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「ともに暮らす、だからこそ分かる”違い”が常識を広げてくれた」亀田将史さん|ボーダレスメイトストーリーvol.2

「ボーダレスメイト ストーリー」は、国際交流シェアハウス「ボーダレスハウス」の元入居者であるボーダレスメイトにインタビューをしていく企画です。

第2回は、亀田 将史さん。
亀田さんは、2012年3月から東京の田端、大崎、大島の3つのハウスに6か月ずつ、合わせて1年半滞在された後、通訳として独立。現在はインバウンド事業を行う会社を経営されています。そんな亀田さんに、ボーダレスハウスでの体験や現在のお仕事について、お話を聞きました。

某カフェにて、亀田さん(左)にボーダレスハウス代表の李が話を聞きました

プロフィール
亀田 将史さん
株式会社GLOCALS 代表。「世界中のお客様を家族として考える」を理念とし、国内外の事業者に対するM&Aや事業承継のコンサルティングのほか、通訳や旅行などインバウンド事業など幅広く手掛けている。


東京の様々な街を知り、英語で交流できる環境を求めていた


——亀田さんは2012年3月から東京の3つのボーダレスハウスにそれぞれ半年ずつ滞在されましたね。どんなきっかけだったんでしょうか。

当時は、新卒で入社した素材系の商社に勤めていました。鳥取県に本社がある会社だったんですが、新しいプロジェクトの立ち上げのために東京に転勤することになったタイミングでした。

ありがたいことに会社からは「どこに住んでもいい」と言われていて、私自身は学生時代に中国に行っていたこともあって、海外の方との交流ができたり普段から英語を話せる環境があったらいいなと思って、「シェアハウス 英語 交流」と検索して見つけたのがボーダレスハウスでした。

1軒目の田端ハウス

東京での勤務も長くても3、4年という話だったので、その間に東京のいろいろな場所に住んで、街のことを知りたいと思っていたので、半年ごとに住む場所を変えようと思って入居しました。

——そうだったんですね。ありがとうございます。
ボーダレスハウスは都内に40棟以上あって、最短1か月から入居できるので、亀田さんのようにいろんなハウスに住む楽しみ方をされる人も結構いますね。
亀田さんは、その後、今までどんなお仕事を?

素材系の商社に3年ほど勤めた後、外資系の会社に転職し、その後に京都で通訳として独立しました。通訳をしながら、知り合いからの依頼でゲストハウスを任されることになって、多い時で15件ほど運営していました。その事業は別の法人に引き継いで、今はインバウンドを対象とした旅行事業と、M&Aや事業承継などのコンサルティング事業を行っています。


細かな常識の違いに気づく土台ができた


——ボーダレスハウスでの経験が、今の仕事に生きていると感じることはありますか。

旅行事業にも事業承継やM&Aのコンサルティングにも、どちらにもすごくつながっていると思います。

旅行事業でいえばやはり食べ物に関する考え方ですね。食べる物がその国によって全く異なるということを、ボーダレスハウスでのリアルな生活を通して実体験したことは、知識だけ持っていることと大きな差があると思います。

ハウスでみんなでバーベキューをした時、それぞれが用意する食材も調理の仕方も、国によってもう全然違っていました。メキシコからきているハウスメイトはまな板を使わずに調理していて、手が滑って怪我したりしないのかなと思ったし、ロシアの子がいた時は冷凍庫にウォッカが入っていて、こうやって保存するんだと驚きました。それぞれが持っている常識がそもそも違うんだということを強く実感しましたね。

2軒目の大崎ハウス

シェアハウスではゴミの出し方が分からず困っているハウスメイトがいました。数ヶ月間、生活していても分からないことがあるのなら、旅行者には絶対に分からないですよね。想像しても抜け落ちてしまうような細かなこと、一緒に生活することではじめて分かることって実際には結構あるんです。ボーダレスハウスでの生活を通して、そうした小さな違いに気づく土台を作ってもらったと思っています。

海外から旅行に来られる方が日本滞在中も自国の料理を望まれていたり、体調面がすぐれない方へのケアなど、一般的には対応が難しいことまで今の事業でサポートさせてもらっているのは、あの時の体験があるからですね。ボーダレスハウスでの時間で、日本の常識が海外の方には当たり前ではないという実感を持ったし、常識の捉え方が広がったように思っています。

——事業承継のコンサルティング事業にもつながっているところはありますか?

