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2021年度顕彰馬、該当馬無し!!

今年もこの季節がやって参りました。顕彰馬を選出しようのコーナーですが、毎年同じ言葉を吐き捨てましょう。

コレ意味あんの?

とね。

※昨年も同じような記事を書いていますので、よろしかったらご覧下さい。


顕彰馬制度ってそもそも何?

顕彰馬制度は『中央競馬の発展に特に貢献があった馬および調教師または騎手について、その功績を讃える』という名目でJRAが顕彰を行っている制度です。その選考方法は、年に一回『報道関係者による選定投票を行い、3/4以上の得票を得た馬が選定される』わけですが、これは年度代表馬等を選出するJRA賞と同じ構図なんですね。

JRA賞は報道機関の競馬担当記者の投票によって選出されますが、顕彰馬も報道機関の競馬担当記者の投票によって選出されます。JRA賞は中央競馬における活躍をたたえる目的でJRAが行う年間表彰制度であり、顕彰馬は中央競馬の発展に多大な貢献のあった競走馬の功績を讃え、後世まで顕彰していく目的でJRAが行う顕彰制度です。いずれも日本中央競馬会という組織が自らの組織で活躍した競走馬を褒め称えるものですが、なぜかその選出は外部任せにしています。

これっておかしくないですか?


組織で活躍した、あるいは組織に貢献したものを表彰するのに、なぜ外部の評価が必要なんですかね?JRAの意見は無いのでしょうか?note以外の媒体でも何度も何年も同じ事を言っているのですが、やっぱり理解できません。なんで報道関係者だけなんですかね。他の人間の意見は取り入れないのでしょうか。

以前は顕彰馬選考委員会での審議を経て選出されていました。ダイナナホウシユウなどの問題もありましたが、選定条件は以下のとおりです。

競走成績が特に優秀であると認められる馬(原則GⅠ3勝以上)
競走成績が優秀であって、種牡馬または繁殖牝馬として、その産駒の競走
 成績が特に優秀であると認められる馬(原則GⅠ5頭、繁殖牝馬なら2頭)

その他、中央競馬の発展に特に貢献があったと認められる馬

この条件で選出された馬は、それなりに納得できる馬ばかりでした。特に2番目の『競走成績が特に優秀ではなくとも、種牡馬や繁殖牝馬として産駒の成績が特に優秀だった馬』という条件は、現在の選考基準では全く軽視されています。

競馬はブラッドスポーツですよ?血の継承こそが競馬の本質の一つですよ?なんでそこが軽視されてしまうのでしょうか。もちろん、投票を行う競馬を報道する人たちが軽視しているかどうかは明確には分かりません。ただ、投票内容を見れば見るほど、軽視しているように見えるのです。そこを明確にしないと競走成績に重きを置いた「ただの人気投票」になってしまうのではないでしょうか。そう、JRA賞と同じくね。


自らの意思を表明しろ!!

2001年から変更された選考方法の問題は、選出を完全に外部委託している点です。顕彰馬選考委員会は確かJRAが組織運営をしていた委員会でしたが、現在の方法は、報道関係者だけで決めてください、それをJRAが未来永劫称えますって形です。JRAの関係者は意思を表明することが全く出来ません。

JRAが永遠に顕彰していく制度ですから、当然、内部の意見もあって然るべきですし、外部の意見が多すぎるのも問題でしょう。一人4票も多すぎますし、特に該当馬がいない時代に某大手馬主グループのGⅠ2勝馬辺りが選出されたら笑えませんよ?未だにコパノリッキーとかアエロリットとかに票が入るくらいですからね。



適切な選考方法はあるのか?

上記で紹介した以前の記事で、私はこう述べています。
『現在のGⅠ数は、グレート制導入以前の八大競走時代の3倍。1999年までの顕彰馬選考委員会が選出した顕彰馬の平均GⅠ勝利数は約3.2勝だが、2000年以降に始まった現在の選考方法では約6.4勝(特例分を除く)。これでは委員会で選出できる範囲を超えている。』

もう対象馬が多すぎてやってられないって感じですよね。だから投票方式にして面倒ごとを無くして、ファンからの批判は投票した記者たちに向けようというのがJRAの思惑なんでしょう。

しかし、やっぱりJRAが顕彰する制度である以上、JRAが責任を負うのが筋だと思います。私が提案する方法は以下のとおりです。これが現実的で有効性の高い選出方法だと思います。

