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ミシェル 短期免許を取得する

有馬記念の激闘の余韻が残る本日、仕事納めの方も多いのではないでしょうか。短い休みですが、はやり病で外出が憚られますので、自宅でのんびり静養して英気を養いましょう。


さて、来週から始まる新しい一年を前に様々なニュースが飛び込んできましたが、その中でもフランスの女性騎手ミカエル・ミシェルが短期免許を申請したとのニュースがありました。これについて一部の記者と競馬ファンは歓喜の声を挙げていますが、私はあまり歓迎できません。

そもそも幾度となく述べてきたように、短期免許制度は日本の騎手の技術向上を目的としています。だからこそ厳しい基準で選ばれた一流騎手しか免許を取得できないのです。

では、ミカエル・ミシェルはどうなのかと言えば、微妙も微妙ですよね。彼女の近年の成績は、

2017年 17勝 仏リーディング78位(女性同8位)
2018年 72勝 仏リーディング12位(女性同1位
2019年 22勝 仏リーディング64位(女性同10位)
2020年 16勝 仏リーディング77位(女性同17位)

う~ん・・一発屋みたいですね。まるで関西若手の3年目のジンクスのように見えます。2014年9月のデビュー後、頭角を現したのは2017年3月の施行された女性騎手に対する減量制度が導入されてからで、翌2018年は72勝でフランスの女性騎手の年間最多勝記録を更新する活躍を見せました。

ところが、翌2019年は22勝に急落してしまいます。WASJで日本に来日するなどがあったとしても落ちすぎですよね。同年はコラリー・パコーが71勝を挙げてリーディング13位に食い込みますが、実は以下のように彼女の方が成績面では優秀だったりします。

2017年 24勝 仏リーディング60位(女性同6位)
2018年 67勝 仏リーディング16位(女性同2位)
2019年 71勝 仏リーディング13位(女性同1位
2020年 45勝 仏リーディング19位(女性同4位)

そして今年は年初から地方競馬に参戦していた上に、帰国後にはやり病の自主隔離があり、さらに競馬自体が中止になったりした事情はあるものの、16勝に終わっています。女性リーディングでもTOP10に入れない成績ですし、女性騎手の年間最多勝記録も83勝を挙げたマリー・ヴェロンに更新されています。ちなみにマリー・ヴェロンの成績は以下の通りです。

2017年   4勝 仏リーディング168位(女性同22位)
2018年 42勝 仏リーディング  35位(女性同5位)
2019年 40勝 仏リーディング  32位(女性同6位)
2020年 83勝 仏リーディング    7位(女性同1位

自身と他の女性騎手を比べると、一流騎手どころか、短期免許を取得するにも疑問符が付くレベルであり、日本の騎手の技術向上に寄与する事ができるかと言えば、答えはNoとしか言えないでしょう。

ところが、12/28付のニュースでは短期免許の審査を通過したと本人が公表したそうです。これを聞いて私はガックリしました。JRAはそこまで忖度するのか、とね。だってそうでしょう?女性騎手の短期免許の取得条件は、

過去2年以内の自国のリーディングで女性1位
当該年で10勝以上で、かつ、リーディング50位以内
③過去2年および当該年で、インターナショナル・カタロギング・スタンダーズのパートⅠに定めるGⅠ競走で優勝

であり、所属の国によってリーディング順位は若干異なるものの、上記のいずれかを満たす必要があります。

2021年に短期免許を取得するのであれば、過去2年、つまり2019年と2020年に条件を満たせなければいけませんが、ミカエル・ミシェルはそれを満たしていません。また、私の記憶が確かなら短期免許を取得する際はJRAの面接を受けなければいけなかったハズですが、彼女はまだ本国に居て来日していませんよね。

なぜ審査を通過したのでしょうか?