ありますね。例えばお店のサービスを評価する場合も、量や質や別の視点だったり、基準が国によっても人によっても全然違うんですよね。世界的に見ても日本のサービスが良いという意見もありますが、そうとは言い切れないなと思っています。

何を良いと思うか、何をおかしいと思うのか、色々な価値観があって色々な評価がある。違うって良いことだなと思うようになりました。

それはつまり、日本ではあまり価値がないとされていることに価値が見出されることだったり、逆に日本では価値があると思われていることにも、私たちには気が付かない問題が見えてくることでもあるんですね。

人間関係の結び方も、ビジネス的な関係以上の、一人の人間同士として家族のようなつながり方を意識するようになりました。そういう意味でも貴重な経験をさせてもらったんだなと思っています。

長く暮らすからこそ、一人ひとりの性格や個性も含めて付き合っていくシェアハウスの体験は、実際に何人にもすすめてきましたけど、本当におすすめですね。

——ありがとうございます。


言葉よりもっと深い国際感覚が培われた


——日本にいながらそういう交流ができる機会はあまりないですよね。

ないですね。だから学生の方にもおすすめですし、社会人1年目、2年目の方にも良い環境だと思いますね。働き方に関する様々な価値観にも触れられるし、視野や常識の幅がすごく広がると思います

また日本語を勉強している人がこれだけいるんだと知れたことも良かったですね。あらためて日本を見直す機会にもなりました。

——これまでとは違った視点で日本を見ているような感覚がありますよね。

そうですね。海外からのハウスメイトと山形や富士山など国内旅行に出かけた時には、自分が普段感じること以外の良さを知れましたね。

自分の感じていることや意見をどううまく相手に伝えるかって日本人が苦手な部分だと思うんですけど、旅行以外でも、日常の中で感じたことや意見をシェアしたりする機会が多くあるのでトレーニングになると思います。言葉以上にもっと深く、どう伝えるかを考えていくのはシェアハウスで一緒に生活する体験だからこそできることですよね。

違いだけではなく、共通点が見つかることもあって、それはある種の驚きでもありました。

——どんなことがあったんですか。

2つめの田端のハウスにいた時、日本人ですごーくお風呂が長い子がいたんですね(笑)

本当はみんなが困っていた。でも、それぞれが直接伝えることなく、できるだけ仲良くしようと実は我慢していたんだなって。どんな風に彼女に伝えたら良いかと相談を受けて、同じことに困っていたと分かったんですよね。

その時は、一人の意見ではなく、みんなの意見として「時間を短くするとか、銭湯に行くとかしてくれないと、正直一緒に住むのはむずかしい」と素直に伝えました。その子も最初は戸惑っていましたけど、行動を改めてくれて、うまく収まったことがありました。

3軒目の大島ハウス

外国の人同士でも同じように感じることはあるし、日本人同士でも違うことはある。全部が全部うまくいくわけではないし、ストレートに伝えることだけが正解でもない。だからこそ、どう解決したら良いかを考え続けることが大切だと思うようになった体験でした。

今、仕事の場面でも、小さなズレやトラブルの芽が起こりそうな時に、いち早く汲み取ったり、近い関係だからこそ丁寧にコミュニケーションするようにしていますね。

——そういうコミュニケーションをみんなが身につけられたら、平和な世界に近づきますよね。亀田さんのこれからのお仕事や人生の展望を聞かせてもらえますか。

今も日本に海外からたくさんの方が来られるんですけど、日本のことを発信したり、本当の意味での魅力を伝えられるような、民間外交員のような存在を増やしていきたいと思っています。

茶道を例にとると、お茶を飲む体験だけに料金を払うのではなくて、実際にお茶を立ててみることで提供する側がどれだけ経験を積んでいるか、その差を感じることができますよね。そこから会話が広がって、人と人の交流が生まれる。そういった体験以上の交流をどんどん作っていきたいですし、そのために組織を少しずつ大きくしていきたいと思っています。

——おお!何か一緒にできることがあれば、ぜひ!これからのお仕事も楽しみにしています!これから、楽しみですね。


ボーダレスハウス とは


暮らしながら、世界とつながる
世界50か国以上の人が集まる国際交流シェアハウス
入居に関するお問い合わせはHPから


STAFF
TEXT:Naomi Ogawa
EDIT:Mami Shimura


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