1.下記基準に該当する競走馬をJRAが選出する
 ・競走成績が特に優秀であると認められる馬
 (おおむねGⅠ6勝以上の競走馬)
 ・競走成績が優秀であって、種牡馬または繁殖牝馬として、その産駒の
  競走成績が特に優秀であると認められる馬
 (おおむねGⅠ3勝以上の競走馬であり、かつ種牡馬であればGⅠを勝利
  した産駒が5頭以上で合計GⅠ勝利数が10勝以上、繁殖牝馬であればGⅠ
  を勝利した産駒が3頭以上で合計GⅠ勝利数が5勝以上)
 ・その他、中央競馬の発展に特に貢献があったと認められる馬

2.上記1.で選出された競走馬について、一定の成績を残したJRA関係者および15年以上競馬報道に携わっている報道関係者の投票を行い、総投票者の3/4以上の得票を得た競走馬が選出される。

※できれば上記1.の3つ部門に分けて一人一票で投票する形が望ましい。

この方法では、まず対象となる競走馬をJRAが選出します。ある程度、基準を設けてほぼ機械的に選出する形にし、そこで選出された競走馬を投票によって最終決定するわけです。その際の投票にはJRA関係者、つまり一定以上の成績を残した騎手や調教師、馬主なども含めます。これによりJRAも選出に責任を負うことができますし、投票する側にも責任が生まれます。

だって、例えばある騎手が投票をした内容をSNSで挙げたとします。そしたら報道関係者が投票内容を秘匿し続けるのは難しいでしょうね。公式でSNSやってるケースも多いですし、報道機関なんだから説明責任を!と求められると思います。ただでさえ投票馬が限定されている中でそういう状況になると分かれば、議論を呼ぶどころか、議論にすらならないような投票は減るでしょう。

また、この方法では競走成績だけではなく繁殖成績も加味できます。個人的にはここが一番大きいと思います。繁殖成績の条件は、近年はGⅠ数の増加もありますし、過去の顕彰馬とのバランスを考えてのものです。以下は産駒のGⅠ馬数と勝利数をざっくりまとめたものです。

クモハタ      14頭(計19勝)朝日杯等のGⅠ級、中山大障害を含む
トサミドリ     14頭(計16勝)朝日杯等のGⅠ級、中山大障害を含む
トウショウボーイ   7頭(計11勝)阪神3歳を含む
キングカメハメハ  13頭(計28勝)
ステイゴールド   12頭(計33勝)※障害馬2頭、8勝を含む
ハーツクライ    10頭(計17勝)※ヨシダ含む

これを見れば今年、得票率69%で落選したキングカメハメハは十分、資格があると思いますし、ステイゴールドだって有資格者でしょう。三冠馬や歴代最強障害馬を輩出し、その半数がGⅠ2勝以上ですからね。

クロフネやシーザリオだって競走成績は若干足りませんが、繁殖成績は及第点と言えるでしょう。競走成績と繁殖成績を同じ土俵で戦わせる事自体がおかしいのですから、あとは投票によって決めればいいのです。2015年に『多様化した路線から活躍馬が出て票が割れる』との理由で一人当たりの投票数を増やしましたよね?それと同じことですよ。


最後に騎手や調教師、馬主に投票権を付与させるというのは、JRA側にも責任を持たせるという意味の他に、それを一つの目標として切磋琢磨して欲しいという願望があるからです。

例えば、騎手や調教師は前2年のリーディング50位まで、馬主は前年のGⅠ勝利馬主(複数勝利した場合でも一馬主につき一票)とすれば、騎手や調教師はそこを最初の目標にするでしょう。JRA賞や顕彰馬を決める作業に参加できる事は競馬関係者にとって誉れとなる資格になると思います。

ただし、騎手については若手騎手は対象外とします。さすがにデビュー後、丸一年しか経験していない騎手に顕彰馬を決めろってのは問題でしょうし、中央競馬の世界をもっと勉強する必要があるでしょうからね。


そんなわけで、今年もまたダラダラと書いてしまいました。しかし、現在の顕彰馬制度やJRA賞はただの人気投票ですからね。伝統と格式を守りつつ、時代に即した制度に変更する事が大切だと思います。顕彰馬の重みをJRAはもっと考えてほしいです。





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