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オレンジ色の猫?

モンゴメリーの「赤毛のアン」シリーズの一つ『アンの夢の家』(Anne's House of Dreams)という小説があります。その一節に

Captain Jim placed a chair for Anne, having first removed from there a huge, orange-coloured cat and a newspaper.

この猫はどのような色をした猫なのでしょうか。英語をそのまま日本語に訳すと、「オレンジ色をした猫」となりますよね。いくら小説だとは言え、ミカン色をした猫はいませんよね。ここでの猫は、茶色の猫です。欧米と日本の文化が異なるわけですから、色彩も異なるのも当然ですよね。

日本語でも紹介します。交通信号を思い出してください。赤は止まれ。青は進めですよね。あれ、信号の色は青色でしたか。私には、緑色に見えます。さらに、「目に青葉」と言いますが、若葉は青色ですか。やはり、緑ですよね。

色に関することでもう一つ。虹は何色ですか。そのような当たり前のことを聞かないでと言われそうですが、インターネットで検索してみてください。アメリカやイギリスでは、藍色を区別しないで6色としていますし、ドイツでは、さらに橙色も区別せず5色としています。アフリカでは、寒色と暖色の二色としているところもあるようです。

語学に興味を持つ人が多くいます。その国の言葉を理解するのに、文法や語句の意味を覚えることも大事ですが、文化的な背景を調べてみることも大事ですよね。そうそう、言葉は、その言葉が誕生した背景や、語源を調べてみるとさらに面白いですよ。例えば、「理想郷」を意味する「ユートピア」はイギリスの思想家トマス・モアが1516年にラテン語で出版した著作『ユートピア』に登場する架空の国家の名前から来ています。もともとは、ギリシア語を手がかりに、〈どこにもないou場所topos〉と〈良いeu場所topos〉とを結びつけてトマス・モアが造ったとされています。

まさに、探求から探究です。まずは、「なぜ」「どうして」「始まりは」「誰が」「いつから」など素朴な疑問を持つことから出発です。そういえば、高校時代に英語のサイドリーダーでは、日本語に直訳した後に、具体的にどのようなことかとか、その場面を説明させられましたね。当時は、訳すことに必死になっていて、なぜそのようなことを聞かれるのかまでは、思いが至りませんでした。ただ、恩師は、やがて、気づく時が来ると信じて、なぜということまでは、教えなかったのだろうな。ただし、作品が生まれた時代背景や作者の境遇などは教わった気がします。

ここで紹介したように学ぶことは、自分を成長させます。また、自分で論理的に考えることは、大きな武器になります。誰かの意見であっても、「なぜ」「どうして」「何が根拠なの」「本当なの」など、クリティカルに考えることは、ますます重要になってきます。

ただし、自分に都合の良いように考えることとは全く別物ですよ。



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