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【男性育休】withコロナ時代に親になる

 2021年4月に第一子を授かりました。体が大きく、健康で、人一倍泣き声のたくましい、元気な男の子です。
 この記事をしたためている2021年10月、彼は先日生後半年を迎えました。相変わらず元気で健康です。最近は寝返りをマスターし、気がつけばベッドの上でアザラシのような格好をしています。
 父となった私は、子の出生から9月末まで育児休業を取得しました。5ヶ月あまりの育児休業期間。私の周りにも育児休業を取得した男性は少なからずいらっしゃいますが、よく聞くのは1ヶ月(出生から新生児期まで)や3ヶ月(およそ首がすわるくらい)までの期間が多く、5ヶ月は比較的長いほうだと感じます。
 私は妻と結婚する前から子どもが欲しいと願っていましたし、子どもを授かったら出来るだけ長く育児休業を取得したいと考えていましたので、それが叶い現職にはとても感謝しています。
 一方、時を同じくして2021年はコロナ時代真っ只中。世の中の在り方はそれまでと大きく変化しました。私は第一子を授かったばかりなので詳しくは分かりませんが、子育ての現場にも深刻な影響を与えているようにも感じます。
 近年、男性の育休体験記やコロナ影響の記事は既にインターネットに散在しておりますので、同一内容は他の記事に譲ります。本記事では、コロナ時代にしか体験できないような、男性目線の育休の現場について、私なりの意見をまとめます。

(※ヘッダー画像は復職直前に家族3人でカワスイに行ったときの様子です)

本記事の概要

* コロナ禍において妊娠・出産・育児の孤立感は強まっているように感じる
* デリバリーやテイクアウトのメニューが豊富になり、食事は楽になった
* 自動車による移動は赤ちゃんにも親にもメリットが大きい
* 授乳中の女性にとって、コロナワクチン接種は男性のフォローが必須
* 復職後に活躍できるかは個人の努力以上に企業の管理能力に依存する

妻の妊娠から出産まで

妻の体調の変化とフォロー
 妻の妊娠がわかったのが2020年8月末の頃でした。既に新型コロナウィルス感染症の感染拡大は社会問題として広く知られており、弊社も積極的にリモートワークを進めていた頃でした。私はWebサービスを開発するチームのエンジニアリングマネージャーを生業としているため、幸いにもリモートワークしやすい職種でした。
 妊娠発覚から1ヶ月あまりの期間は、妻の体調は不安定で、悪阻もあったため、自宅ですぐ妻の様子を見ることができたのはありがたいことでした。
 妊娠中はメンタルが不安定になりがちと言われています。リモートワークにより多くの時間をともに過ごせたのは良かったのですが、両親や友人と会ってリフレッシュすることは叶わず、孤独な気持ちを味わいました。たまにビデオ通話で話すことで少し気分が和らぎました。

出産までの検診や手続きについて
 定期的に通うことになる産科の検診は、新型コロナウィルス感染症の感染リスクを懸念してか、男性の付添が全くできません。2021年10月現在もおそらく国内の多くの産院で同様の処置が取られているものと思われます。
 役所で母子手帳をもらったあとの、新しく父親母親となる人向けの研修も、コロナ影響で内容が大幅にカットされていました。たとえばおむつの替え方だとか、沐浴のさせかただとか、そういった実技演習はすべてキャンセルでした。それこそが研修のいちばん大事なところだと思うのですが・・・。子どもがどうやって生まれてくるかとか、出産後の手続きとか、ウェブサイトにまとめておいてくれればよくて、なんのための研修かよくわかりませんでした。加えて、コロナ感染のリスクを気にしてか、12月だというのに窓が全開だったので、母体が冷えないか心配でした。

会社への報告と育休開始までの準備
 出産までに発生する可能性のある流産のリスクについて、多くが安定期に入るまでの妊娠初期が多いとのことでしたので、会社には安定期に入って少ししてから正式に報告をしました。仕事に密接に関わる一部の同僚には早めに伝えました。
 幸いにも弊社は男性の育児休業取得にかなり前向きであり、前例も多くあったため、「雰囲気的に取りづらい・・・」みたいな懸念をする必要が全くありませんでした。
 育休開始までの業務の整理としては、そもそもソフトウェア開発においては属人性の排除は常に考慮されているものだとはいえ、意識的に業務を分散しなければならないのも事実ではありました。幸いにしてエンジニアリングマネージャーは私のほかにも在籍していますし、エンジニアとして携わっていた業務のほとんどをほかの同僚と連携することで、どうにか引き継ぎを済ませることができました。退職と違って、育休後には復職が前提であることや、出産予定日まで4ヶ月以上残っていたことも、スムーズに進んだ要因としてはありそうです。

