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FANTASIAN【Apple Arcade三昧】#011

あーそうそう、私はこのゲームが配信されることをきっかけにApple Arcadeに入ったのだった。

この街…何でできてると思う?
中世風だったりするし。
未来っぽくもあったりして。

というわけで、リリースは2021年……とだいぶ前に話題になり、今さら?……いやいや、スクウェアエニックス社を通して音声収録が追加された家庭用コンソール版が発売される今(2024年12月5日!)、これを語るちょうどよいタイミングではないか。
『FANTASIAN』(ファンタジアン)

この記事はApple Arcadeを紹介する記事なので、Apple Arcade版としてレビューしていく。が、興味があれば本日発売の家庭用でも遊ぶといい。
楽しいぞ。(筆者はまだ最終盤で未クリアではあるが)


◾️ジオラマを歩く手触り感

このゲームがもっている1番の特徴は、実写のジオラマをつかったマップ画面にあるだろう。
出てくるマップはほとんどが実写のため、画面の角度を変えて家の裏をのぞきこむことなどできない。
そのためか往年のRPG感が出やすくなっており、当時はジオラマでこそ無いが、かつてのファイナルファンタジー7、8、9あたりで歩いていたマップを思い出す。

タイトル画面。はじめはシンプルだなーと思った。でも背景は実写ジオラマだからな。
これジオラマなの?!と驚くこともあれば、これはジオラマだなぁ。と材質感を残した表現にニヤリとすることもある。

◾️FFもつくったひと

さてここで突然の流れにはなるが、ゲームデザイナーの坂口博信(さかぐちひろのぶ)といえば、ゲーム好きに知らない人はいないであろう、ファイナルファンタジーシリーズの生みの親だ。現在は、ミストウォーカーという会社を立ち上げ、オリジナルでゲームを制作している。「ブルードラゴン」「ロストオデッセイ」などの家庭用ゲームや、「テラバトル」などのアプリゲームを経て今の『FANTASIAN』を制作した。

実はひとつ前にあたる「テラウォーズ」というアプリでは、すでにキャラクターで実写の粘土人形・背景が使われている。『FANTASIAN』の原型とも呼べるあたたかみのある表現ではあったが、キャラクターが粘土というのは何かこう……可愛くないというか、細かく作り込めないのだな、というのを実感した印象だった。
『FANTASIAN』では背景のみと割り切っているのが功を奏した感があり、ファンタジーであるという空気感やどこか漂う現実にはないニセモノ感(良い意味で)が表現できている上、ジオラマである事実を知っていると、いちいち作り込みに感動することもできる。昨今のゲームはどれもCGで十分すごいはずなのに、手仕事というのはやはりワクワクさせられるものだ。

RPGの重みを感じる、もちろんジオラマで作られた武器屋。飾られた大剣は伝説級のあの武器だろうか。

『FANTASIAN』は、さすが制作がファイナルファンタジー(FF)の生みの親だけあり、全体のシナリオの雰囲気や、テキストでの会話のやり取りも非常にFFらしく感じる。筆者の私が思うFFらしさは、間をうまく使ったキャラ同士の掛け合いにあると思っているが、その部分が『FANTASIAN』でも表れている。ぜひ堪能して欲しい。

記事本文では語っていないが、音楽もこれまたファイナルファンタジーの生みの親、Nobuo Uematsu(植松伸夫)。FFを遊んでいる気になっても、なんらおかしくない。

◾️“Apple Arcadeならでは”のバトルその1【エイミング】

バトルに関しては、今までのファイナルファンタジーシリーズなど既存のRPGと比べても少し特殊。
見下ろし型の画面上で、敵味方問わずキャラごとの速度順で行動するというターン制バトルになっているが、特殊なのは攻撃方法。
まるで「モンスト(モンスターストライク)」のように攻撃の軌道を自由に調整して放つのだ。このシステムは、【エイミング】とよばれるようだ。(正確にはモンストのように弾いて壁や敵にぶつけるなどではないが、エイミングでタップしながら軌道を悩んでいる様子はさながらモンストのようだと感じた。)

直線攻撃のキャラ。できるだけ多くの敵を巻き込めるように、ちょうど良い場所をタッチ操作で探す。

「貫通」の効果をもっているスキルなら、軌道上にいる他の敵を複数巻き込んで攻撃が可能。名作「クロノトリガー」を遊んでいる方にはおなじみ“エックス斬り”の要領だ。ちなみに範囲攻撃も同様で、出現する円の位置を調整することで、より多くの敵を巻き込める。
バトルではただ弱点などを考えるだけではなく、この細かな軌道の調整が戦略的に必要になってくる。

で、この軌道を調整できる仕様がどう特殊かというと、もともとApple Arcade用に作られているわけだから当然ではあるが、iOS用つまりタッチ操作が一番扱いやすいというところだ。Macでもプレイできるし、iOSでもBluetoothコントローラーも使えるが、バトルに関してはタッチが最も直感的に動かせる。と筆者は感じている。
スマホゲームらしい調整といえばそれで面白いが、はたして家庭用の遊び方としてはいかがだろうか。


◾️“Apple Arcadeならでは”のバトルその2【ディメンジョンシステム】

『FANTASIAN』は敵とのバトルはランダムエンカウント(マップ上に敵が見えず、歩いていると突然バトルに移行する形)になっている。ただこれがスマホゲームという特性上、よくあるRPGと同じように敵と遭遇していると、探索に集中できないかもしれない。
そんな懸念を払拭するためか、今作に導入されたのが【ディメンジョンシステム】バトルに出会ってしまうモンスターを一定数異世界に溜め込んで、後から一気に一掃できるというシステムだ。

通常なら数歩歩いただけでバトル……とやる気を削がれてしまうエンカウントだが、ディメンジョンに設定していれば、最大40体までまとまったところで大勢を相手にバトル開始できる。(ゲームの進行度によってまとめられる数は増加する)
しかも、このディメンジョンバトル、通常なら出てこない「攻撃力アップ」「再行動」「戦闘不能回復」といった有利になるアイテムがバトルフィールド上に現れてくれるので、一掃をねらう方がお得で効率がいい。ということになってくる。
ただし、数があふれると強制的にバトルスタートとなる。
ピンチの時にあふれると大惨事となるので、適度な数でまとめて一掃を企てるということが戦略として必要になってくる。

エイミングでぐいっと曲がるキャラで、アイテム取得しながら攻撃。

このシステムの難点としては、一気に大勢を相手にするため、ディメンジョン時に強敵が混じっていると、強敵一体を相手にするよりも苦戦する可能性があったり、
大勢を相手にするため、貫通やエイミングで複数敵を狙えない攻撃・キャラクターは冷遇せざるを得なくなること、
相対的に減ってはいるだろうが、一度のバトル時間が長くなってしまうところがある。

長いバトルなので、負けると時間が無駄になったようで悲しい。

◾️とにかくApple Arcadeやるならまずコレ

紹介が11回目でなんだか順番もおかしいのだが、これがApple Arcadeの大本命。

超大作RPGが久々にやりたいとか、昔ながらの、でも新しいものに触れたいとか、Apple Arcade入会金額の元が取りたいとか、
この際、今日発売だしニンテンドースイッチでやってみようかなとか。

どんな形でもゲームファンは触れて欲しいなと思った大作。ぜひ。

write by こたろ

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