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#734 アルバム論46|HIGH KICKS / THE BLUE HEARTS(1991)

ブルーハーツを紹介し続けているアルバム論も今回で5回目ですが、
本日紹介するのはブルーハーツの5枚目のアルバム「HIGH KICKS」です。


HIGH KICKS とは?

前作「BUST WASTE HIP」から1年のスパンでリリースされたこのアルバムは、ブルーハーツで最も支持を集めていないアルバムだったりしています。

かのイノマーにも「あまり聞いていない」と言われてしまったり、「音楽誌が書かないJポップ批評20 ブルーハーツと日本のパンク」においても「焦点がぼやけた作品」とか言わてしまったり、僕にブルーハーツを教えてくれた従兄弟も「HICK KICKSは皆殺しのメロディだけ聞いとけばいいよ」と言ったり・・・バンドの転換期というか過渡期にリリースされたが故に、ちょっと評価が低い悲運なアルバムだったりします。

そんな感じでやはりファン以外に知られていない曲が多いのですが・・・
個人的な印象としてはメッセージ性の強い曲と言うよりかは適当にお遊び作った曲が多い印象で、このお遊びを突き詰めたのがハイロウズですね。
ブルーハーツがでっかくなりすぎたので、ハイロウズ的なものを求めた感じが今となれば垣間見えますね。


ろくでなしBLUESでもタイトルに使われてますね。


HIGH KICKS 全曲紹介

1. 皆殺しのメロディ

後期ブルーハーツを代表する超・攻撃的な「攻め」のナンバー。大好きです。

いきなりヒロトの「バカ~!!」で度肝を抜かれ、ライブバージョンではいかしたドラムが入り、河ちゃんの活かしたベースソロからマーシーのギターがユニゾンで加わり、ヒロトの「我々人類はバカ 過去現在未来 バカ」という攻撃的な歌詞!
その勢いでBメロ~サビと続きますが、全部カッコいいです。
サビのマーシーの印象的なギターはB-DASHにパクられました笑
そして最後の「夜の闇に悲鳴をあげた」の所までカッコいい。
最初から最後までカッコいい曲で、ファンにも人気の高い曲ですね。

トリビュートではマキシマム ザ ホルモンかなりカッコよくカヴァーしており、自分達の歌張りに歌ったりしてますね笑

そしてこの曲もろくでなしBLUESでも引用されていますね。森田先生のブルーハーツ愛が伝わります。

とにかく所見でこのアルバムを聴いた人は、「なんていうモンスターアルバムなんだ!」と相当期待したのではないでしょうか・・・


2. M・O・N・K・E・Y

ヒロトが当時乗っていたMONKEYというバイクについて歌った曲ですね。
好きなものを曲にしたというシンプルな曲で、バイクの曲だけにアップテンポで楽しい曲です。
ライブでも「エム・オー・エヌ・ケー・イー・ワイ」のコールが、YMCAばりに起きたことでしょう。


3. 心の救急車

河ちゃんが作った不思議な感じの曲です。
優しいメロディで、途中のギターソロは「恋のゲーム」っぽくて好きです。
何気に結構長尺で5分くらいありまして、今だからこそ感じるというのもありますが、若干宗教チックに聞こえますよね笑


4. あの娘にタッチ

このアルバムの先行シングルになった曲ですね。
ラブレターにも通じる、南国情緒溢れるアロハな感じの曲ですね。
ヒロトの優しい「ウーワーウーワータンタカタッタッター」のオノマトペと、マーシーのハワイアン風なギターがいい感じにリラックスできるというか、肩の力を抜いて聞ける曲です。
シングルCDのジャケットに女性のパイオツが映っているのは当時ドキドキしたものでしたね。


5. ホームラン

タイトルから推察される通りの野球の曲です。
ヒロトが好きなバイクの曲を作ったので、負けじとマーシーも好きな野球の曲を作ったというそんなグルーヴなのでしょう。
世の中は色々大変だけど、とりあえず俺は野球があればいいという感じの曲ですね笑
流石マーシーです。


