聖剣伝説3考察(①フォルセナ編)
最初に。
ネタバレあるので、既プレー者のみ読んだほうがいいです。
最近聖剣伝説3をやっていて、思ったことがある。
このゲームは基本的に、剣と魔法の世界で、色々な意味で中心にそれらが回っている。
で、主人公たちがそういう世界で、それぞれの出身国家や出身階層からくる背景を背負い、陰謀あり、成長あり、様々なストーリーを生きていく。
で、主人公の1人フォルセナのデュランについて思ったことがある。
聖剣伝説におけるフォルセナのデュラン。彼は、なんで傭兵なんかやってんだろ?
デュランはフォルセナの英雄『黄金の騎士』ロキの息子で、ロキはフォルセナの英雄王リチャードの親友という設定。
そんな親密な付き合いかつ、自分と共に戦い、数々の活躍をしたであろうロキ、竜帝(聖剣3における最終ボスの1人、ロキはこいつを倒せなかったがほぼ死んだ状態にした)討伐に大功あったロキの遺族に、リチャードは土地か城をあげなかったのか。
リチャードは単にケチだった……そんなはずはない。
彼は英雄王であり、ロキの親友である。
そして、本編では英雄王として他国の庶民にまで名前を知られ、かつ大した抵抗もできずアッサリと敵に首都フォルセナを失陥させられかけ、かつ若い頃に“あの”理の女王をオトした男である。
ほんとに英雄なのか……いやいや、いきなり聖都ウェンデルが失陥したり、風の王国ローラントの戦士がほぼ皆殺しに合ったりするサツバツとした聖剣世界の連中の目が曇ってるはずはない。
それに、アンジェラの母たる稀代のクールビューティ理の女王がしょうもない男にオチるわけがない!
プレイヤーのみんなもそう思うだろう。
重要なキーポイントは
デュランの父ロキとリチャード、そしてフォルセナの関係性。
上の通り、デュランを考察する前に、どうやらロキとリチャードとフォルセナの関係を考察する必要がある。
ひとつ興味深い思いつきができた。
ここではそれを解説していき、それからデュラン傭兵問題に入ろうと思う。
さて、剣の国であり草原の国であるフォルセナ。
実は、この国は南の自由都市マイアと商業都市バイゼル以外、国民も都市も何もない様子がマップから見受けられる。
高すぎる山に国土外周を囲まれ、他大部分がモールベアの群居する高原である(マップ上というか、プレイ時にわかるが、首都フォルセナのすぐ近くまでモールベアが住んでるし、高原マップ)。
たぶん、首都フォルセナも高原地帯にある。
先程の2都市(マイア、バイゼル)は国土の南端にあり、そこは唯一海に面している地方である。
たぶん『草原の国』と言われながら、フォルセナの高原地帯に元々あったのは(首都フォルセナ以外に本国には主要な都市もない)ハイランダー、スコットランドのような部族国家なのだろう。
実は、『高原の国』なのだ。
だから、インヴァネスが首都フォルセナ、マイアがエディンバラ、バイゼルがグラスゴーのような感じ()なのかもしれない。
全然違う(インヴァネスは海あるし、でも地理的には……)と思うかもしれないが、まあこの辺はイメージで捉えてほしい。
下記URLはワールドマップの様子。
一方、公式イラストの様子。
ゲームマップほど、外周に隔絶した山は見られないが、鬱蒼とした森と巨大な大地の裂け目が国土と外を寸断している。
そして、本国中央を見ると、でこぼこして盛り上がった地形を見て取れ、やはり『高原の国』である。
アート色の強い公式イラストより、現実として作用するワールドマップを重視して、ここでは考察を行っていく。
フォルセナ王家、高原に進出の謎。
さて、フォルセナの大半を占める、土地あって人も都市もなきように見える高原のその実態は、フォルセナが実は先頃まで独立色の強い部族国家で、高原地帯に住まう国民の大半が高原に割拠しているということだと思われる。
フォルセナ本国への入り口は、黄金の街道の先にある、本来人跡未踏たるべき恐ろしい深さに穿たれた大地の裂け目に、たった一つだけかかる吊り橋であり、国土外周は恐ろしい高さを誇る山々が海岸線を埋めている。
吊り橋が埋まっている場合、本国に入るテはたぶん一切ない。
それはゲーム中、バイゼルの発明家ボン・ボヤージがわざわざ南斗人間砲弾のような、片道切符の超絶アブナイやり方で、主人公らをフォルセナに到達させたことで証明されている。
この様子を見るに、フォルセナ王家は大きな街道(ゲームの都合上モンスターだらけだが)も通り、明らかに豊かそうな自由都市マイアと商業都市バイゼル間で勢力を蓄えてから高原地帯に進出し、今のフォルセナ王国を築いたのではあるまいか。
しかし、入口もひとつと限られ、明らかに侵攻が困難そうな高原に進出する意味はないように思われる。
たぶん、この辺りにビーストキングダムと竜帝が関係しているのかもしれない。
フォルセナの南部に目を向けると、強力な獣人兵を擁する、ビーストキングダム支配下の鬱蒼とした森が広がっている。
統治も交渉も困難、かつ産業も工業も人口も希薄な彼らの土地に侵入するのには、いかにも旨味がないだろう。
その頃のフォルセナがあとどこを取るかと言えば、地理的に上にある現在の本国のみしかない。
フォルセナ、ゴールドラッシュ説?