男性の精神的な準備
 コロナ影響という観点とは些かずれるので蛇足にはなりますが、出産に向けた男性の準備というものは、案外甘く見積もられがちだと思ったので、軽く触れます。
 妻から、先生に言われたことを聞いたり、エコー検査時の写真を見せてもらったりすることで、かろうじて妻のお腹に子が宿っていることを理解する、というのが本音です。妻にも打ち明けましたが、正直なところ、「もうじき父親になるんだな」という実感を持ちづらく、苦しみました。危機感がないとか責任感がないとか誹りを受けそうな気もするのですが、男性が親になるための気持ちの準備というものは、思った以上に難しいと感じました。リモートワークで常日頃から妻に寄り添っていてこうなのだから、毎日オフィスに通っていたら、いつの間にか父親になっちゃったみたいな気分を味わっていたのかもしれません。

出産当日
 
出産予定日の当日深夜2時前、妻が破水しました。出産間近になったらどう動くかのシミュレーションを夫婦で行っていましたが、実際に直面するとやっぱりパニックになりました。
 産院までは自宅から徒歩10分程度の距離です。大事をとってタクシーを呼ぼうとするのですが、深夜なので来ません。タクシー配車アプリのGOを使っていたのですが、一向に応答が来る気配がありませんでした。(こう記すとGOの批判のように曲解されそうなので付け加えますが、夜中にタクシーが捕まらないのはしょうがないとも思うし、GOのUXは個人的に好きです)。仕方がないので、2021年3月に納車したばかりの自家用車で病院まで妻を連れて行きました。
 妻を病院に預け、帰宅後に会社のSlackに出産が近い旨を報告しました。

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 コロナ影響で、現在もなお立ち会い出産が出来ない病院が多くあります。特に緊急事態宣言下はおそらくすべての産院で立ち会い出産NGだったのではないかと思われます。幸運にも出産日は緊急事態宣言は出ておらず、産院も立ち会い出産OKでしたので、私も子の誕生の瞬間に立ち会うことが出来ました。子が生まれ、少し妻と話し、ものの30分くらいで処置室から追い出されてしまったのですが・・・。

出産〜復職まで

Googleと先輩ママ
 とにもかくにも親子共々初めてづくしで、事あるごとにGoogleで調べながら四苦八苦していたのを覚えています。ググればたいていのことは既に先輩ママが経験していて、あれやこれやと書かれていました。子どもそれぞれで違うからという言い訳を差っ引いても、あけすけに言ってしまえば玉石混交としか言いようがありませんでした。藁をもすがる思いで読みふけってしまうのですが、ふと冷静になると、信用できるのかあやしい言説やブログはいくつもありました。
 一番自分たちを納得させられる言葉をくれたのは、同じく子育て中の友人夫婦だったように感じます。そういう友人夫婦とも、コロナ禍においては直接会って話すことが出来ません。精神的に極限状態であるにも関わらず強い孤立感を覚えていました。

フードデリバリー
 育休を使い夫婦で育児と家事をこなそうとしても、毎日毎食を自炊することはほとんど不可能に近いと感じます。子どもが体調を崩したりぐずったりしたら、なかなか家事まで手が回りません。
 自炊できないとなると、スーパーやコンビニで調達するかフードデリバリーに頼るかになってくるわけですが、コロナ禍において多くの飲食店がデリバリー対応するようになり、かなり充実していたのは幸いでした。今も週に1度か2度出前館を利用していますが、毎週新しい店が出てきているように感じます。

