#684 アルバム論41|SPRINGMAN / UNICORN(1993)
これまで6作紹介したユニコーンのアルバムも今回で最後です。
再結成後にリリースされた「シャンブル」も持っていたので書けるのですが・・・ちょっと熱が冷めた感も正直あったので、一旦はこれで終了としますが、気が向いたら書くかもしれません。
そんな感じで結果として、前作「ヒゲとボイン」から1年半ぶりにリリースされたこのアルバムがラストアルバムになるんですけど、かなりボリューミーでウィットに富んでおり、最後の最後までカッコいいバンドでした。
今振り返ると活動期間は短かったのですが本当に中身が濃く、インパクトを与えてくれたバンドでしたね。
「SPRINGMAN」リリース時のユニコーン
前作「ヒゲとボイン」をリリースして以降、ユニコーンには色々ありました。
メンバー全員でソロ作品を出したり、92年の年末には今なお歌い継がれる年末ソング「雪が降る町」をリリースしたりでしたが、何と言っても一番デカかったのはバンドのドラマーにしてリーダーである西川くんの脱退でしょう。
脱退理由は「音楽的志向の違い」とのことですが、今考えると音楽性然り、色々と詰め込み過ぎたのが原因な気がしますね。アイドル的な人気になってしまったが故に、短期間で駆け抜けすぎたのが原因なのかなと思っています。
対照的に再始動後はゆるく活動できているので、それはそれでよいですよね。
そんな感じのラストアルバムが「SPRINGMAN」です。
このSPRINGMANは鳥取砂丘でウルフマン(アニメではリキシマン)をデビル・トムボーイでやっつけた7人の悪魔超人・スプリングマンではなく、このSPRINGMANはアメコミ風の架空のキャラクターで、この歌詞カードは漫画になっていて楽しかったですね。
そしてこの漫画の中には「ヤメマン」という西川くんを模したキャラクターが登場し、暴走するSPRINGMANに対して、「やめろ、やめろ!オイラも辞めちゃうぞ!」とメチャクチャな説得をして、殴られます笑
あと余談ですが、僕が人生で初めて携帯電話を手にした16歳の頃、初めて買ったストラップはこのSPRINGMANだったのを今思い出しました笑
「SPRINGMAN」全曲解説
1. 与える男
後期を代表する名曲ですね。この曲は素晴らしいですよ。
歌詞は「あげちん」の内容であり、伊丹十三監督作の映画「あげまん」からインスパイアを受けた曲でしょう。
要は、「俺とSEXしたらいい事起きるから、SEXしよう」という感じで女性を誘う、頭のおかしい男が主人公の曲ですね笑
基本的に同じリフで進行するシンプルなロックンロールなんですが、メロディが抜群に良く、サビとかのメロディも素晴らしい。シングルでも行けた曲ですね。
イエモンの吉井さんがこの曲大好きで、トリビュートでも歌っていましたね。
2. 金銀パールベイビー
このアルバムは阿部の奮闘が目立つんですけど、まずはゴキゲンで当時一世を風靡していたジュリアナ嬢を彷彿させるようなチャンネーが主人公の曲です。
とにかく一度聴いたら忘れない、終始ゴキゲンで楽しい曲ですね。
3. 時には服のない子のように
そして続くは風俗嬢の曲ですね。2曲目の主人公のチャンネーとの関連性は恐らく無いと思われます。
頑張る風俗嬢と、それを応援する男の曲で、韻の踏み方とかアホでいい感じです。
要約するとそんな感じのストーリーですね笑
とにかくシュールな食物連鎖を描いた曲です。
4. すばらしい日々
ユニコーンの最後のシングルです。
僕はベストアルバムで初めてユニコーンを聞いたので、最後に収録されている民生の手書きの歌詞のこの曲を聞いて感動したものでした。
まさにアルバムの最後でもあり、バンドの最後を締めくくるような曲ですね。だからこそこの曲順ではなく、もうちょいケツの方がいいと思ってますが・・・
曲は素晴らしいです。これを28歳くらいで作ってしまうのは鬼ですね。
演奏に関しては阿部もアルペジオを弾いてギター3本なんですけどそんなに音が重なってなくてうるさくないですし、構成自体はシンプルで素晴らしい。Aメロ→Bメロ→Aメロ→Bメロ→サビ→サビという構成もシンプルで良いですし、何よりメロディも良いですね。
そして何といても歌詞でしょう。
この歌詞は色々な解釈があると思いますが、脱退した西川くんに送る曲という解釈が有力ですね(僕は連れ合いに先に旅立たれた老夫婦の曲だと思ってました)
ライブで盛り上がるタイプの曲では無いですが、しんみり聞きたい名曲です。改めて聞くとウルッと来そうになりましたね。
