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ひとりの行動が世界を変えるのか
2025年、トランプさんが2度目の大統領に就任しました。
2度目ということもあり、私たちは、これまでのトランプさんを知っているので、世界が少し変わるような、そんな感覚を持つ人も多いでしょう。
そして、その感覚には、ポジティブなものと、ネガティブなものがあるのではないでしょうか。
ビットコインが話題みたいなので、一発儲けてやろう・・・と、頭をよぎぎりましたが、私が注目したのは、大統領就任直後に、脱退を表明した「パリ協定」。
多くの国が取り組んでいる、気候変動問題に関する、世界的な枠組みです。
ニュースで、脱退に関する大統領令にサインしている場面を見ると、いとも簡単に離脱できるように見えます。
それと同時に、簡単に脱退できる程度の協定なのか?との疑問も。
そこで今回は、
パリ協定の概要と批准することの是非
について書いていきます。
パリ協定って、何?
以前の投稿で、みなさんが受け取る「森林の多面的な効果」について、世論調査をもとにした、ランキング形式で解説しました。
その中で、森林に対して、一番期待が大きかった効果が、二酸化炭素を吸収することで、地球温暖化防止に貢献する効果でした。
このランキングからも、地球温暖化を防止するということに対して、多くの人が必要性を感じていることがわかります。
そして、パリ協定は、世界的な問題である地球温暖化がもたらす、気候変動に対応するための、世界的な枠組みです。
パリ協定が掲げる長期的目標としては、
世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる
というものです。
平均気温が2℃上昇すると、降雨量は1.1倍、洪水発生頻度は2倍になると予測されていますが、現状では、相当な取り組みをしても2℃に抑えるまでしかできないだろうと考えられています。
また、これまでどおり、石油などの化石燃料に頼る経済活動を続けていた場合は、平均気温が4℃上昇すると予測されています。
この場合では、降雨量は1.3倍、洪水発生頻度は4倍になるとの予測です。
洪水発生頻度2倍も嫌だけど、4倍はもっと嫌ですね。
そのほか、食料の生産がむずかしくなったり、生物多様性が損なわれたり、様々な影響が考えられます。
そのため、世界各国が協力して、2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をしようというのが、バリ協定なのです。
化石燃料に頼らないということ
こちらも、以前の投稿になりますが、レキシさんの楽曲を引用して、森林の歴史を解説しました。
(自分の投稿をアピールし過ぎだな)
このなかで、持続可能な社会について触れました。
縄文時代の社会は、私たちが現在目指しているSDGsな社会、持続可能な社会が形成されていた
その後、弥生時代に「稲作定住」が始まったことで、持続可能な社会は徐々に失われた
「稲作定住」がなければ、持続可能な社会のままでいられたかも知れない
しかし、「君の未来」(パートナーや子供たちのこと)を考え、より生活しやすい、生存しやすい社会を望むのであれば、至って自然で、正しい選択だった
そして、便利な時代を生きる私たちも「君の未来」を考えなければならない
ただ、便利な時代を生きる私たちが、縄文時代のような究極な持続可能な社会に戻るのは無理でしょう。
そこで、現代を生きる私たちが「君の未来」を考える行動が、「パリ協定」なのです。
一昔前は、地球温暖化など考えず、化石燃料をたくさん利用して、経済を発展させてきました。
しかし、化石燃料の利用では、エネルギーの再生が困難です。
そこで、地球温暖化を防止するための現代の具体的な取組の一つが、化石燃料に極力頼らない社会です。
例えば、省エネなどにより、燃料の消費を減らすこと。再生可能エネルギーの利用率を上げることなどがあげられます。
森林分野では、木質バイオマス燃料が、再生可能エネルギーですね。
パリ協定は悪なのか
再生可能エネルギーなどの利用拡大には、新たな投資が必要になります。
また、パリ協定に基づき、発展途上国などに対して資金援助が必要です。
アメリカがパリ協定から離脱したのは、一昔前のように、化石燃料を「掘って掘って掘りまくって」経済をより上向きにするため。
そして、他国を支援していた資金を、アメリカ国民に還元するため。
トランプ大統領の「アメリカファースト」の考えです。
大統領に再選されたことを踏まえれば、この考えを支持する人たちはたくさんいます。
では、パリ協定は悪なのでしょうか。
これまで解説したとおり、気候変動を踏まえれば、パリ協定に基づいた世界的な取組は、やはり必要であり、善である。
ただ、アメリカが離脱することは、トランプ大統領の正義に基づく判断であり、アメリカの多くの国民にとっては、善である。
と考えます。
すみません、意味不明ですよね。
何が言いたいかというと、お互いが善だと思って行動しているので、善悪や良否を決めることはできないということです。
そのうえで、アメリカなどそれぞれの国というレベルではなく、世界という、より大きなレベルで考えた場合には、パリ協定のような考えを持つことは正しいだろう。
と考えます。
実際に、企業レベルにおいては、環境への対応が、企業評価のポイントになっています。
なので、パリ協定を離脱しても、アメリカ国内の企業レベルの活動は継続されると、見られています。
一方で、資金援助の面では、取組が減速するおそれがあります。
アメリカを批判することなく、これからの対応を、改めて考えていく必要があるでしょう。
判断に迷ったときのコンパス
今回、私は、パリ協定を批准することが正しいと判断しました。
判断のもとになる考え方は、好き嫌いや言葉の強さ、自己の利益ではなく、どちらがより多くの人に貢献できるかという視点です。
これは、アルフレット・アドラーが提唱する考え方です。
例えば、あなたが所属する会社の不祥事を知ったとき。
不祥事が世間に知られてしまうと、会社の存亡の危機。
会社が無くなれば、あなただけではなく、多くの社員が露頭に迷う。
ただ、それを公表しないと、悲しむ人や被害を受ける人が増えるおそれがある。
これが、第3者の立場なら、すぐに公表すべきだと考えるでしょう。
しかし、その会社に所属していたとしたら、判断に迷うかも知れません。
そんなとき、より多くの人に貢献できる方を指すコンパスを持っていれば、判断を誤ることはありません。
私は、普段の仕事で判断に悩むときは、この考えを応用しています。
アメリカ国民にとっては、化石燃料への回帰は、自分の生活をより豊かにするために必要なものでしょう。
ただ、それを続けることで、未来に苦しむ人がたくさんいることを知ることも大切です。
そういっている自分も、車に乗るし、暖房も冷房も使う。
環境に配慮した割高の商品より、配慮しているかもわからない安い商品を選んでしまう。
こんな大事な環境問題よりも、ビットコインで一儲けを企んでしまう。
パリ協定を批准している私たちが善なのではなく、私たち個人がどのような行動をとるかが最も大切です。
そうやって、ひとりひとりの行動が積み重なることで、社会が変わり、パリ協定の目標が達成されるのかも知れませんね。
今回も読んでいただき、ありがとうございました。