征服に飢えたフォルセナ王家の目が北に向いた理由の一つは説明したが、それだけではまだ足りない。
マップをここでもう一度よく見てみよう。
のちのフォルセナ本国となるべき土地は、ずいぶんと不毛に見える。
何もないフォルセナ本国の高原は、一見したところ実に旨味がないのだ。
みんなこの辺で思うことだろう。
おいおい、それじゃどうしてフォルセナは北に進出したんだよ。
考察、破綻してるじゃないか。
ノンノン、プレイした方は、ぜひ思い出して欲しい。
モールベアの高原には、『宝石の谷ドリアン』が存在しているのである。
土のマナストーンが置かれ、本編では土の神獣が登場するこの地名、実に意味深ではないか?
『宝石の谷ドリアン』は、ゲーム本編では単なるダンジョンだが、マップには絶えず光り輝く石が目に入る。
それは鮮やかな青だったり、翡翠色だったりといくつかあるが、いずれも意味ありげに明滅し、それらは何らかの宝石か力のある石なのだろうと推測される。
道がほぼないとはいえ、高原地帯とマイアとバイゼルには、恐らくなんらかの交流は昔からあったろうと想像される。
また、ゲームをプレイした人は覚えていることと思うが、裂け目周辺にはさかんに採掘を行うドワーフ一族が居住している。
たぶん、彼らも関係しているのだろう。
さて、その交流自体は現地民とバイゼル・マイアとの交易でもなんでも良いが、たぶんフォルセナ王家はこの昔からの交流を通して『沢山の宝石を産む価値のある谷間』を知ったのではなかろうか。
それだけではまだ確たる侵攻も何もないが、交流を通して、高原地帯からドリアンの谷産またはその衛星圏の鉱山から採れた宝石が、南のマイアやバイゼルにもたらされたことはあったかもしれない。
フォルセナ王家はマイアとバイゼル一帯を制覇した後、そのことに目を向けたのではあるまいか。
そういえば、フォルセナ王家に仕える騎士団は『白銀』騎士団だし、最高の戦士たるロキは『黄金』と宝石や鉱石の名称が目立つ。
完全に想像になるが、もしかしたら『宝石の谷ドリアン』のためにフォルセナ王家が征服行をやる気になった結果、王国では、そのあたりで熾烈な戦闘があり、鉱物資源獲得に対する武勇譚がたくさん生まれ、宝石や鉱物の名前が称号として奉られたという経緯があったのかもしれない。
当然、それは現地民(フォルセナのハイランダーたち)の反発を産むだろうが、エドワード1世も“Hammer of the Scots"(スコットランド人への鉄槌)だから問題ない。
まあそれはさておいて、部族国家のスコット……違った、高原地帯に散るフォルセナハイランダーたちは、その性質からしてお互い反目する連中もいただろう。
高原の国たるフォルセナ本国のマップ東側は、起伏は穏やかで『草原』のようなものが広がる様相も確かに見え、文化的にも気質的にも、民族的にもある程度東西で分たれていたのかもしれない。
多分、それを利用して大地の裂け目通過に成功し、フォルセナ王家は南部から浸透したのではあるまいか。
この頃の大地の裂け目の橋は、恐らく今のような防衛的な側面からそのようなされている小さな吊り橋ではなく、もっと大規模なものが掛けられていたかもしれない。
とにかく、フォルセナ王家は浸透を始めた。
和戦両方を駆使し、カエサルの如き活躍を見せたであろうと推察する当時のフォルセナ王は、高原地帯ある程度支配下に収め、統治にもある程度成功したのだろうと思う。
なぜ“ある程度”なのかというと、そう思った理由は、首都フォルセナの位置にある……。
やけにスカスカのフォルセナ西側、気になるではないか?(みんな気がついてると思うけど、この世界のマップが大体スカスカなのは気にしないで下さい)