2021年の年初に来日したミナリクも、2019年1月に来日したブロンデルも、過去2年以内の成績を満たしていないのに短期免許を取得していますが、これらの条件を良く見てみると、一つの仮説が浮かび上がります。

もしかして、「過去2年」という条件は、「申請時の過去2年」という条件ではないでしょうか。

それなら年初のミナリクは2019年12月に申請しているハズですから、2017年リーディング1位で取得できますし、ブロンデルも2018年12月に申請して2016年リーディング4位で取得できます。同じ様に、ミシェルも2020年12月の申請2018年女性リーディング1位で取得できる事になります。

ただ、もしそうだとするならJRAのリリースはとんでもない錯誤を生むと思いますよ。色々な短期免許の記事を見ましたが、私のような一般人よりJRAに近い競馬記者も「ミナリクは2020年に短期免許を取得できない」と記事を書いているのです。客に情報を伝える記者ですら事実誤認するような発表をJRAは行っていると言っても過言ではないでしょう。

正直、呆れて言葉が出ませんね。今日日、情報公開や丁寧な説明、顧客の満足度などは経営をする上で重要な指針に繋がるものですが、そこが全くできていないのですから。まるで役所です。というか役所ですね。

JRAは競馬という公営ギャンブルを運営する胴元ですから、情報公開や丁寧な説明をしっかりと行わなければ、いらぬ誤解を生むでしょう。それは八百長や忖度という疑念に繋がり、競馬そのものに対して不信感を生む事になります。それって売上に繋がります?普通に考えれば、繋がるどころか逆に減りますぜ旦那?


競馬記者も、もっとこういう点に突っ込んで聞くべきでしょう。ジャーナリストなんですから。読者にとって有益な情報だと判断できるなら、聞きづらい事でもしっかりと取材、確認をして、読者に伝える必要があると思いますし、そもそも記者の本分で義務じゃないでしょうか。

それなのに、事ある毎に記事になるのは、「藤田は今日何鞍乗る」「日本のGⅠについてミシェルの感想」「ミシェルの受験状況」などですからね。忖度とかのレベルじゃないですよ。その情報居る?ってレベルですから。

先週の某記事で、落馬事故からリハビリ中のミナリクに有馬記念を予想してもらうというのがありましたが、あれはアリですよ。落馬後に昏睡状況のミナリクや、奇跡的に意識を取り戻してリハビリに励むミナリク、騎手として復帰する事は叶わないミナリクを報道した競馬記者はほぼ居ませんでしたから、ここで九死に一生を得たミナリクの状況を伝える意味はありました

それと比べると藤田やミシェルに関する報道は中身の薄っぺらいものばかりに見えます。男だらけ村社会の中で「女性だから」「容姿が良いから」という理由でチヤホヤされているだけじゃないでしょうか。それって本人達に失礼な場合も多々ありますからね。

藤田は伝え聞くところによれば、新人の頃からそういう扱いを遠慮する心意気を見せているようですし、本人の努力も関係者は見ているでしょうから、まだ理解できます。ただ、ミシェルはどうなんだろう?というのが私の気持ちです。ファンサービスが好きな女性騎手としか思えないんですよね。

確かに、ネームバリューで騎乗馬を集める事は決して悪いとは言えません。それでも限度はあります。二世騎手や祭り上げられた騎手などが凋落していく姿を何度も見ていますし、生き残った騎手がろくな批判もされずに有力馬に次から次へと乗っているのを見ると、騎手は公平どころかチャンスもないんだなぁと思ってしまうのです。

ほんの四半世紀前のGⅠの勝利騎手を見ると、こんな騎手を良く乗せたなぁという名前が結構あるのですよ。若手もベテランも。厩舎と騎手の繋がりが太く、成績によって大小はあるものの、それなりにチャンスも貰えていました。だからこそ、こういう結果に繋がっているのでしょう。

翻って現在は、チャンスらしいチャンスってあまり見られないですし、それだけで話題になりますよね。プリンスリターン原田とか現在だからこそ話の種になるのであって、一昔前なら「そうなんやぁ」で終わってんじゃないでしょうか。


という記事をズラズラと書いていたら、本日から外国人の新規入国が1月末まで停止されましたね。私としては僥倖なんですが、本人は短い期間でも来るってコメントしています。もうちょい、日本の騎手の技術向上に寄与できるくらい本国で頑張ってからにしようか。そこまでJRAの売上に貢献できるとも思わんしな。

というか、来年の通年免許とか本気で取りに来そうで怖いですよね。ミシェルが合格するなら、JRAの騎手免許試験の合格基準が全く分からなくなりますよ。態度が悪かったとはいえモレイラを落としていますからね。

ともかく、今春にはやり病で皆がひぃひぃ言ってる中で、『私のバックには強い人が居るのよ!』とわがまま言って周りを困惑させた事は忘れられないですねぇ。JRAにはしっかりとした対応をお願いしたいところです。無理だと思いますが。






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