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ギボン:ジャングルを越えて【Apple Arcade三昧#013】

今回のApple Arcade三昧は、2022年から配信されてイス『ギボン:ジャングルを越えて』をご紹介。一見シンプルなアクションかと思いきや、メッセージ性の高いストーリーも持ち合わせた考えさせられる作品。

なお、Nintendo Switch版やsteam版もあるようなので、Apple Arcadeに入らずとも遊ぶことができる。記事を読んで気に入ればぜひ体験してみてほしい。


⬛︎シンプルな2本指操作のアクション

「ギボン」というのは日本名で「テナガザル」のことで、名前の通りに腕が長いことが特徴だ。そんな主人公となるギボンを操って、ジャングルを飛び回るというアクションゲームになっている。

操作は簡単で、最大2本指で画面をタップしていくだけ。
具体的には、つかむときには画面を押し続け、ジャンプするときに指を離す。地面やツタの上を走るとき、坂をスライドしたいときには、右側と左側の画面を2本で押し続ければOK。
前転や後転(どちらもフリック)してジャンプすると、着地時にスピードアップが発生する。
基本はこれだけだ。
応用として特定の場所では、ツタや仲間につかまって、大きくスイングからのジャンプができる。シンプルだがさまざまなテクニックを使うことで、スピードやテンポを上げて、自分だけの爽快感あるプレイが目指せる。

タイミングがよければ、空中でつかまり、スイングして助けてくれる仲間のギボン。こういったコンビネーションが続くとスピードアップでより速く、遠くに飛べるようになる。もちろん失敗すれば減速する。

筆者が、このゲームのプレイ動画をストーリーとともに追っていくダイジェスト版で作成したので、下記からぜひのぞいて観てほしい。 雄大な景色とギボンの自由さを少し味わうことができるだろう。(ストーリーは後述するがとても切ないものではある……)


⬛︎遊ぶほどに胸が締め付けられる

ストーリーは、熱帯雨林(ジャングル)を駆け回るピンク色をした主人公ギボン(テナガザル)が、人間の手によって森林が伐採されるところを目の当たりにする。そのうち、森は燃やされ、開発され、家が建ち人間が住処にし始める。そんな中で、ついにはギボンを密猟する人間まで現れ、主人公たちはピンチを迎える……というもの。

進んでいくと、森林は人間の手によって焼け野原に。ギボンも住むところを失ってしまう。

ギボン(テナガザル)は、人間による森の消失、密猟によって絶滅の危機に瀕している。というメッセージがそのまま、まっすぐに伝わるストーリー構成になっており、進めば進むほどギボンの肩身の狭い息苦しさを感じながら進めることになる。そしてハラハラするこの展開の、最後まで目が離せない。

ゲーム中はテナガザルを操作するため、テキストがほとんど出ない。ストーリーを読み返す「百科事典」では、ガッツリと環境破壊の事情を知ることができる。
アプリ内に、ギボンに関する寄付金などを呼びかけるサイトリンクがあったりもする。

⬛︎コツをつかむまで時間がかかる操作性

絶滅危惧を訴えるメッセージ性の高いゲーム。といったイメージで、筆者はなめてかかってしまったのだが、非常に面白い操作感に見事にハマっていく。
うまくいけば広大な森林を飛び回る気持ちいいアクションができるのだが、失敗すると地面を歩いてばかりの二足歩行でつまらない。そのうち大きな川などは越えられずに落ちてしまう。
なので、できるだけ高いところを飛び回っていたいのだ。大木と大木を大きな腕で渡り歩き、飛び移りたいのだ。そういう願望が芽生える。

こんな場所は、上手く飛べれば気持ちいいが、川や谷底へ落ちれば少し手前からやり直し。

結局、筆者が操作に慣れたのは終盤になってからだったが、コツさえ掴んでしまえば、クリア後の2周目もどんどんやりたくなる中毒性を秘めている。(クリア後にもやり込みで2周目以降が存在する

チュートリアル画面。木から離れるタイミングで、フリックなどをして画面から手を離す必要があるが、コツをつかむまでに時間がかかる。

⬛︎ゲームを通じて感じる環境問題意識

前半に載せたダイジェスト動画を観てもらえば分かるが、爽快なアクションとともに、森林伐採や人間の密猟の描写がドラマチックに描かれていく
環境破壊による火事、人間から命を狙われる……など。本人は何も悪いことをしていないのに突然、住環境がおびやかされるという理不尽さ。
それらは、もちろん自ら感じることもできたかもしれないが、テナガザル側の立場にたってゲームで遊ばないと得られなかった感情もあるかもしれない。
自分自身を見つめ直すための、何かのきっかけになる。そんなゲーム=作品である

write by こたろ

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