ボルボラ日記 vol.05~更新忘れてた/推薦図書に入れたかったが外した『生物と無生物の間』の話~
ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ。これはニシローランドゴリラの学名である。サル目-ヒト科-ゴリラ属に分類される哺乳類で、主に低地の湿地帯に生息する。こんな書き出しで何を始めるつもりだ? やめよう。
最近ずっと週休1日です。週6日労働。来月・再来月も同じペースで労働が課される様子。それでも大学院時代と比べればヌルゲーもいいところですが、大学院時代は心身に支障をきたすレベルだったので比べること自体が間違い。何が言いたいのかというと、ふつうにしんどいです。
推薦図書10冊のnote記事にはまだ本文に着手はしていませんが、「これ紹介しよう」という候補は固まりつつあります。一部は実家に置きっぱなしの本だったのでKindleで書い直したとかそんな一幕もありました。
あとは筋トレをしつつ、らんだむダンジョンの2回目プレイを進めています。忙しいとか言いながら、結構いろいろやってんな……。そうそう、『まちカドまぞく』という日常ゆるふわ系の4コマ微百合マンガがわりといいです。主人公・シャドウミストレス優子(あだ名:シャミ子)のポンコツぶりと、確かな優しさが可愛いですね。そりゃ桃さんも惚れてしまうってもんだ。カァーッ、お熱いねえ! ガッハッハ!
ところで、「推薦図書10冊」に入れたいけど入れられなかった1冊をここで紹介しちゃいたいと思います。入れられなかった理由は入手困難だからです。Amazonではプレミア価格で約35,000円~。その名も『生物と無生物の間:ウイルスの話』です。1956年刊の川喜田愛郎教授の著書で、有名な福岡伸一教授の『生物と無生物のあいだ』とは別です。
内容としては、「生物と無生物、一応ざっくり定義して分けてたけど、なんか最近(※執筆当時、つまり1950年代)研究できるようになってきたこの『ウイルス』ってのはどっちやねん」というテーマを扱っています。後にノーベル化学賞受賞者となるウェンデル・スタンリー教授が、1935年の時点でタバコモザイクウイルスを結晶化させることに成功し、「うおおお!」ってなってた時です。「結晶化」は生物には起きないことだという経験的な認識がありましたので非常に話題になりました。
まあ私は生まれてもいないので「そういう感じだったらしい」という話ですが。
古い科学書が良いのは、マイケル・ファラデーの『ロウソクの科学』でもそうですが、とにかく実験とその結果に基づいた考察がわかりやすい点です。現代はドエライ分析装置、とりわけ直感的にはあんま把握できないような「核磁気共鳴でスピンがどうの」「X線を照射したときの光電子のエネルギーがどうの」みたいなものが多く、すごい結果なんだけど、そのすごさが普通の人にはわかりにくくなってます。
また実験データの解釈方法も重回帰分析とかクラスター分析といった多変量解析の手法が多く使われるようになっていて、これに加えて実験値と分子シミュレーションで得られた理論値との整合性がゴニョゴニョ……みたいな世界なので、ふつう「え? ちょっとわかんないっす!」ってなりますよね。
まあ興味があればそれなりの大学用テキストなどで勉強すればいいのですが、特に中高生などの初学者がいわゆる「科学的思考」のだいたいの流れを知りたいという場合はいささか余計な難しさです。この面では、古い本のほうが良いこともあるのです。
『生物と無生物の間:ウイルスの話』は、まだ分析装置が比較的わかりやすい時代で、当時の科学者たちの思考も非常に追跡しやすくなっています。加えて「なんだこれ? 謎だ! いやでも、得られた実験データからするとこういうことでは……?」「しかし、それだとAが説明つかないか、なら……」と、当時この領域に傾けられた科学者たちの熱量、謎に立ち向かう雰囲気が肌で感じられるのが非常に良いところです。
絶賛して薦めたいのですが、前述のとおり、入手困難であるため興味をもってもなかなか読みづらいだろうと候補から外しました。良書とはいえ、さすがに新書1冊に35,000円はバカバカしいので、図書館にあるか見てみる程度でいいと思います。運良くあったらぜひ読んでみてくださいね。