【RPAビジネスAIカンファレンス190926】日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を阻む根源的な課題と解決策
アビームコンサルティング:安部 慶喜 氏
ロボットをたくさん作ったから、
AIを導入したからとはいえDXではない。
◆RPA導入企業の現状
日本企業の90%はRPAロボットを導入している。
しかし、大きく成果が出ているのはたった10%。
◆RPAを本格展開している企業の課題
・RPA推進体制
・業務改革に関する課題
・投資対効果を得られていない
という課題が増えてきている。
(何のために導入している?)
・働き方改革
・余力の創出
・業務の効率化
◆日本企業の体質
日本企業は、固有の文化/風潮を起因とした、
欧米と大きく異なる特徴がある。
【日本】
・終身雇用を前提として業務が属人化
(人に紐づいている)
・現場対応の重視により業務が個別最適化
(新しいオペレーションが発生した時の
意思決定は現場になっている)
・減点主義により前例を踏襲
(新しいことにチャレンジするよりも
間違わないことが大事)
【欧米】
・異動・転職を前提として業務が標準化
・投資対効果を重視したトップダウンでの意思決定
構造により業務が全体最適化
(オペレーションが分岐することにより、
売り上げがどれくらい伸びるのか という視点)
・実力主義により成果と効率を追求
(もっと良くする方法がないかを考えて取り組む)
→本来重視されるべき業務の目的や成果を見失っている。
◆日本企業の変革を阻害する業務の習慣病
1.不明瞭な観点で何度も承認
例:
1つのプロセスで10回の承認が必要だとしたら、
どの観点で承認をしているのかがわかっていない。
(そもそも10回分の承認が必要?)
前の人が印鑑を押しているから
押している という人が多い。
【どうすべき?】
・承認の観点・責任の明確化
→基本1観点、1承認が良い。
とても重要なことであれば2人が
2重でチェックするだけで十分。
・単純な照合やチェックはデジタル化し、
デジタルとヒトが担う箇所の見極めが必要。
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2.おもてなし精神で過剰サービス
・勝手な判断で始める「おもてなし」が
非効率を招いている
・社内外を問わず、手厚いサービスをすることが
「仕事ができる」ということではない。
顧客の依頼をそのまま対応し、
業務負荷を上げている。
【どうすべき?】
コスト意識を持ってサービス水準を判断する。
→サービス提供者が個人で判断せず、
投資対効果を航路した合理的なサービス水準に沿って判断すべき。
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3.些細なことまで完璧主義
重要案件もそうでない案件も同様に全力投球することで、
全体の業務の効率と品質が悪くなっている。
時間をかければかけるほど良くなる仕事は案外少ない。
【どうすべき?】
次の一手を考えることに時間を費やした方が良い。
取り組むことでリターンがどれくらいあるか。
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4.やめられない紙文化
紙での運用を捨てきれず、照合や受け渡しが必要。
紙とデジタルのフローが並存していることで
工数が重複。
加えて、読めない手書き文字の解読にも時間がかかっている。
【どうすべき?】
できるだけ上流の工程でデジタル化し、
デジタルオペレーションによる
フローの一本化を目指すべき。
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5.長い・決まらない会議だらけ
会議の目的が曖昧で「とりあえず情報教諭」と会議数が増え、
「とりあえず呼んでおこう」と参加者が増え、結論もよくわからない。
【どうすべき?】
目的にかなった会議設計・運営
→会議は目的達成のための手段であり、会議自体は目的ではない。
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6.組織に合わせた縦割り業務
視点や部門がそれぞれに同じようなデータを集計。
フォーマットはばらばら。
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7.職位と業務内容のミスマッチ
・単純作業、判断を伴わない業務に高い職位の人材が時間を
割いてはならない。
・職位にあった、考える必要のある仕事に使う時間を確保すべき。
【何をすべき?】
業務をシフトしていく。
→自分じゃなくてもできることはシフトする
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◆日本企業が抱えるシステム面の課題
・改革をリードできる経営層が少ない
・CIOや情報システム部門の意識の低さ
・事業部門における責任感の不足
・社内におけるIT人材不足
◆システム導入とデジタル改革の違い
・システム導入は既存システムの改善を行うため、
あるべき業務プロセスの企画・提案は行われない。
・デジタル改革は経営直下組織で、
既存業務を壊して、大きく改革する。
◆改革を成功させるための3つのポイント
RPA導入に伴う改革を成功させるためには、
「投資対効果の大きい業務選定」、
「全社的なルール・制度の改革」、
「デジタル化前提での業務課題発見」の
3つを抑える必要がある。
1.投資対効果の大きい業務から順番に取り組む
2.全社的なルール・制度の改革まで踏み込む
3.デジタル化を前提として業務の課題を発見する