移動に自動車を利用する
 妻の実家が遠方で、子どもを連れての移動が大変であろうことを見込んで、コロナ影響関係なしに自家用車を購入していました。結果的にコロナ禍においてメリットが大きかったのでご紹介します。
 近所にカーシェアリングステーションがあるのであれば、そちらを利用しても良いと思います。最近はカーシェアリングの需要が高まっているので、借りたいときに借りられないリスクがありますので、よく調べてください。
1. 電車に乗らずに出かけられる
 密集した電車に赤ちゃんを乗せるのは、コロナ以前にホコリや他の病原菌も気になります。突然赤ちゃんが泣いてしまって周囲に配慮する必要もありません。急病等で出かける際も終電の心配がありません。
2. おむつ交換ができる
 ママパパマップを見れば一目瞭然ですが、おむつ交換ができる場所は意外に多くなく、商業施設に集中しています。コロナ禍でおむつ交換台もソーシャルディスタンスに配慮して間引きされているので、必然的に混雑します。そして考えれば当然の話ですが、商業施設が営業中でなければ利用出来ません。自家用車であればおむつ交換は停車中いつでも出来ます。
3. ミルクがあげられる
 授乳室はおむつ交換台に比べるともっと数が少ないです。給湯設備のある授乳室に絞ると首都圏ですらだいぶ難しいです。沸騰したお湯を魔法瓶にいれて持ち歩いていれば車内で粉ミルクから調乳することが出来ます。最近は常温で飲める缶タイプのミルクもありますので、そちらを利用してもいいと思います。さすがに完全母乳で授乳するとなると車内全面にカーテンを張り巡らせないといけないので、車種によっては現実的ではないかもしれません。事前に近隣の授乳室の場所を把握しておく必要があります。
4. 大人が落ち着いて食事が出来る
 コロナ影響で外食が大幅に制限されていますが、もともと赤ちゃんを連れている状態で外食するのはかなり難易度が高いです。赤ちゃんがひとりでおすわりできるまではフードコートの利用も難しいですが、フードコートで空気感染するケースも報道されるなか、いよいよ選択肢がなくなっていると感じます。車があればテイクアウトした食べ物を車内でゆっくり食べることができます。コロナ禍で飲食店がテイクアウトメニューを充実させていることもあり、外食できないことに対する不満は特にないです。
5. 大人が休める
 ドライバー以外の大人は目的地到着まで体を休めることが出来ます。育児とは体力勝負な一面があることは否めず、いかに体力回復させるかは重要なことです。電車移動と比べると、乗り換えの必要もなく、電車内で座れるかどうかの心配をする必要もなく、寝てしまった際の乗り過ごしも心配する必要もありません。ドライバーもクルーズコントロールやレーンキープアシストを使えば以前よりだいぶ楽に運転が出来ます。

自動車利用のデメリット
1. 赤ちゃんの体力が持つかどうかの心配
 個人差はあると思いますので、少しずつ走行距離を伸ばして確認することをおすすめします。息子は車が好きなようで10時間のロングドライブに余裕で耐えました。
2. チャイルドシート内で蒸れて汗疹が出てしまう
 通気性は配慮されていますが、どうしても蒸れます。特に夏場はあっという間に汗疹が出来てしまい、アフターケアが大変です。体力がもつかどうか以前にお肌が弱い赤ちゃんは注意が必要です。
3. コロナ影響でガソリン価格が高騰している
 おそろしく高いです。最近はリッター150円以上が普通です。ガソリン車の場合、街乗りで利用すると10km/lを割り込む燃費の車が多いことを考えると、運用コストとしてガソリン代が無視できない値段です。
4. コロナ影響による半導体部品の品薄
 車種にもよりますが、新車を契約した場合、納車が半年以上かかるケースが見られるようです。既に車を所有しているか、あるいは今後中古車を購入する場合でも、故障時の交換パーツが入りづらい問題があります。


実家への帰省
 私の実家は車で1時間ほどの場所にあるので比較的行きやすいのですが、妻の実家は遠方で、ノンストップで走行しても5時間程度を要します(5時間なんて休みなしで走れないけど)。コロナ禍で妊娠・出産したこともあって、両家への帰省はかなり遠のいていて、車を購入し子どもも新生児期を過ぎたことで約1年半ぶりにようやく実現しました。

