騎手の成績 2020年3月

ドバイミーティングの中止という残念なニュースに落胆している方々もいらっしゃるとは思いますが、それも国内の競馬があってこそ海外挑戦が期待が持てるわけで、ここはひとつ気持ちを切り替えて国内競馬に集中してみましょう。

さて、先週の競馬で第2回中山、第1回阪神が終了しました。開催毎に書いてきた騎手の成績を見たいと思いますが、3ヶ月も経てば大勢が決してきたと言っても過言ではない状況となっています。

意外と踏ん張る若手騎手、踏ん張りきれないベテラン

3月は相変わらずリーディング上位に変更はありませんが、割って入ってくる若手、落ちずに踏ん張る若手が目立ちます。逆にベテランは若手に勝ち星を取られ、踏ん張りきれずに落ちていく人が多いですね。

まず、リーディングトップは川田が確保。19勝(計56勝)を挙げトップを堅持。ルメールがドバイ遠征で不在だったし堅持は同然として、問題は人気の着外。騎乗馬が有力馬ばかりだが、怪しい有力馬意外でもサクッと負けるのはどうかな。それでも3着内率0.617なら文句は付けられないんですが。

2位のルメールは相変わらず安定の勝率と3着内率です。サウジ遠征と先週のドバイで2週休みだったわりには9勝を挙げていつのは驚異。ただ、重賞での強さは変わらないものの、特別戦の勝ち鞍が減ってきたのが気がかり。来週も休みだし、今年のリーディング争いは武さんとしそう。

3位の武さんは今月やっと今年初の重賞制覇。それが改悪されディープの名を冠した弥生賞とは持ってる男は違います。こちらもルメールと同じく9勝を挙げたのですが特別戦の勝ち鞍が多いのが特徴。一方、有力馬で勝ちきれないケースが目立ち、2,3着が多いですね。先週3日間だけ見ても1,2人気は2-1-0-12とかなり苦しい結果なので、ドバイ遠征も取り止めとなったわけですし、何とか巻き返したいですね。

5位の松山は3ヶ月連続でこの順位をキープしています。これは本格化したのでしょうか。騎乗数が全体トップでありながら3着内率は0.321と3割超えで、今月は上積みが無かったとはいえ特別戦も10勝二桁に乗せています。昨年GⅠ3勝でブレイクした北村友が信頼を失って低迷している中、着々と足場を固めている印象を受けます。

6位の福永はまさかのドバイ遠征拒否からのGⅠの有力馬強奪というコンボや、5頭立てで詰まるという伝統芸で話題を振りまいてくれましたが、成績は下降気味。前年比の3着内率の伸び率ではワースト10で、▲0.048の0.374となっています。もちろん0.374は一流騎手クラスなんですが、数字だけ見れば落ちぶれたと言われるミルコより下ですからね。ズルズル落ちなきゃいんですが、落ちたら落ちたらで面白いかも。

7位のミルコは8勝を挙げて徐々に順位を上げてきました。相変わらず3着内率の伸び率が低いですが、ワースト8位→9位→15位と記録を取っているギリギリ15位まで回復していますし、関東移籍はひとまず成功と言ったところでしょうか。重賞も高松宮記念はモズアスコット、大阪杯はラッキーライラックに騎乗予定ですし、東京新聞杯、共同通信杯、中山記念、スプリングSと大手馬主の有力馬に騎乗しそれなりの結果を残しているのも見逃せません。

9位の岩田Jrは先月25位からの大躍進ですね。やはり中京初日の7勝が利いたようです。何気にその次の週も4勝を挙げ、2週で11勝ですからそりゃ大躍進になりますわな。しかもその内8勝が1番人気とローカルではトップクラスに信頼されているようです。まぁ他の若手と違いずっと中央四場で乗ってそれなりに勝っていますからね。ローカルに逃げた若手とは違うというのを見せ付けた感すらあります。なお、先々週1勝、先週未勝利なのは中京で土日に重賞があって上位騎手が来た事、2場開催で騎手が集中した事で有力馬が減少した事が原因と思われますので、今後も期待して良いのではないでしょうか。

11位の岩田父も重賞2勝を含む8勝を挙げ、手堅く順位をキープしています。故後藤浩輝騎手が自殺したのを境に成績が急降下しましたが、レッツゴードンキとともに地道に騎乗を続けた結果、ここまで回復しました。2016,17年の3着内率は中央移籍後キープしてきた3割を下回りましたが、2018,19年、そして今年と3割超をキープしていますし、まだまだ息子には負けないところを見せて欲しいです。

