#163 漫画論18| オフサイド
オフサイドは高校サッカーを代表する漫画であり、のちに「Jドリーム」「コラソン」などサッカー漫画を世に輩出し続ける塀内夏子先生のサッカー漫画デビュー作です(などに10巻くらいまでは塀内真人名義ですが笑)
僕がサッカー漫画で一番好きなのは多分この漫画ですね。
オフサイド あらすじ
中学時代に1勝もすることができなかった白百合中学校のキャプテンにしてゴールキーパーで、とにかくガタイがデカい熊谷五郎。
最後に練習試合でもいいから1勝でもしたいという思いで、マネージャーでヒロインの渚が組んだ練習試合の相手は、市内でダントツで強いが素行が悪くて大会出場停止を喰らっていた強豪・南波中(名前うろ覚え)。
そんな南波中は薬丸英樹と佐藤真吾の2トップがエグく、何度も攻められるんですが五郎が全てのシュートをセーブし、セーブ後のカウンターから白百合中がゴールを決めて奇跡的に勝利!!
そして、薬丸と真吾は「ヨコナン(横浜南高校)に行って、一緒に高校サッカーで国立を目指そう」と誘い、五郎もその気になっていた受験当日。交通事故に合いそうな渚を助けるために受験に間に合わず・・・五郎はヨコナンへの進学を断念し、隣の川崎高校(川高)へ。
そして川高に行くと、そこにはヨコナンの試験でカンニングをして川高に来た薬丸と真吾が・・・
という感じで長くなってしまいましたが、高校3年間を入学から卒業まで描いたサッカー漫画ですね。
オフサイドの魅力
前述の通りですが、やはり高校3年間をしっかり描いたところが良いですね。
シュートとか高2のインターハイ後とかよく分からない時期で終わっちゃうし、前回のイレブンとかも高校サッカー編は一瞬だったし、キャプテン翼もこれは中学ですが最後の1年しかやらなかったりでしたが、オフサイドは3年間の時間の移り変わりを描いたのがすごく良いです。
故に、キャラクターの成長とかがすごく活きてきて良いんです。
試合もコンパクトですし、試合と試合の間の「高校生の日常」とかを書いていつつ、無駄もなくテンポよくサクサク読めるのがいいですね。
そして、しっかりと主人公チーム(川高)の負けを描くところもいい。
高1のインターハイはヨコナンに負け、高1の選手権は静岡第一(静一)に負け、高3のインターハイで蕪双に負けたのがいいですね。
しっかりリベンジをかます伏線になっているという感じがいいです。
とにかく青春が詰まっている、マジで素晴らしい漫画です。
オフサイドの好きな試合ベスト10
10位 川崎 vs 横浜南(高1インターハイ 神奈川予選決勝)
五郎・薬丸・シンゴの1年生トリオと、キャプテンの織田さんを中心に神奈川予選で決勝で対戦した相手は因縁のヨコナン。
ヨコナンのエース茅野に格の違いを見せつけられて2点を先制されるも、膝の怪我を押して出場した織田さんが劇的ゴールで1点を返して1-2に。
しかし、織田さんの膝はボロボロでピッチに倒れてしまい、動揺する五郎は試合中にも関わらず織田さんに駆け寄り、その隙に点を決められて1-3とリードを許してしまいます。これはうかつでした!
で、最後薬丸が得点して追い上げるも2-3で敗戦。
試合としてかなり秀逸な、川高初の敗戦となりました。
9位 川崎 vs 横浜南(高1選手権 神奈川予選決勝)
そしてインターハイのリベンジをかまそうとする川高。
ここでGKにヨコナンの日比野慶彦の双子の弟の勝彦が加わり、五郎はフィールダーに転向します。で、フィールダーになった五郎はそのパワーで大爆発。予選はアホみたいに点取ってましたね笑
そして決勝まで勝ち進み、膝の怪我から復帰した織田さんと五郎がフィールダーとして初めて共にピッチに。
ここで五郎が躍動し、ハットトリックを決めて3-2でヨコナンを下し、初の全国大会出場!
試合後、織田さんに泣きながら駆け寄る2年生の太田と馬場という脇役が泣かせる、良い試合でしたね。
8位 川崎 vs 静一(高1選手権 準々決勝)
そして初の選手権に出場した川高は五郎が点を取りまくり、1回戦から3回戦までで5〜6点取って、相手は前回優勝で高校no.1チームの静岡第一。
エース暮林は2年生ながら10番を背負う超エース。
そんな暮林に翻弄され、前半だけで2失点して0-2で後半を迎え、五郎のゴールで追い上げるも時すでに遅し。1-2で惜敗となりました。
とは言え、1年生主体のチームで初出場でベスト8は立派ですし、結局ぶっちぎりで優勝する静一から唯一点をチームということで期待を馳せて、五郎達の1年目のシーズンは終了します。
7位 神奈川選抜 vs 鹿児島選抜(高2国体 決勝)
そして高2のインターハイは漫画上では行われず(欄外でベスト8だったという表記のみ)、高2の夏は神奈川県の高校で選抜されたメンバーで戦う国体編でした。この辺も非常に面白かったですね。
川高からは五郎、薬丸、シンゴ、勝彦、更には1年生の島本が選出され、ヨコナンからは茅野、日比野慶彦、倉地。更には瀬谷二高の島原、大友、茅ヶ崎工業の黒崎、更には悲運のアシスト王・保坂などオールスターが集うメンバー。
そして静岡一高の単独参加だった静岡選抜も準決勝で下し、決勝はフィジカル・モンスターの鹿児島選抜(ここも鹿児島学院の単独参加)
しかし、最後は茅野→五郎のゴールデンコンビによるホットラインでゴールを決めて勝利!優勝でした!