5. アナマリア
阿部が作った名曲ですね。
このアルバムの中でも1、2を争う位の美しいメロディとピアノが印象的なボサノヴァです。
弱ってるときに聞いたら病んでしまいそうな曲ですね笑
6. オールウェイズ
テッシー作のゴキゲンなロックンロールです。
真っ直ぐなラブソングですね。
「ざわめきが 光の渦が」のハモリの所が良い感じで好きですね。
7. 素浪人ファーストアウト
西川くんの遺作ですね。
途中まで歌詞を書いてバックレたので、残りを民生が書いたらしいです笑
素浪人の曲で、相変わらず歌詞の引き出しが広いというか何というかですね。
Aメロはドラムとヴォーカルだけだったりで凄く構成も最小限でシンプルなんですけど、サビで結構盛り上がる感じでライブで盛り上がる曲ですね。
サビの中でも変調があったり、何気に通な曲だったりします。
8. あやかりたい’65
民生が後のソロでも歌っていたようですね。
前作の「ニッポンへ行くの巻」「車も電話も無いけれど」にも繋がるガイジンの曲で、今回は外国人に憧れる日本人の曲ですね。
それを「あやかりたい」とあてこすってる感じのロックンロールです。
本家が無いのでカヴァーを持ってきました笑
9. 音楽家と政治家と地球と犬
よく分からないアホな曲ですね。
バンドが解散に向かっている中でもしっかりとファンに笑いを届ける姿等は素晴らしいですね。
個人的には政治家の歌詞が一番好きですね。
大分パンクスですよね笑
10. 裸の王様
オールウェイズに続いて、テッシーが歌う「漢のロックンロール」ですね。
変化球を投げるメンバーが多い中、テッシーはストレートの身を投げ続ける感じで良いですね。漢です、
そんな感じのハードロックな感じの曲ですね。
11. 薔薇と憂鬱
EBIが歌うロックンロールな曲ですね。
そういえば30歳位の頃、組んでいたバンドでライブをやった際、対バンでユニコーンのコピーバンドが出て、何をやるか楽しみで演奏前にフロアで見ていたら、1曲目がこの曲でビックリした記憶がありました。
「この曲やるんだ・・・」と思いましたね笑
12. 甘い乳房
これは民生って感じの曲なんですが、歌詞とかが切ないですね。
ママがいないと寂しいと泣く赤子の曲なんですが、脱退した西川くんに明らかに母親の面影を探すような感じがして、そんな感じの切ない曲です。
こちらも本家が無かったのでカヴァーを貼っておきます。
13. スプリングマンのテーマ
このアルバムでかなり好きな曲です。
結局スプリングマンが何なのかよく分からないのですが、恐らく自ら(ユニコーン)をスプリングマンに投影させて、「頭の周る人たちに君は凄いと褒められた」とかを自虐的に言ったりしてるのかなとか思って聞いてました。
とにかくキーボードが映える王道ロックンロール。
最後までカッコいい感じで、染みる曲です。
14. 月のワーグナー
僕の姉ちゃんの友達にユニコーンマニアがいたらしく、その友人曰く「ユニコーンで一番良い曲は"ツキノワグマ"って言ってたよ」と姉が言っていて、僕もいつかその「ツキノワグマ」を聞きたかったのですがなかなか出会う機会が無く、あとあと綴りを確認したらツキノワグマは姉の聴き間違いで、正しくはこの曲「月のワーグナー」でした笑
そんなエピソードを思い出しましたが、とにかく泣けるメロウな曲で、確かに姉の友人がベストソングに挙げたのも頷ける、名曲です。
15. 8月の
ユニコーンの歴史を閉じるラストの曲はEBIが作ったこの曲です。
正直そんな印象無かったりするんですが、ちょっと嬉しいのはこの曲「8月の」で終わって、再始動するアルバム「シャンブル」の1曲目が「ひまわり」で、「8月のひまわり」ということで終わりと始まりが繋がっている点ですね。
まとめ
そんな感じでユニコーンの7枚のアルバムに関して改めて振り返ってみました。その上で改めてベスト10を考えてみたんですが・・・
前回と大きく変わってしまいました!笑
割と王道なランキングになってしまいましたが、やっぱ王道として誰もが挙げる曲は素晴らしいということでしょう。
そんな感じでユニコーンというバンドを総括しますが、
あなたたちの音楽を聴いて育ってますし、あなたたちの人を小ばかにしたり、ちょっと斜に構えるスタイル、個ではなく集団にフォーカスを好むスタイルとかは、確実に自分の人格形成や仕事観の形成に役立ってます。
そんな感じでありがとうユニコーン!
次回からはブルーハーツのアルバムを全部振り返っていきます!
これも楽しみですね!