大混戦のリーディング中位

リーディング11位より下はどこも大混戦です。まず、12位から17位まではわずか2勝差で6人がひしめき合っており、タイミング次第で順位がガラッと入れ替わる状態となっています。12位から14位は16勝で西村、幸、田辺が並び、15位から16位は15勝で団野大成と大野、17位はノリさんですが、目立つのは14位の田辺、15位の団野大成、17位のノリさんでしょうか。

田辺は昨年、キャリアハイにせまる87勝を挙げましたが、3着内率は過去最高の0.351と一流騎手の仲間入りできる数字を記録しました。しかし、今年は一転して0.271まで急降下します。1月3勝の大不振が尾を引きずっていますね。有力馬を着外に飛ばすことは少ないものの、2,3着で勝ちきれないケースは多く、そこを改善できたら順位は上がると思います。

団野大成は関西期待の若手騎手で、村のある西村より信頼できます。勝ち鞍も一日2勝したのは2/9以外はバラバラの日付で勝っており、淡々と3ヶ月も好調をキープしているのは若手としては素晴らしいのではないでしょうか。中山牝馬Sでは重賞初騎乗ながら14番人気を2着に持ってきましたし、人気馬を着外に飛ばす事もほとんどない点も馬券を買う側にはありがたいです。

ノリさんは中山記念をダノンキングリー制して1995年から26年連続で重賞制覇を達成。この人も軽くスゴい人ですからね。近年の乗り鞍の減少で成績も下降していましたが、ここにきて騎乗数には変化はないものの勝率がグッと上がり、3着内率も久々に3割肥えの0.327を記録。息子も活躍に刺激を受けたのでしょうか。まだまだ期待できます。

次にリーディング19位から28位も2勝差で10人が競り合っています。19位から23位は12勝で石橋、藤岡弟、丸山、吉田隼人、横山武の5人、24位から26位に津村、松若、亀田の3人、27,28位は10勝で斎藤新と北村宏となっています。2,3着も僅差なので上と同じく毎週コロコロ変わりそうです。

良い意味で注目したいのが横山武で落馬負傷がありましたが、それ以降はまたコツコツと勝ち星を重ね、特別戦も4勝目を挙げています。そもそもそんなに有力馬に騎乗しているわけじゃないのにこの成績ですから将来への期待は高いです。ドバイ遠征が中止された事は返す返すも残念ですが、4年目の関東若手がドバイ遠征に選ばれた事を評価するべきで、関東期待の若手は文句なく彼でしょう。

逆に悪い意味で注目するのが丸山、斎藤新、北村宏です。昨年71勝を挙げたとは思えない低迷振りの丸山は、田辺と同じく1月2勝の大不振が響いていますね。人気薄で特別戦を2勝するなど随所で見せる部分はありますが、彼の実力からすると非常に物足りない。

斎藤新も関西期待の新人だった昨年と比べると当然かのうように成績が低下しています。もはや関西期待の若手のお約束感すらあり、そういうノリなのかと疑ってしまいますね。ローカル回りでも微妙な成績でしたが中央四場ではさらに苦しい成績となり、3着内率の伸び率は▲0.050でワースト9位では伸び悩むかもしれません。

北村宏は3着内率が0.191と大幅に低下。伸び率は▲0.041でワースト12位とベテランらしからぬ数字で、そろそろ終わりが見え始めた頃でしょうか。もう一花咲かせて欲しいところなんですが。

30位以下はもっと混戦?

実はリーディング30位以下も混戦模様なんですよね。12位から28位までは2勝差10人でしたが、同じ2勝差でも30位から46位までは15人、47位から58位まで12人もいます。しかも、坂井瑠星や池添、吉田豊、フルキチなど2着が異様に多い騎手もいるもんで、一つ勝てば6つ7つも順位を上げられる状況なんですね。さらに三浦皇成、池添、鮫島克、武藤雅などポンポンと勝つ可能性がある輩もいるので、広い目で見るとリーディング20位以下は大混戦と言っても過言ではありません。

30位の鮫島克は小倉大賞典で初重賞制覇し、3月は3勝を重ね計9勝。一月3勝ペースで年間40勝弱といったところでしょうか。3着内率も良くなってきていますし、2,3着の取りこぼしを無くしたいところ。

