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”淡く滲む僕の恋” BUCK-TICK

聴き手に複雑で、自身が抱く感情でありながらも読み解くには難解な、それでいて澄み切った余韻を残す素晴らしい名曲に出会ってしまった…

『恋』/BUCK-TICK

本当にヒデさんは素晴らしいバラードを描く…

このエレクトロで独特な浮遊感とバンドの演奏とのマッチングは星野英彦×CUBE-JUICEの取り合わせ、阿吽の呼吸と言ったところでしょうか。本当に美しい。

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この神秘的な世界観の中で、

爪先に血が滲むほど踊り、疲れ眠る君は誰なんだろうか、

”滲む僕の恋”の対象である君の正体は。

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「踊る 踊る 踊る 君は 愛」

櫻井さんの書く詞に”踊る”というワードがちょくちょく出てくる。

過去作品を読み返した時に、この”踊る”っていうワードは”生”の比喩の一つなのではないかと感じて。

バンドが描き続ける”生と死”というテーマに置いて、この”踊る”という表現は”生きる”こと、悲喜交々な感情、人生の機微、浮き沈みを曲中の主人公に踊らせることで表現しているような気がしたんです。

そう考えるとこの曲に出てくる”愛”というのは”生”そのものなのではないかというように思えてきます。

そしてその”君”=”愛”恋焦がれている僕というのはまさしく”生”への執着を表していていると捉えられます。

でも

恋焦がれても、夢 幻、そして夢破れる…

結局命っていつか尽きるんだっていうことを改めて感じさせられます。

永遠っていうのは概念なだけで、結局のところ生きている間に永遠を知る術はないんですよね。どれだけ”生”を願ってもいつか終わりがやって来る。

血が滲むほど踊り疲れ、そして眠る。そんな”君”に恋焦がれ、愛おしくて、でも差し伸べた私のこの両手をすり抜けて行ってしまう…天国への扉を叩きに…

”淡く滲む僕の恋”

ただこの曲の凄いところは

いつか訪れる終わりを悲観的には捉えてはいなくて、それも含め”生”=”愛”として捉え、僕は”恋焦がれ”ている

ところなんじゃないかなと。

これは以前から”死”を”新しい旅立ち”、『die』でMステに出た時に櫻井さんが言ってた通りじゃないかなって。もっとファンタジーのようなと。

もちろん、暗闇を歩くには勇気が必要で、怖くないなんて嘘になる。

でも、

今まで歩いてきた、踊ってきたこの暗闇での出来事全てが愛で、その全てに恋焦がれている僕がいる

そんな印象。今までの出来事が光として暗闇を照らしてくれているような感じもしますよね。

だから悲観的にはならないし、それは曲そのものが持つ世界観からも容易にその答えに行きつくことが出来ると思います。

これは…このバンドにしか描けない物語だと思います。泣いてしまう。出来れば自分が逝くときにはこの曲で送り出してもらいたいと感じるくらい、素晴らしい、壮大な曲です。

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