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#1001 蹴球論87|2010年 南アフリカW杯② 日本vsオランダ ~最強の相手との闘い~

前回に引き続き、2010年南アフリカワールドカップを紹介します。
前回はグループE初戦、日本vsカメルーンを紹介しました。

そして本日紹介するのはグループリーグ第2戦、日本vsオランダを紹介しましょう。


オランダ代表とは?

僕は初めてワールドカップを見た1994年ワールドカップからオランダ代表を応援しておりますが、一番強かったのは1998年とか2000年ユーロの時ですかね?ベルカンプがいて、ダーヴィッツクライファートデ・ブール兄弟シードルフファン・デル・サールオフェルマンスぜンデンスタムコクーという地獄の布陣で、プレースタイルは超自己中でハマればメチャクチャ強い分、どうでもいい試合であっさりコケる辺りが魅力のチームでした。

しかし!2002年の日韓ワールドカップの出場を逃し、2004のユーロもベスト4と言えどパッとせず、2006年ワールドカップもパッとせず・・・という感じで、黄金時代を築いた世代交代が起きました。

その中心にいたのはスナイデルロッベンファン・ペルシー、ファン・デル・ファールトと言った僕と同世代の83~84年生まれのメンバーで、このメンバーが中心となって牽引する新世代のオランダ代表は、伝統の4-3-3を守りつつ、98年の「オレが」「オレが」みたいな感じではなくシステマチックになり、個人ではなくチームを優先させていた(様に見えた)オランダは、敵ながら魅力的なチームでしたね。

そんな最高の相手と、1勝通しで戦う天王山。
この試合に勝利すると決勝トーナメント進出が決まる、そんな1戦です。


スターティングイレブン

日本代表

スタメンは初戦のカメルーン戦とまったく一緒です。
機能していた4-3-3で挑みます。岡ちゃんもこの試合が剣が峰と、分水嶺と考え、勝ち点狙いで挑んだのでしょう。
改めて初戦で勝利したアドバンテージは大きかったですね。


オランダ代表

そんな感じで上記でほぼ説明してしまいましたが、そんな感じでCFWにファン・ペルシ―、右がカイト、左がファン・デル・ファールト、そしてトップ下のスナイデルという、この前線の4人で試合を決めるのが2010年のオランダスタイルでした。
で、中盤の底はファン・ボメルナイジェル・デ・ヨングが控えて、DFのハイティンガマタイセンファン・フロンクホルストなどと言ったメンツがガッツリ守る感じですね。

ロッベンは怪我で出れなかったんですが、その代わりが当時レアル所属のファン・デル・ファールトなので、いずれにせよエグイ感じでしたね笑

そして、何といっても怖いのはスナイデル

この前年にスナイデルはレアルからインテルに移籍したんですが、その2009~2010年シリーズのインテルは絶好調で、イタリアの主要タイトル3冠を獲得した年でして、その中心で司令塔として君臨するスナイデル。
とにかくパスセンスとシュートセンスに優れた、サッカーIQの高い選手でしたね。
このスナイデルを止めるかが勝負ですね。


北京世代の3度目の正直

そしてそんなオランダは、北京世代にとっては因縁の相手です。

まず、2005年のワールドユースですね。
開催国でもあったオランダと初戦で対戦したのですが、その試合は左サイドのクインシーにチンチンにやられて、平山が一矢報いるも1-2で敗戦しました。スコア以上に差を感じましたね。
今回のワールドカップメンバーでは本田さんがスタメンで出てましたね(森本も交代で出場)


そして、その3年後ですね。
その2005年ワールドユースのメンバーが主軸となった2008年の北京オリンピック、この大会でのオランダと同グループとなります。
そして最終戦で同グループのオランダと対戦するんですが、ここでも0-1で敗れております。
そしてこの北京でのオランダ戦、今回のワールドカップメンバーでは長友岡崎、そして本田さんがスタメンで出場しています(森本も交代で出場)


