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ROMANCE ~十三階は月光~

2005年リリースのアルバム「十三階は月光」に収録されている「ROMANCE」。

ゴシックがテーマのコンセプトアルバムである「十三階は月光」。うろ覚えだけど、確か”架空のサウンドトラック”のイメージなんだよね、アルバムタイトル。不穏な感じを出すとか。

にしても「十三階は月光」…センスありすぎですよ、このワード。

その先行シングルとしてリリースされているのがこの「ROMANCE

もう本当に美しいんですよ…この曲。

前作までとは一転、極力バンドの音だけで構成されてるアルバムですが、バンドの音だけでもこんだけ表情豊かに、いろんな音が出せるんだなぁと。あと間違いないのが、このパートでこの楽器はこの音しかないっていう音色のチョイス。それがプロだからと言われればそれまでかもしれませんが、イントロのキーボードの儚さからギターの少しざらついた印象の音色からベースもドラムもすべて完璧、これ以上ないという音色。

で、演奏という舞台が整ってるわけなので、あとは演者櫻井さんの本領発揮するのみ。

「月明かりだけに許された 光る産毛にただ見とれていた」

曲の雰囲気、冒頭のこの歌詞だけで情景が浮かびます。恐らく中世ヨーロッパのお城、窓から漏れる月明かりに照らされる天蓋付きのベッドで眠る女性。”光る産毛”というピンポイントな視点を用いることでより細かく情景が想像しやすくなりますよね。

その様子を眺めているのが、物語の主人公なのか、この後の曲順で待ち受ける夢魔なのか…というのも聴き手の想像を煽ります。

アルバムの流れとしても「ROMANCE」の前に位置する「13秒」が非常に効果的。ただ13秒無音が続くだけのものですが、ここで一度流れが切れて、物語がクライマックスに向かっていくような印象を受けます。この辺の流れも素晴らしい。

あ、MVも是非見て頂きたい(ってわざわざBUCK-TICKの文章を読んでくれてる人は絶対もう見てるよね)。もうこちらも徹頭徹尾貫かれたゴシックの世界観が見事。

全体的に深い夜の世界観だけど、最後終わるころには少し世界が夜の闇から解放されだして少し白んでくるようなアレンジ、終わり方をします。これも素敵。

あと驚いたのはこの「ROMANCE」をはじめ、テーマをゴシックにした重厚な、聴く人を選ぶどころか、もしかすると何も知らずに手に取ろうとする人など蹴落としてしまうのではないかというくらいの世界観である(実際そんな思いで作ってなんかない)このアルバムが

オリコンで初登場4位を記録していること。

一体何があったんだ…(なんてあんまり言っちゃいけないけど)と思うくらい、もう少しPOPなアルバムとかならまだしもこれだけ貫かれた重厚なゴシックな世界がこのチャートアクションを見せてるのも驚き。前作あたりから急にチャートアクションが復活してきたりとかはあるけど、にしてもな結果。

音楽は様々な変容を見せつつ、でも芯の部分はブレずに突き進んできた結果が、一度はファンを離れたりした人たちを徐々にまた引き戻しつつ、新規ファンも常に獲得していってるというところの表れなんだろうか。いや、ほんとにすごいバンドです。魅力が尽きないな。

ということで今回はここまで。本格的にゴシックを貫いたアルバム、そしてその中に収録されている傑作「ROMANCE」についてでしたが、いろんな要素をふんだんに盛り込みつつ、でもエレクトロニカにしてもゴシックにしても各ジャンルを中途半端にならずにバンドの色を十二分に出しながらしっかり作り込む凄さってのがありますよね。是非聴いたことない人には聴いてもらいたいし、しばらく聴いてなかった人には久々に聴くきっかけになってほしいっす。

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