GⅠ最多勝の価値は?
今週は天皇賞・秋が行われます。最も注目されるのはアーモンドアイが最多となるGⅠ8勝目を挙げられるかどうかという点ですが、私個人は達成される可能性は高いと思います。なぜなら、クラシック路線において2頭の無敗の三冠馬が誕生したにも関わらず、日本競馬の盟主たる某大手馬主グループが関与していないからです。簡単に言えば、某大手馬主グループの底力を見せる時なのですよ今回のレースは。
かつてGⅠを7勝した馬は同馬を含めて7頭おりますが、7勝目を挙げた後にレースに出走できたのは4頭であり、8勝目に挑戦できたのは3頭のみです。内1頭のシンボリルドルフは海外遠征だったので、これを除いた場合はテイエムオペラオーとアーモンドアイの2頭だけですね。
そのテイエムオペラオーは天皇賞・春で7勝目を挙げた後、宝塚記念、天皇賞・秋、ジャパンCと立て続けに2着となり、最後の挑戦となった有馬記念では5着に敗れ、4度の失敗で記録更新とはなりませんでした。
一方のアーモンドアイは、ヴィクトリアマイルで7勝目を挙げた後、安田記念で2着となり、今秋での記録更新を狙いますが、おそらく今秋はこの天皇賞・秋と香港の2戦のみとなるでしょう。とすれば、情勢不安で初挑戦となる香港よりは走り慣れた東京に全振りするのは当然の帰結であります。
そのために勝負になりそうなサリオス、サートゥルナーリア、ラッキーライラックなどは軒並み回避させて、意地でも記録更新をさせるのが某大手馬主グループのやり方ですが、ここまでして達成できなければ逆におかしいと思うのですよ。そう考えればアーモンドアイの記録更新の可能性は高いかと。
ただね、それにどれほどの価値があるのかは別問題です。これは前から様々な記事で何度も述べている事ですが、グレード制が導入された1984年から比べて9つもGⅠが増えていて、さらに距離体系の整備、馬場の改良により多少の有利不利があろうと強い馬同士が戦う事が減少している日本競馬を現状を考えれば、GⅠ最多勝にそこまでの価値は無いと断言できます。
ましてや八大競走や宝塚記念、有力な外国馬が出走していたジャパンCなどの大レースで勝ち星を重ねていたのであればともかく、牝馬限定の阪神JFや秋華賞、ヴィクトリアMなどで勝ち星を水増ししたところで、それは数字の上でのみの話でしかありません。大切なのは、レースの格や内容、相手関係といった競馬の質であり、それが競走馬を評価する基準となるのです。
そう考えると、やはりウオッカ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイは一枚劣るように見えてしまいますし、仮にアーモンドアイが8勝目を挙げたとしても秋華賞とヴィクトリアMという牝馬GⅠ2つが枷になってしまいます。というか、どちらも牝馬限定という点もさることながらGⅠの中では新参者ですからね。近年のレースレーティングでも前者は3歳GⅠ、後者は古馬GⅠの中で最も低いレートですし、レースの格という時点で既に評価するのが難しいレースなんですよ。1勝ではなく0.5勝くらいで良いだろって意見が出ても仕方ないですよね。
まぁ某大手馬主グループは数字に拘っているようですが、歴代の名馬たち、特に顕彰馬に選出されている馬たちがどうしてGⅠ2~3勝程度でも選出されているのか考えた方が良いと思いますよ。私個人は、競走成績、繁殖成績、人気(競馬やJRAに対する貢献度)がバランス良く高水準か、もしくはいずれかが突出しているか。それが条件だと考えています。
では、アーモンドアイはどうかと言えば、競走成績は牝馬限定込みで見劣りするだけでなく、強者との対戦を避けていますし、繁殖成績は牝馬なので見込めないでしょう。強者との対決を避けての勝ち鞍なので人気の面からも評価はできません。これでは史上初のGⅠ8勝として顕彰馬に選出される事はあっても、先輩顕彰馬と比べたら一枚どころか、二枚も三枚も見劣りしますよね。牡馬でこんな事やったら種牡馬としての価値は見込めませんが、牝馬だからセーフと思ってるのかなぁ。むしろ繁殖の価値を度外視できる分、牝馬の方が無茶できるんですがね。
ともかく、下手したらこれで最後になるかもしれないアーモンドアイの挑戦の前にどうしてもこの点だけは言っておかなければと思い、筆を取った次第です。開催日割の変遷シリーズを止めてまで・・と思う方もいらっしゃるでしょうが、次の2011年で結構な凡ミスかましまして、現在全て書き直しているので、ちょうど空いていたのですよ。2011年の追加と2012年以降は確認をする時間を頂戴しますので、しばらくお待ち下さい。
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