 妻の実家への帰省は、少し息子が育った生後3ヶ月ごろ、ちょうど百日祝いの頃に決行しました。折しも世間はコロナの感染拡大が最大級に深刻化しているにもかかわらず東京オリンピックが強行された時期。首都高の車線規制もあり、東名道で一度郊外に抜け圏央道を経由しての大遠征となりました(付け加えると、首都高はパーキングエリア自体がそもそも少なく、授乳室も考慮すると絶望的だったので、どのみち迂回する他なかったのもあります)。

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同僚との1on1
 ありがたいことに、同僚との1on1を月に1度設けて頂けました。育休中で業務が出来ない私に対して時間を割くわけなので、なかばボランティアに近い投資だと思うのですが、彼らは嫌な顔ひとつせず付き合ってくれました。こういう人徳の高さをみんなが持ち合わせているということは本当に弊社の良さの一つだと思うので、この場を借りて宣伝したいです。
 同僚は業務の中で起きたことを私にかいつまんで伝えてくれました。必ずしもすべてがポジティブな情報ではなかったのですが、復職後にも自分の仕事があることを実感することができました。

コロナワクチンの接種と副反応に対する備え
 私の住む地区では7月の中旬にコロナワクチンの接種券が送付され、7月末からウェブサイト上での接種予約が開始されました。予約合戦は苛烈そのもので、何度アクセスしても市内中の病院の予約が既に埋まった状態と表示され、結局予約を取ることが出来ませんでした。
 最終的には、Twitterで知った、別の市にある病院でファイザー製のワクチンを夫婦ともに接種することが出来ました。8月はワクチン接種のための情報収集にかなり時間を費やしましたが、これが出来たのは私がたまたま育休中だったところが大きいように思います。
 副反応に対する備えとしては、授乳中の女性がどの鎮痛解熱剤を飲めばよいかという不安もあり、念の為産婦人科で薬を処方してもらいました(厚生労働省の資料によれば、市販薬でも問題ないようですが・・・)。私は副反応がほとんど出ず過ごせたのですが、妻は接種2回目の夜から高熱が出たので、発熱中の授乳はせず、代わりに私がミルクを作って飲ませました。副反応を考えると、赤ちゃんに授乳をしている限りは、いつでも接種できるわけではないという難しさを痛感しました。

復職後

 復職前に月に1度の1on1をして頂いていたとはいえ、浦島太郎の気分だったのですが、1on1やSlackでのやり取りを数多くさせて頂いたおかげで、ようやく少しずつ感覚を取り戻してきているように思います。

 コロナ関係なしに、子育てをしながら仕事をするというのが思った以上に大変だ、ということを身にしみて感じました。両立するにはチームの同僚の協力が否応なしに必要となります。しかし一方で、「いずれあなたたちもそうなるんだから」と、独身のメンバーに負荷が偏るのも個人的には違和感が強く、いかにチーム全体で仕事を分担し業務を成功させていくか、マネジメントの重要さを再認識しました。
 弊社は年功序列ではないので、子育て中だろうとそうでなかろうと、能力に見合った報酬が設定されます。一方、子育て中というのは、驚くほど可処分時間が少ないです。たとえば我が家の場合、20時には消灯し子どもを寝かしつけるので、夕食や入浴の時間から逆算すると、18時以降の勤務が基本的に不可能です。限られた時間でいかに成果創出に向け行動できるか、シビアな判断が求められます。本来であれば常日頃からそうであるべきなのでしょうが、人間は常時フルパフォーマンスは出せないわけで、少しの油断も出来ないような、ヒリヒリした緊張感と焦燥感があります。

終わりに

 出産・育児において、コロナ禍が暗い影を落としていることは間違いないです。私の子はまだ生後半年ですが、子の年齢によって受ける悪影響は様々なのでしょう。
 ウィルスの影響が去っても、経済的な影響が長く尾を引き、私たちが子どもの頃あたりまえだったことが、子にとってはあたりまえじゃないことも、しばしば出てくるでしょう。
 けれども、生まれてきてくれた子には、善いもの・美しいものにたくさん触れられるような時代に生きてほしい。そういう世界を作るのは、今現在世界を回している大人の責任だと思うのです。子に恥ずかしくない生き方をして、背中で語れる大人になりましょう。
 拙筆ですが、最後までお読みいただきましてありがとうございました。Meety を始めましたので、もし私や弊社にご興味頂けましたら、是非こちらよりご連絡ください。SNSからのDMも歓迎致します。


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