タイミングと運
今回は経営者っぽいお話をしたいと思います。
事業を始めた時は、あーしたい、こーなりたいと大きなビジョンを掲げておりました。
多くの起業家が大体そうですよね。
つまりは目標設定の話。
しかし、途中からは忘れたわけではないけれど、いかに売上を維持するか、雇用を守るかに捉われてしまって、目標はあるけれど、目の前のことにただただ必死になる毎日が過ぎていただけのようにも感じます。
スタートアップの経営人は走り続けなければなりません。
お休みと言っても、本当のお休みは年末年始くらいの数日ではないでしょうか。
私も底無しに元気に思われますが、言うても子供3人を育てる母ですので、時間がフルオープンな訳ではありません。
その中で、加えて、途中離婚も経験し、よくまーやってきているなと感じます。
今年の初めは、愛する実の母も闘病の末、他界し、一番の心の拠り所を失いました。
これは初めてお話しすることかもしれませんが、母の希望もあって、最後は在宅看護で、家族で看取ることが出来ました。
最後の方の、私と母の会話は毎日、
「生んでくれてありがとう。育ててくれてありがとう。愛してるよ。」
「あなたが娘で良かった。ありがとう。愛してるよ。」と身体をさすりながら、手を握り合いながら、伝え合う毎日でした。
母の前では泣かない。心配をかけない。そうやって接する毎日でした。
だけど、母が息を引き取った翌朝、
死に化粧を娘の私が、実家の和室で母と二人きりさせてもらった時、
さすがに嗚咽して、泣き崩れてしまいました。
お化粧が大好きだった母に、化粧をしていると、すごく、すごく、綺麗で、
それはそれは本当に綺麗で、
なんて綺麗な人だったんだろうって、
母の娘に生まれたことは私にとって誇りで、
最高の母のもとで育てられてきたことに、感謝しかありませんでした。
「綺麗だね、本当に綺麗だね、ありがとう。ありがとう。」と震えながら、
母の唇に口紅を塗りました。
母が大好きだったサザンオールスターズの曲がより一層沁みた時でした。
今まで、幾度ももう経営を辞めたいと思っては、
いや、本当に自分はやり切ったのか?何を今、守りたいのか?優先にすべきことは何か?と問うては、自分を奮い立たせ、生きていることに感謝をし、死ぬわけではないと立ち向かって来たと思います。
それは、いつも母が「あなたは絶対にうまくいく。あなたは他の人が持ってないものを持ってるわ。自分が生まれ持っている運を信じなさい。」と私をいつも励まし、応援してくれたからだと思います。
母の死は、私にとって大きな転機となりましたが、
また一つ強くなったと感じております。
目で見えること、聞こえること、計算できることばかりに惑わされずに、
本質を見抜き、心に従い、冷静に判断することが出来るようになりました。
そんな中、最近はありがたいことに、本当に各方面から弊社の事業を一緒に盛り上げたい!資金提供したい!グループ会社にならないか?などと、お声がけをいただけるようになりました。
わざわざこの私に、電車や新幹線、飛行機に乗って、会いに来てくださる方々ばかりで、恐縮でもありながら、ああ、やっとここまで来たかと感じることもあります。
起業当時は、あそこに登ってみたい。
あの景色を見てみたいと必死になっていたけれど、今ではそれが目の前にゴンドラが用意されていて、さあ、乗りなさい、おゆきなさい、と言われているような不思議な状況です。
何故なんだろうか?と、冷静に考えても答えは出ない。
これはもう自分の持つ運としか言いようがない。
仏教の教えのように、その分、自分が今まで努力してきたからと答えたいとこですが、正直努力=実現とはまた別の話であると感じているし、
戦略があってどうのこうのって言うても、
今自分に来ているこのチャンスの波は並大抵ではないラッキー(運)以外に考えられないわけです。
説明がつかないことは、目に見えない非現実的なことに理由づけるタイプだと自分でも思います。
ただ、このラッキーは、私にとってのラッキーというよりは会社にとってのラッキーなので、
私自身においては、必死に積み上げてきたものを一旦解いて、会社のための選択をするタイミングに来ています。
その点においては、かなりの葛藤もあります。
かつて、どなたかが仰っていた言葉を思い出しました。
「会社が組織になっていき、拡大する時は、自分の会社だけれど、多くの人が関わり、自分の会社じゃなくなっていく。」と。
あーなるほど、こーゆう感覚かと
今、まさにそこにおります。
正式な公表は、これからになりますので楽しみにしていただければと思いますが、今、起業した時に、願っていたことが揃う時に来ております。
弊社の事業はソーシャルビジネスです。
民間企業が社会課題を解決することが目的。
そして、私がやりたいのは一民間企業が社会的なインパクトを残し、町に貢献していくこと。
一生語り継がれるような会社にしたいですね。
私は経営者に必要なのは、運だと思っています。
チャンスが舞い込む運。
人と出会える運。
星の桁違いの運。
少なくとも、私の尊敬する経営者の皆さんには、必ずと言ってもいいほど、それが備わっています。
逆にどんなに、度胸があっても、情熱があっても、実行力があっても、頭の回転が早くても、運が味方をしてくれない人はうまくいっていません。
ありがたいことに、今の私は運に恵まれています。
その運を使い分けるタイミングをしっかりと見極め、また会社とともに、自分もしっかりと成長したいと思います。
思いも寄らない形で、会社がまた一気に面白くなっていきます。
この運を、世間の為にお役立てしたいと思います。