1人のクリスマスと思ったら
大学1回生の後半に入ってから。
心理学実験などの心理学専攻の学部ならではの参加型授業が増えていく。
友達が0の僕でも、良くも悪くも否応なしに誰かとグループになって話すことになる。
まともに人と話せない僕は、
実験中でもほぼ話すことなく終わることが多かった。
心理学のクラスメイトは皆優しそうだから、
僕をあからさまに毛嫌いする様子はないことは伺える。
ただ心理学のクラスのほとんどはグループが出来ていて半年以上の信頼関係を築いているので、輪には依然として入れずにいた。
僕が見えない壁を張っていることが、より距離感を作っているのだろう。
実験が終わるたびに、
アウェー感を拭えない自分に嫌気がさす。
心理学クラスの新歓が楽しみだという話を実験中に女の子がしていた時、
自分が呼ばれてないことに絶望することもあった。
ああ、少なくとも心理学クラスではもう友達できないんだろうなと思った。
そして時が経ち、
いつの間にか12月のクリスマス・イヴに。
大学入ったら彼女を作ろうと入学当初息巻いていたが、
彼女どころか友達すら作れていない。
自分は生まれた時からずっとダメダメだなぁと授業中、物思いに耽った。
同じ心理学クラスでドイツ後の授業が同じだったSと一緒に帰っていた。
Sは癖が強くて変な奴。一部からも敬遠されている奴だったが、根は優しい。
話が噛み合わないこともたびたびあるものの、癖がある意味強いのは自分も同じ。
こんな僕と一緒に帰ってくれるだけでもありがたいなと思っていた。
Sと大学を出ようとしたところで、
心理学クラスのメインの男女グループ6人と遭遇。
入学当初、仲良くなりたいけど僕から話しかけられなかった人達だ。
男女グループの一人の男子HがSに声をかける。
H「今から彼氏彼女おらん同士で寂シマス会やるねんw一緒にガスト行こや」
S「行きたい!!」
そりゃそうなるよな。
今日も1人で帰るか。まぁいつも通りの展開やな。
と思ったら
H「君も一緒に行こや。もし彼女おらんかったらやけどw」
と僕の方を見て言ってくれた。
僕「え、あ、うん」
戸惑いながらも頷く。
男女グループでわちゃわちゃと喋りながらガストに向かう。
彼らに後方から無言でついていった。
終始緊張する。
何せ複数人のグループに入ってご飯を食べるのは初めてだからだ。
話すことでおもんない奴認定されて場がシラケたらどうしよう
と不安が募っている間に、ガストに到着。
なぜかグループの中央で座ることになる。
サミシマス会と称しながら、場を常に笑いがあった。
それぞれがいかに仲が良いのか改めて伝わってくる。
この場に溶け込めたらいいな、と同じ場にいるにも関わらず他人事のように見ていた。
すると
Hを中心にちょくちょく僕に話を振る。
おどけながら必死に言葉を返す。
どうやらHはヨーロッパサッカーが好きなようで。
僕もサッカーが大好きだから、
自然と話が弾んでくる。
そこから心理学クラス内の話、恋愛の話と多岐に渡った。
終盤に差し掛かっていた時。
Hが独り言のような、周りに同意を求めるような話し方でポロッとこぼす。
H「○○(僕の名字)ってこんな面白かったんや。もっとはよ仲良くなればよかったわ」
え。。
呆気に取られて言葉を失う。
周りを見渡すと皆うんうんと頷いてた。
これは。
これは友達として受け入れてくれたということなのか。
自分を心理学のクラスのコミュニティの人間として認めてくれたのか。
胸が熱くなって叫びたくなりそうだったが、
必死に平生を装う。
3時間くらい話した末、みんなと解散した。
電車で1人になった時、
自然と笑顔が溢れる。
ちょっと気を抜けば涙が出ていたと思う。
友達ができなくて1年。
本当に長かった。
人生で最高のクリスマス・イヴだった。
以来、徐々に心理学のクラスメイトの中に溶け込んでいく。
クラスメイトと泊まりでワンピースを観たり、ボウリングに行ったり。
1年後には文化祭を一緒にやるくらいの仲になった。
友達ができたことでできた心の余裕により、
徐々に自立心が芽生える。
2回生になり、ささやかなチャレンジをしていくこととなる。
つづく
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【当noteの発信内容】
当noteは、
占い師からただのフリーターになった何者でもない32歳の男が、
自分史を通じて
自身の人生のミッション(役割)を見つけだすことで、
自分探しの旅を終わらせるまでの軌跡をつづっていく。
人気占い師から、ただのフリーターになった男の話
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