そして今回、北京世代の3度目の正直ですね。
雪辱に燃える本田さん、そして長友がスタメンで挑みます。


マッチレポート

前半

オランダはスナイデルを中心に攻撃を組み立てますが、日本の中盤の阿部・長谷部がスナイデルに自由を与えません。

そしてオランダにとっての左サイドから、ジオやファン・デル・ファールト、更にはファン・ペルシーまでもが攻めてくるんですが、日本から見て右サイドの駒野、そしてアンカーの阿部、ツインタワーの中澤・闘莉王がしっかり守って、スコアレスドローで終了。

前半のボールポゼッションは、オランダ69%に対して日本31%と圧倒的でした。とは言え、日本は前半は専守防衛で、後半勝負で考えたのかなと思っているので、作戦通りで折り返したといえるでしょう。


後半

後半は開始早々、オランダがスイッチを入れてきます。
後半開始2分、ファン・ペルシ―のポストプレーからスナイデルがミドルを撃ち、ヤットが止めるんですが・・・後半7分でした。
ジオのクロスを闘莉王が弾くんですがファン・ペルシ―に拾われて、同じ形からスナイデルが右足を一閃すると、ボールはタイガーショットの如く、GK川島の手を吹き飛ばしてゴール!オランダ先制!

スナイデルは身長170cmくらいで小柄な選手なんですが、それを感じさせないパワーがハンパないです。日本選手も見習ってほしいと思う位、文句のつけようがないスーパーゴールでした。
オランダはハーフタイムで、後半開始早々に1点取って、きっちり守って勝つというゲームプランを立て、理想通りの展開を迎えた気がします。

ちなみに、岡ちゃんは「後半20~25分が勝負」というゲームプランで考えていたようですが、この後半開始早々の失点でゲームプランを変えざるを得なくなり、俊さんを投入します。

ですが、これまで松井が右サイドで積極的に走り、攻守においてアップダウンを繰り返していたのに対し、スピードと守備を得意としない俊さんの攻撃はあまり効果的ではないように見えましたし、オランダもホッとしたでしょう。
俊さんのアイデア、テクニック、プレースキックの精度はワールドクラスなのですが、この4-3-3ではフィットするポジションが難しいと改めて感じましたね・・・

それでも攻める日本は、大久保に変えて玉田、長谷部に変えて岡崎を投入します。中盤を2枚に減らして攻めに出る辺り、岡ちゃんも勝負に出ます。
これは良い交代と思って僕も見てました。

中盤を減らした分、オランダにチャンスが増えるのですが、日本の守備陣は集中しています。
オランダもアフェライ、フンテラールとフレッシュな若手が投入され、2回決定的な1vs1を迎えるんですが、2本とも川島が鬼神のようなセービング!川島△

そして後半ロスタイム、日本に最大のチャンスが訪れます。
長友のクロスを、パワープレー要員とて前線に貼っていた闘莉王が絶妙に落とし、岡崎が右足を振りぬくのですがクロスバーはるか上!
これは決めて欲しかったですね・・・

そしてそのまま0-1で試合は終了です。
結果、この大会で準優勝するオランダ相手に0-1と善戦しましたが、スコア以上の差はあった感じはしました。

それでも、ガチで戦った感じですし、すごくいい試合でしたね。
見ていて退屈しない試合だった記憶がありました。


まとめ

そして同グループのもう1試合、カメルーンvsデンマークは、デンマークがエトーに先制を許すも、2-1で逆転勝利。
そんな感じで第2戦を終えて、グループEの順位はこんな感じ6になりました。

1位 勝点6  +3  オランダ(決勝トーナメント進出決定)
2位 勝点3 ̟ ∔0  日本
3位 勝点3 -1  デンマーク
4位 勝点0 -2  カメルーン

オランダはこの時点で勝抜け決定で、最終戦でターンオーバーできる理想の展開になりました(しなかったんですが)
そしてカメルーンはこの時点で予選敗退が決まりました。

そして残り1枠は、日本とデンマークが直接対決で争うという、スラムダンクの湘北と陵南のごとく、非常に分かりやすい展開になったんですが、得失点差1があったので、引き分け以上でOKと日本にアドバンテージがありました。

そんな感じで次回の蹴球論は、日本中が揺れて、日本のサッカーがW杯で最も盛り上がったとも言われているデンマーク戦をレポートします。

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