Hoshizora
星空
たちまちドアが蹴り破られた。ミンスはきっと思った。「これは壊れているらしいな」
扉の奥の部屋であろうこの部屋は、真っ暗で窓には月が出ていそうな明るさだ。ここで何泊過ごしたであろう。足は痒く、トイレは臭い。人は嘘をつく。部屋着は薄い、寝れない冷えた身体を、薄い毛布が横たわる。さっき飲んだ水をミンスは探した。この国の水は、きっと美味い。こちらから見た景色と向こうから見た景色。僕はどちらも見たことがある。例えば、渚が風に揺られているように。鉄は熱いうちに打てというのは本当らしい。コンクリートは熱を帯び、車道を汚す。守られたものは、マクドナルドの地下を知らない。ミンスは、部屋の鍵を探した。まずは自分のiPadの中を見てみる。ない。次はトイレ。ない。結局、鍵は出てこなかった。
いつものように、ミンスは部屋の前でドミノ倒しをした。一つはみ出したドミノは5だった。好きな女の子は、いつも5のついている住所に住んでいるはずだった。
ここの部屋はラブリーパレード。今の時代の牢獄だ。
僕は僕を記録するために生きている。この空間を絵に描くとしたら、とてもじゃないが、書けない。何故かというと、広すぎるからである。動物なんかもいてさ、とミンスがいう。僕は、地下鉄といった。その時、老婆が通りかかって、しりとりになってないわと言った。ミンスと僕は木を見た。木の周りには、自然と草木が生い茂っていた。自転車に乗り僕らは、場所を変えようと言った。けれども、僕らは帰ることをしなかった。何故なら、変えようとした沼地には、ナマズがでるという知らせが、先ほどのiPadに並んでいたからだ。このiPadは、磁力を扱える武器である。僕の友達が死んだ。また、死んだ。僕はよく死ぬなと言った。ミンスは、「今夜、月だからじゃない?」と言った。僕は、テーブルの上のチェスをミンスのクイーンに向けたのた。「チェックメイト」、その時、チェスを見ていたおじいさんが言った。クイーンズチェックメイトじゃないか?それをどこで覚えたんだ?」と言った。僕らは、きっと声を揃えて言った。きっと牢屋だよ。僕らが入っていた、そう5歳からだよ。牢屋さ。
僕とミンスは牢屋で出会った。昔の牢屋だ。正確に言うと、昔式の牢屋さ。そこは不思議なもので、鍵がよく開いているんだ。何で?そうだね、人が出入りできるようになってるんだよ。不思議な牢屋さ。
なあ、ミンス。僕らはいつ出れるんだろうか。僕は答えた。大人になったらじゃないか?
お爺さんとお婆さんは、流れ星を見たねと言って、並んで歩いていた。窓の下を走る犬達が吠えている。ソリもないのに吠えている。
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