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#786 蹴球論70|2006年 オシムJAPAN始動

ここ最近の蹴球論では、「EURO2024」「Jリーグ(コンサドーレ)2024」「パリオリンピック2024」とリアルタイムのサッカーニュースを紹介してまいりましたが、また時間を2006年に戻します。

前回は中田英の引退まで書きましたので、それ以降の話ですね。

史上最大の失言

ジーコJAPANという暗黒の4年間が終わり、これまでの1999年でワールドユースを準優勝した黄金世代から着実に1つずつ積み上げてきた礎が一瞬でゼロになる賽の河原状態になってしまい、川淵三郎キャプテンは恐らく、こう思ったはずです。

「・・・やっぱ、A代表の監督は、監督経験が無いとダメだな・・・」

そう、川淵キャプテンも失敗で学んだんです。
そして日本サッカー協会はA代表の監督を誰に打診するか検討し、「この人しかいねー!」と辺りをつけて、水面下で交渉をしていたのですが・・・

川淵キャプテンがやらかしてしまいます。
世紀の大失言とも呼ばれた発言ですが「ジーコ監督の後任候補が、北京五輪の指揮も執るんですか?」という記者からの質問に対し、キャプテンはこう答えたんです。

***

川淵「(北京五輪の)監督はあくまで反町。スーパーバイザー的な立場、総監督の立場としてオシムが・・・」

(沈黙)

川淵「・・・オシムじゃない、次監が・・・」

(沈黙)


川淵「・・・オシムって言っちゃったね」


まだ交渉中の人事を、うっかり口を滑らせてしまう稀代の大失言!
これでジェフサポーターが切れまくっていた記憶があります笑

そんな感じのこの愚行で、交渉が一瞬でゼロになってもおかしくないデリケートな話でしたが、無事にオシムも承諾。オシムJAPANはこんな前途多難な感じでスタートしました。


イビチャ・オシム監督とは?

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ出身で、自身もプロサッカー選手として活躍し、東京オリンピックではユーゴ代表として日本相手にゴールも決めたりで、クラブ・代表などでも活躍した後に、現役引退して指導者の道へ。
1990年にユーゴ代表監督としてベスト8に導き、その後もギリシャやオーストリアのクラブを指導した後の2003年に来日し、ジェフの監督となりました。

ジェフはそれまで、そんな強いチームではなかったのですが、オシムが来た2003年に3位、翌年2004年は主力をガッツリ抜かれるも4位、翌年2005年は更に主力をガッツリ抜かれるも4位&ナビスコカップ優勝、2006年もナビスコ連覇と、確実に監督の力でジェフが強くなりました

マジでその手腕はJリーグファンは誰もが認めていたので、当時のジェフファンの気持ちを慮るとアレですが、オシムの就任は個人的には結構嬉しかったですね。


オシムJAPAN始動

そんなオシムが初収集で集めたメンバーは下記の通り。
驚くのはメンバーが13人という事実!笑
流石オシムさんはワクワクさせてくれるぜ!と思ったものでした。

  1 GK 川口 能活(磐田)
  2 DF 坪井 慶介(浦和)
  3 DF 三都主アレサンドロ(浦和)
  4 DF 田中マルクス闘莉王(浦和)★
  5 DF 駒野 友一(広島)
  6 MF 今野 泰幸(FC東京)
  7 MF 田中 隼磨(横浜FM)★
  8 MF 小林 大悟(大宮)★
  9 FW 我那覇 和樹(川崎)★
10 FW 田中 達也(浦和)
11 FW 佐藤 寿人(広島)
12 GK 山岸 範宏(浦和)★
13  MF 長谷部 誠(浦和)

★は代表初招集

13人中5人がA代表初招集という新しいムーブメントです。

補足すると、この試合は海外組は未招集となっており、中澤はこの時には代表引退を宣言していました。
あと、ジェフとガンバの選手が今のACLか何かに戦っていたので全員不参加。よって本来であれば、ここにガンバの遠藤加地、ジェフの阿部が招集されていたことでしょう。

そして追加招集されたのが以下の面々。全員代表初招集という笑

14 MF 山瀬 功治(横浜FM)★
15 MF 鈴木 啓太(浦和)★
16 DF 栗原 勇藏(横浜FM)★
17 FW 坂田 大輔(横浜FM)★
18 MF 中村 直志(名古屋)★
19 DF 青山 直晃(清水)★

そんな感じで19人中11人が初招集というのもですがシドニー世代(黄金世代)がほぼいなくて、ほとんどがアテネ世代以降という陣営は、確実に4年後を見据えた上での招集だったのでしょう。
この時点でジーコさんとの違いが垣間見えますね笑


初陣|トリニダード・トバゴ戦

そんな感じで期待のオシムジャパン初陣のトリニダード・トバゴ戦、チケットは完売だった模様。
ドイツW杯の惨敗でファン離れが多少起きたと思いますが、オシムでそれを補完できたのは素晴らしいですね。さすが俺らのキャプテン・川淵三郎!

フォーメーションはこんな感じのオーソドックスな4-4-2でした。

この年のJリーグMVPであり、同胞で言葉も通じるのに、なぜかジーコさんに冷遇されていた闘莉王も初招集初スタメンです。
山瀬、鈴木啓太、我那覇、田中隼麿も初招集でスタメンという偉業です。

そんな感じで始まったこの試合、僕は仕事で見れなったのですが・・・
やはり老練というか何というか、スタメンでもっともA代表のキャリアがある三ちゃんこと三都主アレサンドロがFKで先制し、更に裏に抜け出して追加点。
試合後に友人から「3番の三ちゃんが大活躍だったね」とメールが来てました笑


まとめ

以降のオシムJAPANはアジアカップ2007の予選を戦ったりするんです。
相手の違いはありますが、ジーコJAPANが序盤もたつきまくっていたのとは対照的に、着実に新チームで勝利を重ねて、自信をつけてきて、チームとしての円熟度が徐々に高まっていきます。

そんな感じで序盤の集大成・アジアカップ2007を紹介したい所ですが、その直前のペルーとの親善試合がなかなか熱かったので、次回はそんなペルー戦を紹介しましょう!

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