8月24日
破砕ゴミの分別作業をしている。木くず土くずの山をシャベルで崩し、平らに整えてから、掃除機掛けの要領でローラーつき磁石を走らせていく。ぱつんぱつん、ばちんばちん、と釘や金属片が吸いつく。レバーを一二度ひき余分を振るい落とす。するとあらたな山ができた。赤茶けた金属の山。舞い上がる土埃を細目で眺めながら竹箒をうごかす。水分を含み重くなった黒々とした土の山。
ラジオの音声。メールを読んでるだけ。このMCはつまらない。無言の時間がつづく。頭のなかを質問がぐるぐるしている。「いま何を考えていますか。自分のことを真面目だとおもいますか。結婚はいつされたんですか。お子さんにはどうなってほしいですか。雨は好きですか。この『目標』って意味あるとおもいます?」
時間を無駄にしているのではないか。
毎日同じ作業の繰り返し。変わるのは天候と気温と山の金属量、そして『目標』。勝手に課された目標は達成するたびに20、30と膨れ上がった。気に止めることなく毎日同じペースで作業をつづけていたが、壁に貼り出された『目標修正』という文字列にめまいを催しそうになった。猛烈な嫌悪感がそこにあった。達成しても数字が跳ね上がるだけでこちらには何の利益もない。なんなのだこの数字は。気が滅入るだけのカウントアップ。