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#888 漫画論69|ドラゴン桜

漫画論、最近読んだドラゴン桜を紹介しましょう。
この漫画の作者である三田紀房先生の作品は全部面白いんですけど、ルーツとなると僕はこの漫画だと思っているので、まずはこの漫画から紹介しましょう。
就活を扱う銀のアンカー、転職を扱うエンゼルバンク、起業を扱うマネーの拳とかも面白いです。あとインベスターZも面白いですね。


ドラゴン桜とは?

主人公の桜木は元暴走族なんですけど、頑張って司法試験に受かり、弁護士になったんです。
で、経営破綻状態となった落ちこぼれ高校、私立龍山高等学校の債務整理とかをしていたんですが、自分の実績を作ってステータスをあげるという利己的な目的で、この落ちこぼれ高校を進学校にしようとして経営再編を行い、偏差値の低い女子校生・水野と、受験に失敗して非行に走る矢島を捕まえて、1年で東大合格を目指すというストーリーです。

実写版も成功しており、阿部寛の桜木役は完璧すぎて何も言えないという笑


ドラゴン桜の魅力

この漫画は高校受験にて東大に合格する為のテクニックを学べる漫画なんですが、受験だけではなく、ビジネスシーンや子供の教育に関するノウハウなども学ぶことができるが特徴です。
そしてそれが漫画という図解を基本とした方式なので、非常に分かりやすいですし、いい感じに誇張したり、「引き」のタイミングも非常に上手いので、エンタメとしても楽しめます。
漫画に必要なのは画力ではなく、構成力というのを三田先生は教えてくれます。

パッと思いついたものをあげますが、中々参考になるものは多いです。


1. コーチングとティーチングの違いを学べる

所謂、おなかがすいて困っている人に、魚を釣ってあげるのがティーチング、魚の釣り方を教えるのがコーチングですね。
手取り足取り教えてあげる方法が良いのか、今度同様のシチュエーションがあった時に一人でできるようにした方が良いのか、シチュエーションによって変わると思いますが、どちらにも応用できるコーチングを教えておくべきですね。


2. ウサギ型かカメ型かの把握などを学べる

これは童話「ウサギと亀」の例であり、生徒のパターンとしては大きく2分されて、スパートをかける先行逃げ切り型か、スロースターターの追い上げ型かに分類できるようです。アリとキリギリスでも例えられそうですね。
これはどちらが正解と言うものではなく、生徒がどちらのタイプ化を把握しておく必要があるということです。それによって教え方やサポートが変わってくる、という話ですね。
また、生徒が「本番に強いタイプ」「本番に弱いタイプ」のどちらカモ把握しておく必要があります。教師(親・マネージャー)は色々と把握しておかなければならないのですね!


3. コミュニケーションの能力を学べる

これも本当に勉強になりました。
例えば人と会話する時は、5W1Hを活用した「オープンコミュニケーション」を多用した方が良いとか、人を褒める時のテクニックとか。
あとは「志望校をAからランクが落ちるBに変えようと思っている」と生徒に言われた時に、的確なアドバイスは何なのか?
あとは、裸の王様になんというアドバイスをするべきなのか?など、色々本当に勉強になります。


4. 合理的な考え方・テクニックが身につく

そしてやはりこれでしょう。
この漫画では「東大はテクニックで入れる」という自説で首尾一貫しており、受験は根性や基礎も必要ではあるが、大事なのは効率や勉強法、記憶力の上限や、脳のメカニズムだったりするというのは目に鱗。
ものさしは(定量のもの)1個でいいというのも合理的で、論理的ですよね。
本当に参考になるので、是非読んでみましょう。


ドラゴン桜の好きな登場人物BEST10

10位 高原先生

このメガネが高原先生なんですけど、とにかく高原先生は扱いが悪いんです笑
いつも余計なことを言って、桜木にボコボコに論破されるという悲しい星の下に生まれてしまい、「教師辞めろ!」まで言われてしまうんですが・・・
徐々に桜木の下で伸びる生徒たちを見て、桜木を信頼するようになったんですね。
続編の「ドラゴン桜2」では若いながら教頭に出世してますが、マジで空気です笑


9位 阿院先生

言うまでもなく、相対性理論を生み出した偉大なる科学者のアルベルト・アインシュタインから名前を拝借したのが阿院先生で、偏差値30台から1年で東大を目指す、水野と矢島向けに設立された東大特進クラス理科を教えるマッド・サイエンティストです。
他のアクが強い先生たちの中だとちょっと陰が薄いですが、この人の授業受けてみたいなと思わせる魅力がありそうな先生ですね。