6位 川崎 vs 横浜南(高2選手権 神奈川予選決勝)
そして2年生の冬、決勝戦のカードは昨年同様です。
ヨコナンの茅野は五郎より学年が1つ上なので最後の大会になり、気合十分。とにかく茅野はかなりカッコよく扱われており、この試合でも2ゴールを決める活躍を見せるのですが、最後は川高がブッチギリます。
とにかく茅野は敵ながら、かなりいい感じで扱われていた好敵手(ライバル)でしたね。最初の登場シーンは性格悪かったですが笑
5位 川崎 vs 静一(高2選手権 決勝)
そして高校2年生のハイライトは、この最強チームの静一戦です。
結果、4-3で接戦を制して川高が初優勝するんですけど、いい試合でしたね。
4位 川崎 vs 蕪双(高3インターハイ 2回戦)
そして高3の夏、前年の選手権を制覇した優勝候補の川高は2回戦で敗退します。
1つは慢心(油断)、そしてもう1つがこの新たなるライバル・松浦猛です。この超不良、超悪ガキの松浦がラスボスとして僕は大好きですね。
とにかく2年間の出場停止だったのも頷ける男塾系の高校なんですが、世代最強のチームを不良が倒すという展開が非常に良かったですね。
3位 川崎 vs 横浜南(高3選手権 神奈川予選決勝)
そして3年連続、選手権予選決勝は川高vsヨコナンなんですが、茅野が抜けてヨコナンはスケールダウン。その中でも勝つための戦略を練るのは天晴れです。
この試合は日比野勝彦vs慶彦の双子対決や、島本vs不破の幼馴染対決など見せ所が多い、好勝負でした。
そしてあとは最初はクソみたいな監督だったヨコナンの有本監督が、最後生意気な薬丸とシンゴに対して「・・・・・」と認めるシーンがすごく良いですね。
2位 川崎 vs 成京(高3選手権 準決勝)
そして同じく新キャラの成京高校も良かった。
中でも的場はFKの名手という当時にしても新しいキャラクターでしたね。
とは言え試合は圧倒的に川高が攻めると言うのもなんとなく良かったですね。
1位 川崎 vs 蕪双(高3選手権 決勝)
そして1位はこれしかないでしょう。
夏のリベンジを果たしたい川高と、接戦を制して決勝まで勝ち上がってきた蕪双。五郎 vs 松浦の2回戦です。
で、最後は4-3で川高が2連覇するんですが、松浦はハットトリックして敗者になるのが良かったし、「サッカーなんて高校までの遊び」と言っていた松浦がこの試合で感じるものがあり、監督に後ろを向いたまま「高校までって約束だったけど、続けてやってもいい」というシーンは名場面過ぎて泣けます。
とにかくラストにふさわしい名勝負でした。
オフサイドメンバーでベスト11を選ぶ
なかなか難しいですが、ちょっと考えてみました。
GKは九鬼(#01)ですね。シジマールを彷彿とさせる蜘蛛男。
DFはあまりいないのですが、3枚で行きましょう。
1人はリベロ&和製フリットと呼ばれた沢村(#04)は鉄板ですね。
残りは津野(#03)、そして島本(#06)ですかね。
MFは4枚。
まずは主人公で最高のボランチ・五郎(#05)、そして茅野(#08)ですね。あとは暮林(#10)と、的場(#7)ですかね。
FWは3枚。
左はシンゴ(#11)、右に薬丸(#09)、そしてセンターは松浦(#15)でしょう。
控えは西崎(#14)、織田さん(#18)、蘇我(#19)、明智(#16)、池永(#12)ってとこですかね。
=========松浦=========
==シンゴ===========薬丸==
====================
=的場==============暮林=
====================
======五郎====茅野======
====================
====沢村========島本====
=========津野=========
====================
=========九鬼=========
最後に
とにかく何度も言ってますが、青春が全てこの漫画に詰まってます。
そして高校3年間のサッカーを29巻で終わらせるというコンパクト具合も素晴らしい。
脇役の描写も素晴らしいし、是非読んで欲しいサッカー漫画ですね。
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