支援の手は休めない!JRAができる事は?
9/7付のJRA発表によると、はやり病の支援策が確定したそうです。今回の支援は6/22付で発表した50億円の寄付に追加する形で行われます。その時の支援内容は6/23の下記の記事をご覧下さい。
『100億以上の寄付でも満足できないか? 』
https://note.com/boost_quinty/n/n0894b570c52c
今回確定した内容は、前回の発表した50億円に5億円を加算した計55億円の支援の内訳、そして新たに30億円を追加で拠出するとの事です。
前回は自治体や医療機関に対して行われましたが、今回は困窮する学生、社会福祉事業にも範囲を広げて支援しており、非常に評価できます。学生は生活苦だけでなく、アルバイトでも差別されているという報道もありますし、養護施設や救護施設、障害者支援施設などははやり病だからと言って止める事はできませんからね。国の手が回りきらない場所に、少しでも支援できたらという配慮を感じます。
そして9/21に開催予定のJRAアニバーサリー当日の売上から30億円を拠出するとの事ですが、昨年同時期の祝日開催時の売上は約215億円であり、その内10%が国庫に、75%が払戻に充当され、残りの15%がJRAの運営費に充てられます。215億円の15%といえば約32億円、つまりアニバーサリー当日のJRAの収益の大部分を支援金に充てると言っているわけですね。開催に掛かる費用は別途自分達の負担とした上で、ですよ?これを評価しない人なんているのでしょうか。
何か大きな問題が起こった時に支援するのはJRAの役割の一つです。世間一般から見れば未だギャンブルという根強い偏見がありますが、JRAが稼いだお金の多くは国庫に入る点をもっと知ってもらいたいですね。そして国庫に入らない分からこうした支援を行っています。つまり、常日頃から国に金を払い、何かあれば被災者や困窮者にも金を出しているのです。
確かに、はやり病に罹患された人はもちろん、医療従事者の皆様や、それによって様々な影響を受けた皆様からすれば、何でこんな時に競馬なんかやっているのだと思われるかもしれません。しかしですね、血の継承という競馬の特色を考えれば容易に開催をストップする事はできませんし、道義と文化の板ばさみの中、せめてできる範囲の支援を・・という事で多額の寄付を行っているのです。右往左往して支援が遅れる国よりマシでしょう。
このようにはやり病の支援だけで100億円近い支援金を出していますし、これ以外にも地震、台風、豪雨などの災害に対する支援も行っています。それらの詳細は前述した6/23の記事で書いているのでそれをご覧頂くとして、それ以降も下記のように災害に対する支援を行っています。
JRAのHPには載っている分だけでも合計5,981,406,057円(約60億円)もの支援を行っていますし、ここには載っていませんが、阪神淡路大震災の時は59億円を拠出したそうで、合計すると約120億円という大きな支援を行っています。一営利企業がここまでの金額を支出するなんて、日本ではまず聞きませんね。
昨今のJRAの組織運営には辟易していますが、こうした部分は大いに評価したいと思います。何か問題を起こしたから、それまでの功績を全て無かった事にするのは違いますし、評価する所は評価して、評価できない所は批判する。それでこそ、適切な議論ができる下地ができあがると思いますよ。それはそれ、これはこれですからね。
さて、支援の話以外にも定例会見でいくつか発表がありました。まず、栗東トレセンの火災事故について、厩舎にスプリンクラーを設置する件につき『検討はしたが、誤作動が生じるし、それによって馬への影響も考えられるので、効果は期待できない』と吉田正義理事がコメントしたとの事。これについてJRAは再発防止に後ろ向きだという報道がありましたが・・いかにもJRAらしいやる気はありませんってコメントですね。スプリンクラーが絶対に誤作動しないと断言できなければ設置しないって言ってるわけですから。
