファンだったようなので、天国で喜んだでしょうね。

さらば赤い髪のエイリアン 
君の作ったロケットに
愛を込めて アディオス
アディオス、アミーゴ、アディオス


3. LEATHER FACE

同時期に動いていたプロジェクトzilchの「INSIDE THE PERVERT MOUND」という曲のhideバージョン(和訳バージョン)ですね。
インダストリアルでありながらもポップさも持つ感じの曲で、DAHLIAに収録されている「DRAIN」に近い印象があるような、ないような感じです。
先にzilch版を聞いていたので、そっちの方が好きだったりするんですけど、これはこれでカッコいいですね。


4. PINK SPIDER

hideの死の直後にリリースを控えていた為、報道が宣伝効果になってしまい、皮肉にもhideで最も売れたシングルがこの曲なんですね。
もう完全に洋楽の様なリフでクソカッコいいんですけど、どう考えてもオリコンで1位を取る曲ではないですよね笑

僕はこの頃思春期で、hideが死んでから「hideいいよね」と言ってこのシングルを買ったミーハーな奴らを唾棄してみていた記憶があり、生前からのファンであるサッカー部の古参の友人と憤っていた記憶があります笑
ヘヴィーでラウドで儚い歌詞ですが、次のシングルのever freeに繋がる感じなんですね。


5. DOUBT’97 (MIXED LEMONed JELLY MIX)

1st「HIDE YOUR FACE」に収録されているDOUBTのリテイクです。
演奏が若干変わり、旧版は終始ヘヴィーな感じで一定していましたが、こっちの97verは静と動がメッチャ顕著で、BRAHMANみたいな感じでこれはこれでカッコいいです。
ただ個人的には旧版の方が好きだったりですが・・・


6. FISH SCRATCH FEVER

既出の曲以外では、この曲が一番カッコいいと思いました。
タテノリで激しいロックンロール、更に歌詞もいい感じで砕けており、曲調もポップで楽しい曲でした。
ライブで聞けたらいい感じに盛り上がったでしょうね・・・


7. ever free

そして生前のhideのラストシングルです。
「ずっと自由で」というhideの造語であり、hideらしい言葉ですね。
とにかく曲調もポップなんですが、テーマも前向きで「それでも人生は何度だってやり直せる、可能性を信じて生きて行こう」という曲です。
結構この曲を好きな友人は多く、割とみんなカラオケで歌っていた記憶がありますね。
PVとかも楽しそうでいいですね。ヒョウ柄のカウボーイハット、サングラス、煙草とファッションリーダーとしても最高にカッコいいです。


8. BREEDING

飼育するとかそんな感じの意味で、虫さんの曲ですね。
正直そんな印象に無いっす笑


9. HURRY GO ROUND

そしてこの曲がこのアルバムのリードトラックになったんですかね?
歌詞的にもレクイエムな感じで、メロディも切なく、毎回聞くと悲しくなる曲でした。

歌詞も「別れ」を示唆する曲だったりしますが、それでも回って、また会おうという点で輪廻転生のようにも感じますね。

急ぎ 廻れ 砕けても 果敢無く散るが故にも
今を待たずに まわれ Hurry merry-go-round
生き溺れても また 春に会いましょう
春に会いましょう

久々に聞きましたが、やはり切なくなりましたね・・・


10. PINK CLOUD ASSEMBLY

そして最後の曲もまた悲しい曲です。
ピンクスパイダーの続編の曲で、ピンクスパイダーのトラックにhideの実弟が語りを入れているんですね。

そんな感じでピンクスパイダー(桃色の蜘蛛)は、空を飛ぼうと挑戦したけど翼が無くて失敗して、そして桃色の雲になるという物語性のある歌詞なのですが、とにかくこの曲も切なくなり、聞くのが辛かった記憶がありますね・・・


まとめ

そんな感じで久々にhideに向き合い、hideの3部作を紹介しました。
30年前とは思えないくらい前衛的で、とにかくクールでカッコいい。大分時代の最先端を歩んでいました。

98年の事故がなければ、恐らくもっともっと多くの名曲を残し、凄い地位にいたと思うので悔やまれますが・・・それでもhideのフォロワーのアーティストが、hideの魂を継承してくれておりますよね。

そんな感じで改めてリスペクト!

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