#692 蹴球論62|2006年 ドイツワールドカップ② 日本vsクロアチア ~急にボールが来たから~
前回紹介したカイザースラウテルンの悲劇に続いて、ドイツW杯のマッチレポートを紹介しましょう。
本日紹介するのは第2戦のクロアチア戦です。
ちなみに第1節が終わり、グループFはこんな感じでした。
ブラジルはカカのゴールで1-0でキッチリ勝利しており、勝者と敗者が明確となっており、日本もクロアチアも共に1敗しており、絶対に負けられない戦いでした(最終戦でブラジル戦を控えている日本は特に・・・)
クロアチアとは?
クロアチアとは日本がこれまでに出場した7回のW杯のうち、3大会で対戦しているというなかなかの頻度で対戦している国です。
その歴史のルーツを辿れば、1992年にユーゴスラビア連邦が崩壊して、「新ユーゴスラビア」「スロベニア」「ボスニア・ヘルツェゴビナ」などと同タイミングで独立し、その歴史は浅いながらもW杯で言えば、98年の初出場で3位、前々回の2018年は準優勝、そして前回2022年も3位と、本番に強いチームとして有名ですね。
これまでの激戦をひも解いてみましょう。
1998年 フランスW杯|0●1
初めて対戦した98年ワールドカップは、同じく第2戦での戦いでした。
当時のクロアチアはボバン、ボクシッチ、シュケルとタレントは揃っており、日本戦でもゴールを決めたシュケルはその勢いで得点王にもなりました。
日本は中田が孤軍奮闘していましたが、牙城を崩せなかったですね。
2022年 カタールW杯|1▲1(1 PK 4)
そして前回大会でも対戦しており、前回大会ではPK戦の末、日本は敗れました。
予選でドイツとスペインを倒した日本でも、クロアチアに勝てないというのは、やはりクロアチアが一枚上手であり試合巧者であったことが理由でしょう。
そして日本を破った勢いで、その次のブラジルも下し、ベスト4で優勝したアルゼンチンに敗れるも3位の成績もですし、2大会連続でベスト4と言うのは素晴らしいですね。
そんな感じで時系列バラバラですが・・・
今回紹介するのはクロアチアとの「第2戦目」ですね。
日本代表スタメン
前節のオーストラリア戦から変更は2人。
駒野に代えて怪我から復帰した加地、そして坪井に代えてアジア最終予選MVPとも言われた小笠原が入り、それに伴いシステムも3-5-2から4-4-2に変更となりました。
とにかく勝つしかない感じなので、攻撃的MFを増やして攻めに出たと言えるでしょう。
クロアチアはコバチ兄弟(弟のロベルト・コバチは当時ユベントス所属)で、ミランにいたダリオ・シミッチ、エースのプルソ、そして何と言っても監督の息子であるクラニチャールが注目されていました。
そして最年少で当時20歳、後のバロンドーラ―であるルカ・モドリッチも招集されています。
マッチレポート
前半
序盤は一進一退の攻防を繰り広げ、かなり激しいバトルとなっておりました。あまり覚えていないのでハイライトを見ながら書いてますが…
しかし!
前半20分、この試合最大のピンチが訪れます。
ペナルティーエリア内で、宮本がボールの落下位置を見誤り、頭を越えてしまったボールを奪取しようとプルソを倒してしまい、PKを与えてしまいます!これは困った!
宮本さん、何してくれはるんですか!
そして迎えた最大のピンチ、しかし守護神は川口です。
アジアカップ2004の例もあり、なんとなく川口は止めてくれそうな気がしていたんですが・・・
スルナのPKを完全に読んで、PKストップを成功!川口△!
これで勢いに乗り、中田のミドルなど得点を予感させるシーンなどもありつつ、後半戦を迎えます。
後半
後半開始のタイミングで福西→稲本への交代がありましたが、この意図はなんだったんですかね?日韓W杯のミラクルに賭けたのでしょうか・・・?
そして後半開始早々、この試合最大の山場を迎えます。
この試合加地が調子よく、ガンガン前にボールを運んでいましたが、そんな中で高原とのワンツーで縦に抜け出し、GKのタイミングも外してゴール前に最高のクロス!
軽く当てるだけで入るようなパスだったんですが・・・
柳沢はアウトに当てて外してしまう訳です。
そして試合後のインタビューでこのプレーについて聞かれて、FWとしての職務を全否定するコメントを残してしまうのですね。
これは「Q(急に)B(ボールが)K(来たから)」、通称QBKとも呼ばれてネタにされておりますが・・・まぁサッカーなんてこんなもんですよね。
たまたま外しただけであって、このひとつのプレイが柳沢を否定する内容では勿論無いです。
怪物と呼ばれた選手権、シドニーオリンピックアメリカ戦の先制弾、過去の親善試合でのイタリア戦のボレー、日韓W杯の絶妙な稲本へのアシスト、コンフェデ2005のメキシコ戦の先制弾、最終予選の北朝鮮戦の先制弾、直前のテストマッチでの高原へのラストパスetc…
柳沢がいたから勝てた試合もたくさんあるので、このワンプレーで攻めるのは酷ですよね。
2大会連続でW杯でスタメン出場したFWというだけでも他に比較できる選手もいないでしょうし、そのセンスは誰もが認めていた訳なので、このミスはたまたま起きてしまったという感じですね
そして日本代表は玉田や大黒を投入しますが、なかなか1点が届かず…
結果は0-0のスコアレスドローで終わってしまいます。
試合を終えて
そんな感じで勝てなかったクロアチア戦でしたが、この試合のマンオブザマッチには中田英が選出されました。
惜しいミドル数本と、闘う姿勢がやはりずば抜けてましたね(個人的には川口と思ってましたが)
そんな感じで他会場ではブラジルがしっかりオーストラリアを下して2連勝で決勝トーナメント進出。
オーストラリアがクロアチアに勝ってしまうとその時点で日本の決勝トーナメントの道は絶たれるので、この試合が引き分け or クロアチア勝利がまず条件。
その上で日本はブラジルに勝つことがマストでありながら、大量得点が求められるというななかエグい展開に。
イメージとしては下記のような感じで、クロアチアとオーストラリアが引き分けて、日本がブラジルに3点差で勝利するという展開ですね。
てな感じでかなりキツイのはありつつ・・・
一縷の望みに賭けて、ブラジルと対戦します(続く)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?