じゃあ再発防止策はあるのか?と聞けば、『近日中に消防局による臨時の講習を行います。栗東、美浦で臨時点検を行うなど、再発防止をしたいと思います』との事です。講習なんかしても確実な再発防止にはなりませんよ。こうしたら良いですよって習っても、資金や人手などを理由にやりたいけどやれないと逃げる関係者は出てきますから。
臨時点検も一緒です。ここはマズい、ここは改善して下さいってJRA側からお願いしても、いやいやコレで十分ですからって反論する調教師は居るでしょうし、定年まであと数年だからそこまで変えたくない、点検時だけ変えればいいやって調教師も居るでしょう。だからこそ、JRAが強権を使ってこうやります!と言わなければいけないのですが、どうもそこまでは考えていない模様です。
個人的には、内厩制はあくまでJRAが調教師に厩舎および調教その他の施設を貸しているにすぎないので、何かあった場合に責任はJRAにもあると思うのですよ。テナントとかでも契約時にこういう事はしないでねって条件が付くし、居住用の賃貸でも設備そのものに手を加えるなら貸主に許可を求めて下さいってなりますよね。つまり、調教師が競走馬のためを思って厩舎に手を加えるのであればJRAの許可が必要で、許可した以上は問題が生じた場合に調教師だけではなくJRAにも責任がありますよね、って話なのですよ。
でも、『そんな面倒な事はしたくない、滅多に起きる事でもないし、講習と点検で済ませましょう』ってのがJRAの回答っていうのですから参ります。ホント、今の経営陣はヤバイわ。
また、今秋のジャパンCへの外国馬の参戦は難しいとの発言がありました。そもそも論として航空貨物便が無いという問題もあるのですが、日本国自体が外国人に対して入国拒否をしている問題もあります。馬は来れても扱う人が来れないのでは参戦なんてできませんよね。
9/8付の外務省海外安全ホームページによれば、日本国籍を持たない一定の地域の人達は入国を拒否されているそうです。その中にジャパンCで御用達のカナダや米国が含まれており、欧州からは英国、アイルランド、ドイツ、フランスなども対象となっています。ここまでされたらまず無理でしょう。ただでさえ昨年は外国馬の参戦が0頭でしたし、はやり病を押してまで来ようという関係者は居ませんって。大金積んだら別ですがね。
これで2年連続外国馬の出走0頭は確実となり、ジャパンCの意義そのものが問われる事態となりました。それでも金以外の対策をしないJRA理事長は、ホントに辞めてほしいと思うのですよ私は。それだけJRAという組織が歪んでいるように見えるのです。もし、来秋も出走馬が居なかったら完全にアウトですよね。日程変更も視野に入れた抜本的な改革が必要になりますが、あの理事長にできますかねぇ。大人しく辞職して後任に任せた方が経歴に傷がつかないと思いますが・・
それにジャパンCの参戦だけでなく、毎年恒例となっている秋の短期免許祭りも今年はできないでしょう。だって短期免許の取得どころか入国できないのだから。ムーアもシュタルケもビュイックもCデムーロも来ないでしょうね。ワンチャンあるとすれば、12月から参戦してくるマーフィーでしょうか。それまでにはやり病が終息し、第三波が来ない事が条件なんですが。まぁ今年は無理でしょうね。
そうなると日本人騎手がどれだけ奮起するかが注目です。今までは短期免許の外国人に有力馬を奪われて行った立場ですが、今度はそれを日本人同士で奪い合うわけですから、腕はあるがチャンスに恵まれない騎手は特に注目でしょう。そこでそれなりの結果を出せれば、わざわざ短期免許の外国人じゃなくても良くね?となるわけですし、少なくとも無条件で乗り替わりなんて事はないでしょう。そういう意味でも秋競馬は騎手に注目です。
そういえば入国拒否の中にイタリアも含まれているので、ミルコはお父さんが亡くなっても帰国できないのですね。8日の葬儀に間に合わないから帰国しないとの報道がありましたが、実際は再入国できない事の方が問題だったのでしょう。本当に残念ですが、心からの哀悼の意を表したいと思います。ミルコぇ・・頑張ってくれぇ・・悪い所もあるが、俺は応援するぞ。