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#408 読書論16|フライ、ダディ、フライ(金城一紀)

本日紹介する「FLY, DADDY, FLY(フライ、ダディ、フライ)」はこれまでに何度か紹介した金城一紀が贈る小説で、ザ・ゾンビーズ・シリーズの第2弾。
レヴォリューション No.3の続編となります。

主人公は中年サラリーマンなんですが、サラリーマンの悲哀、家族愛などをベースとし、ゾンビーズの面々と一緒に敵を退治しようとする、アクション&青春小説ですね。


FLY, DADDY, FLY あらすじ

実写版も公開されております(後述)

この物語の主人公の鈴木一(47)は平凡なサラリーマンと紹介されていますが、家を持ち、仕事を持ち、家庭を持つ相場より幸せなサラリーマンだったりします。
そんな鈴木さんは一人娘の遥(17)を溺愛しているんですけど、平和な日々がぶっ壊れる事件が起きてしまったんです。
事の発端はとある日、遙が学校帰りにカラオケに行った際に、石原というエリート高校に通うボクシングインターハイ王者にして、親が政治家というモンスター高校生にナンパされるんですが、遙はそれを断るんですが・・・石原激おこ!遥はこのエリート高校生にボコボコにされるんです!
なんという鬼畜

で、鈴木さんはその報を受けて、キレまくりまクリスティーで病院に行くんですが、そこにいた石原は罪の意識は皆無。「反省してまーす」とスノーボード国母を彷彿とさせる全く反省していない形だけの謝罪+石原のボクシング部の顧問&生活指導とかの先生が端金をチラつかせて、「オタクの娘さんのためにも示談の方がいいんじゃね?」と高圧的な態度。
そして顔を腫らして入院し、外傷だけではなく心にもヘヴィーな傷を負ってしまった遥ちゃん。

翌日、鈴木さんは包丁を持って「石原、殺る!」と会社をサボり、らしき学校に乗り込むのですが・・・間違えて石原のいる高校ではなく、その隣のアホ高校に行ってしまい、ゾンビーズの南方らのメンバーに出会い・・・
事情を説明したのち、南方からこんなアドバイスを受けるんです。

「1ヶ月トレーニングをして、石原をやっつけてやりましょう!」

そして鈴木さんの打倒石原を目指す、長い夏が始まるという、そんなストーリーです。


FLY, DADDY, FLY の魅力

そしてそんな鈴木さんのトレーニングは、ゾンビーズで腕力最強の在日コリアンの朴舜臣が鬼トレーナーとしてシゴキまくります。
ちなみにこの物語の70%くらいは、鈴木さんと舜臣がイチャイチャするシーンとなるんですが、最初はTHE 運動不足、中肉中背のサラリーマンだった鈴木さんが、徐々に贅肉が落ち、体脂肪が落ち、戦える体になっていくんです。
そして見る映画とかの趣味・思考が変わっていき、これまでローマの休日とか見ていた鈴木さんが、燃えよドラゴンを見るようになるとか、そういう変遷が非常に良いですね。

そんな中で、この2人の絆が深まっていく描写が非常に秀逸です。
最初は師匠と弟子の関係性なんですが、時として立場が逆転して親子の関係性にもなり、時としては親友のようにもなり・・・
徐々にお互いが心を開いていくのが良いですね。

そして、これを読んだ中年はこう思うはずです。
自分も時間があれば(有給を使えるなら)、こんなサラリーマン生活を1ヶ月だけでも過ごしてみたい・・・みたいな感じで、そんなノスタルジックな感傷にも浸れるところもいいですね。


FLY, DADDY, FLY のクロスメディア展開

かなり映画向きの小説であったとは思いますが、しっかりと映画化されております。堤真一&岡田准一の安定のコンビですが、ちょっと2人ともカッコ良すぎる印象がありますね笑
鈴木さんは俺の中では大杉漣とか、そんな感じのメガネが似合う中年が小説を読んだ時はのうりに浮かびましたね。
舜臣は・・・やっぱガチムチな感じがいいので須藤元気とかが浮かびましたが、須藤元気は敵の石原役でした笑

まぁ映画は興行ですので、キャストの華が必要です。
やはりその辺を考えると堤&岡田が納得ではあるんですが。

そしてこの実写版の主題歌はミスチルが歌ってるんですけど、歌詞があきらかにこの小説(映画)を意識した内容で素晴らしい。

甲「理論武装で攻め勝ったと思うなバカタレ」
乙「分かってる仕方ないだろう、他に打つ手立てなくて」
甲「威勢がいい割にちっとも前に進んでないぜ」
乙「黙ってろ、この荷物の重さ知らないくせして」

まさに甲が舜臣、乙が鈴木さんですね。
僕もこの曲をベスト10に上げるくらい思い入れがあったりします。


まとめ

そんな感じで非常に読みやすく、多分1時間ちょいで読めると思います。

GOにも通じる爽やかな読了後に爽やかな気分を感じる作品なので、是非読んでみてください!




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