31位の武藤雅は3月5勝で復調の兆しが見え始めました。ただ、まとめて勝つ傾向があるので、コンスタントに勝ち星を積み重ねられるようにしたい。鮫島克同様に3着内率が向上していますが、2,3着が多い。

33位の坂井瑠星は2月は良くなかったものの、3月は取り戻して3着内率は昨年の水準に回復。しかし、他の記事でも書きましたが、彼はもっとやれると思います。遠征した中山のOP競走を人気馬で勝利できたじゃないですか。彼はやればできるんですから。

38位の池添はここに低迷しているのが不思議と言えば不思議ですし、不思議じゃないと言えば不思議じゃありません。3着内率で見ると0.279とせいぜい少し良い普通の騎手程度であり、年間の3着内率が3割を超えたのも2回しかないのですが、重賞は83勝(内GⅠ25勝)もしています。これは完全にそういう騎手。大舞台に特化した特殊能力持ちなので3着内率は度外視できるんですね。KTMにもそういう馬いるんですよ。-0.1どころか0.5以上もないのに、重賞でバンバン好走する馬とかね。なので、池添に関しては終わったと思わず、重賞に出てきたら押さえるという認識を忘れないようにしましょう。

41位の藤田は落馬負傷の影響で一ヶ月ちょっとの休養した影響でリーディングは前月24位から大幅にダウン。しかも復帰した時には関東リーディングの三浦皇成が先に復帰している状況で厳しいですが、3着内率の伸び率は0.053と全体9位の伸びを見せているので女性特典を生かし平場で稼いで下さい。

他の注目騎手は?

その他の注目といえば昨秋の落馬負傷から復帰した浜中ですが、今開催から復帰して5勝を挙げました。ただ、3着内率は0.213と大きく下がっている点が気になります。彼が3割を切ったのは2010年まで遡らなければならず、ネットで言われているより優秀な騎手である点が伺えます。そんな彼が復帰したばかりとはいえ前年より一割近く下げているのは心配です。ルメールがいないこの2週間で目に見える結果を残して欲しいところですね。

北村友一は昨年のブレイク後、見事な落ちっぷりですね。何か悪いものでも憑いているのでしょうか。1月の未勝利から始まって騎乗停止、京都記念を制覇するも取りこぼしが続き、チューリップ賞では昨年の2歳女王で3着に破れ、翌週の阪急杯で2位入線も3着降着で2度目の騎乗停止でお役御免。レシステンシアの鞍上は剥奪され、短期間に不注意騎乗連発で実効6日の騎乗停止処分ですからね。若手の勢いがありますし、下手すりゃこのまま下位に沈む可能性だってありますから、猛省してやり直す必要があるでしょう。

それから太宰は例年3着内率0.130~0.150あたりをウロウロしているのが、今年は0.202と大幅に上昇しています。伸び率も全体7位であり、リーディング下位ながら馬券検討の際は注意が必要でしょう。

また、我らが野中君は75位まで沈みました。勝てないもんね。惜しいとかそういうレベルではなく、勝ち負けレベルの馬で良いトコ無しなんだからこの結果は当然かと。3月の減量廃止の影響は受けてるように見えませんが、12月の大不振の影響は未だに残っているようです。何度も繰り返しますが、もう一度海外に行った方が良いかもしれません。ただ、世の中の情勢がそれを許さないので、いつでも飛び出せるような準備をしておくだけでも気持ちが違うと思います。

3月デビューの新人はどうだった?

最後に3月にデビューした新人は、4人中3人が既に初勝利を挙げており、残る一人も2着まで来ています。優秀かもしれない新人たちですが、初騎乗初勝利という鮮烈なデビューを飾ったのが泉谷楓馬騎手。しかも同着での達成は史上初というおまけ付きで一躍時の人となりました。その後、5,7,9番人気で勝利を挙げ、合計4勝は年間40勝のペースです。しかも2600mの特別戦での勝利も含まれており、デビュー月で特別戦を勝つなど近年はなかなか見ない逸材です。

他の秋山稔樹(トシキ)、小林脩斗、原優介の3名も、面構えは野球部員のようですがそれなりに結果を出していますし、凋落久しい関東所属なので、始まったばかりですが、しばらく注目していきたいですね。


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