8位 井野先生

そして井野先生です。
本作のヒロイン(?)的立ち回りなんですが、恐らく他の漫画でもそう無い「連載が始まる前にお見合いパーティーで主人公の桜木と出会い、SEXをしていた」という感じの不思議な関係性だったりします笑
終盤までは反桜木で、口ばっかりで文句ばっかり言って、何でも他人にやらせて人任せにして、立憲民主党の小西ひろゆき議員のような絵にかいたようなダメ教師なんですが、途中からはグッド・キャラクターになり、その勢いで姉妹作の「エンゼルバンク」では主人公になります。


7位 川口先生

川口先生は東大特進クラスの英語の先生です。
「いきなり体操服に着替えさせて、エクササイズをさせながらビートルズを歌わせる」という違う意味でキツい教育法で英語を教える褐色のマッチョマンですね。
ユニークであり、親しみを持たれるケースの先生ですね。

この先生の発言で一番印象に残っているのは、「日本人はローラースケートをちょっとでも滑れたら"できる"というけど、英語になると完璧主義になってしまい"できない"と言ってしまう」というのに対し、アメリカ人は「日本語?話せるよ、スシ・ニンジャ・アキハバラ!」みたいな感じでという国民性の違いですね。


6位 芥山先生

芥山先生は言うまでもなく芥川龍之介をモデルとした、東大特進クラスの国語教師です。
文章を正しく読み、理解する「読解力」は全ての教科に共通するので、国語の時間を多く取ってくれることを条件に就任してくれた国語愛に溢れるナイスガイです。
漢文とか古典で点数を稼ぐ、という考え方はセンセーショナルでした。まさにテクニックですよね。


5位 天野(ドラゴン桜2)

そしてドラゴン桜2からも選出しましょう。
この天野くんは内向的でウジウジしていて、何度も道を踏み外そうとするんですけど、途中からスイッチを入れて頑張ります。
毎日英語でYouTubeを配信するという地獄のようなカリキュラムを達成し、英語力をグッと伸ばすことに成功しました。この辺もアイデアですね。


4位 柳先生

柳先生は東大特進クラスの数学の先生であり、特進クラスのまとめ役だったりします。
かなり厳格なジジイで「詰め込み教育」を是とする古き良き時代のオールド・ボーイなんですが、かなり若い感性を持っており、ドラゴン桜2ではLINEを使いこなしたりしています。


3位 矢島

そして初代ドラゴン桜のメインキャラクターの矢島ですね。
矢島は父親が大手製薬会社か何かの社長で、長男と次男はエリートなんですが、三男の矢島だけ私立の小学校(中学も?)の受験に失敗し、そこからは悪い友達とクラブで遊ぶような、分かりやすい不良になり、両親からの期待もダダ下がりという感じでした。

が、父親を見返してやろうと特進クラスで勉強し、元々の基礎はできていたので飛躍的に伸びるんですが、メンタルが弱くて落ちたり上がったりを繰り返し、苦悩する感じで、正に「思春期の若者」ですね。
この矢島を投影した読者は多かったでしょう。

結果、現役では落ちてしまうのですが、一浪して東大に入学して官僚になり、世界を放浪したりイケてる人生を送っています。


2位 水野

そして同じく主人公の水野です。
母子家庭なんですが、スナックを経営する母親と折り合いが悪く、水野も連載1話目で桜木に援交を持ちかけたりするどうしょうもないトー横風女子校生だったんですが、改心して勉強して現役で東大に合格!
その後は続編ごとに設定が揺れているんですが、最終的には司法試験に合格して桜木法律事務所で働き、桜木のアシスタントを務めます。

そんな水野は作中で最も成長した生徒ですね。
学力もさることながら、ビジュアルも大分向上します。1話目とか酷かったですからね笑


1位 桜木先生

そして桜木先生です。
とにかく超合理的で、ロジカルで、機転が利いて、レスバトルに強い。
時として熱く、エモーショナルな部分も持ち合わせている最強のビジネスマンですね。
漫画界の誰でもいいから引き抜いて会社を作っていいと言われたら、僕は桜木をセレクトするでしょう。

とにかく発言の一つ一つが非常に参考になりますね。


まとめ

そんな感じで非常に面白い作品です。
これを大学受験前に読めた人はラッキーでしたね。
東大に合格できなくても、勉強に取り組む姿勢とか、その辺を学べるので確実に読んで意義がある漫画と言えるでしょう。

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