6. 泣かないで恋人よ

アルバムの柱にもなっている、マーシー作の重厚なバラードです。
この曲は歌詞が良いですね。

遅すぎることなんて本当は ひとつもありはしないのだ
何するにせよ思った時が きっとふさわしい時

チッポケな嘘ついた夜には 自分がとてもチッポケな奴
どでかい嘘をつきとおすなら それは本当になる

あきらめきれぬ事があるなら あきらめられぬとあきらめる
あきらめきれぬ事があるなら それはきっといい事だ

と、ほとんど全部書いてしまいましたが・・・笑
ヒロトの優しいヴォーカルが染みる、泣ける曲ですね。


7. THE ROLLING MAN

「MAN」がつくあたり、後のハイロウズにもつながるような感じの曲です。
洋楽っぽいロックテイストな曲でマーシーの真骨頂、本当に作りたい曲を作った印象ですね。


8. 東京ゾンビ(ロシアンルーレット)

1曲目の皆殺しのメロディに通じる、攻撃的なロックンロールな曲ですね。いきなり始まるサビの部分は冷静に考えると歌詞の意味が分からないのですが、ギターもいい感じですし、むしろこの曲はちょっとクロマニヨンズっぽい感じですね(多分「東京ジョニーギター」の影響)


9. HAPPY BIRTHDAY

河ちゃんが作った曲です。
割と爽やかでポップなロックンロールなんですけど、チャレンジングな曲が多い良くも悪くもこのアルバムの中ではちょっと浮いている感じがします。
YOUNG AND PRETTYあたりに入っていたら違和感なかった感じもしますが・・・
歌詞の「雨の中を走れメロス 友達が待っている」とかは好きですね。


10. 闘う男

この曲も「THE ROLLING MAN」に繋がる感じで「男(MAN)」がつく感じだったり、ギターリフの展開がハイロウズの世界観っぽく聞こえたり、聞こえなかったりする、そんな曲ですね。
ギターのリフが終始印象的でして、歌詞の世界観も終始カッコいい感じの曲で、僕はこのアルバムでは結構好きな方に入りますね。
「虚勢は張るが虚勢はされない」とかいいですよね笑


11. ネオンサイン

ヒロトが作ったこれまた不思議なメロウな感じの曲ですね。
いきなりサビで、Aメロ~Bメロ~Aメロ~Bメロ~サビみたいな感じなんですけど、最初から最後まで優しい感じの曲です。
この次の次のDUG OUTに収録されてもしっくりくる感じのゆっくりめの曲ですね。


12. TOO MUCH PAIN

後期ブルーハーツを代表するバラードですね。
昔からあった曲のようですがお蔵入りになっており、「忘れていた」という理由でこの時期にリリースされたという笑

マーシーがヒロトが歌う前提で作ったバラードと推察しますが、ヒロトの歌唱力がこの曲を名曲に昇華させていますね。
個人的にはそんなに琴線に触れる曲ではないですが、名曲と思います。

銀杏BOYZでもこの曲をトリビュートで峯田が弾き語っていますが、好き勝手歌ってますね笑


13. さすらいのニコチン野郎

ラストを飾るのはこれまた意味が分からない歌詞の曲です。
僕はこの曲がこのアルバムで皆殺しのメロディの次に好きですね。
マーシーのギターのリフも変態的で、歌詞も意味が一切不明で、曲の構成がハイロウズっぽくて非常に秀逸。
元々ブルーハーツ前にマーシーが結成していたバンド「THE BREAKERS」の曲のようですが、非常にカッコいですね。


「HIGH KICKS」のヒロトとマーシー

今作で2人が作った曲はヒロト5曲、マーシー6曲、そして河ちゃん2曲です。

ヒロト作
皆殺しのメロディ、MONKEY、あの娘にタッチ、東京ゾンビ、ネオンサイン

マーシー作
ホームラン、泣かないで恋人よ、THE ROLLING MAN、闘う男、TOO MUCH PAIN、さすらいのニコチン野郎

河ちゃん作
心の救急車、HAPPY BIRTHDAY

このアルバムにおいては、「皆殺しのメロディ」で持ってるといっても過言ではないので「ヒロト派」ですね。
これでヒロト3勝、マーシー2勝となりました。

そんな感じでブルーハーツもそろそろ終盤、次は後期の最高傑作の呼び声も高いSTICK OUT(凸)を紹介します。

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