短期免許の外国人騎手成績と制度改革の必要性①
28日にホープフルSがありますが、今週末の有馬記念で今年の競馬は99%終わります。今秋は短期免許で一流どころがわんさか来ましたが、彼らの成績はどの程度だったのか。また、短期免許制度自体は現行のまま変更しなくとも良いものか。その二つを見ていきます。
外国人騎手は圧倒的?
外国人騎手の先陣を切って来日したのは10/5から11/4まで来日したアンドレアシュ・シュタルケ騎手。もう毎年のように来日しているお馴染み騎手ですね。ただ、成績的にはコレといって特出したモノが無く、良くも悪くも普通な数字で、勝率は0.090前後、3着内率は0.250~0.340辺りをウロチョロしています。リーディングで言うと15位くらいですね。
また、外国人騎手にしては珍しく積極的に下位人気の馬にも多く騎乗しており、今年は全体の1/3程度の数を騎乗していますが成績はかなり悪いです。何しろ10番人気で一度2着に入ったくらいで、残りは全部着外ですから、人気薄はスパッと切れます。私が記録を抑えてる2014年以降では多少マシな数字になりますが、基本的には人気馬しか買えないという特徴があります。
次に参戦したのがクリストフ・スミヨン騎手。『もうこんな国こない!』からもう9年も経過したんですね。10/19の菊花賞の週から参戦し、ここまで18-9-14-47で勝率20.5%、3着内率46.6%、単勝回収率124.4%を記録しており、JRA騎手で言うとルメール、川田に次ぐ3番手に位置しています。
勝利数は1,2番人気に偏るものの3,6,7,9番人気でも勝利があり、2着が少なく人気でも平気で着外に飛ばす事を考えると常時勝つ競馬をしているのかなと見受けられます。これは有力馬を抱える馬主にとっては心強い騎手と言えますし、馬券を買うなら頭固定で買えるので買い目が抑えられるメリットがあります。
それから11/16にウィリアム・ビュイック騎手、ライアン・ムーア騎手が来日しています。ビュイック騎手はモンドインテロでステイヤーズSを勝っていますが、ここまで12-5-7-39とまずまずの成績しか残せておりません。ただ数字で見ると、勝率19%、3着内率38.1%と優秀で、今年大活躍の北村友一騎手よりも遥かに上ですし、今開催の開幕週では騎乗機会5連勝を果たすなどゴドルフィンの主戦騎手としての力は見せています。
一方、ムーア騎手はここまで4-12-4-29とかなりの絶不調です。東スポ杯2歳Sと朝日杯の2つの重賞勝利はありますが、それ以外はさっぱりです。過去の来日で勝利数を稼いできた1番人気の馬、というか人気サイドの騎乗が少なくなりましたよね。私が抑えてる2014~2018年の数字では363回中136回(37.4%)が1番人気でしたが、今年は49回中13回(26.5%)と大きく減少しています。これは他の外国人騎手の影響が大きいとは思いますが、ムーアクラスの騎手でも【騎乗馬に恵まれなければ勝てない】という事を如実に表す結果と言えるでしょう。
そして11/19からはオイシン・マーフィー騎手が初春に続き来日しました。もう手が付けられないくらいの無双っぷりとは言いませんが、初春を含めて30-24-25-108とまぁ勝つわ勝つわ…関東の騎手が泣きたくなるくらい勝ちますね。短期免許で30勝超えるのはなかなか居ないんですが、あっさり達成して新進気鋭の実力をまざまざと見せ付ける形となりました。(過去に短期免許で30勝を超えたのは2015年のCデムーロ騎手34勝、2018年のモレイラ騎手76勝などがあります。モレイラ頭おかしいですね。)
中身は1,2番人気での勝利が大多数を占め、4番人気以降は2,3着が多くなる傾向に。ただ、馬券に絡むという意味では4番人気以降の成績はよろしくなく、過剰人気となっているようにも見えます。なお、競馬学校の模擬レースにも参加してくれたように人柄の評判はかなり良いと聞きますので、来年以降はムーアやモレイラを蹴落として短期免許の主役を張る可能性もありますね。ぜひ【関西で】そうなってほしいです。
最後に8年振りの来日で、ジャパンCと翌週のチャンピオンズCの2週間だけ参戦してくれたランフランコ・デットーリ騎手。いやぁ何しに来たの?って感じでしたね。印象が全くありません。6-2-1-12の成績が示すように一流騎手として格好を付けていますが、騎乗馬の質もあってメインでは用無しですし、来日前のゴタゴタや来日中のSNS等を見ていると「バカンスに来たの?」と思った人もいるハズ。『有馬記念に乗りたいね』とリップサービスしてくれたものの、香港後に日本に戻る気はないようですね。ビュイックの代わりにレイデオロ乗ってくれたらレースがガラッと変わりそうですが。果たしてどうか。
あっレーンは有馬記念に乗るんでしたね。レーンも紹介しときましょう。今年の4月末から6月末にこれでもかって無双したダミアン・レーン騎手。2ヶ月で37勝、重賞6勝(内GⅠ2勝)は素晴らしい記録。37-11-18-57が示すように勝率が以上に高く、それに伴って単勝回収率も126.7%と高いです。人気馬ばかり乗る短期免許の外国人は単勝回収率が低いもんなんですがね。
やはり新潟大賞典のメールドグラースが大きかったんでしょうね。その週に3連勝を含む5勝を上げ、翌週からガラリと馬質が向上し、京王杯SC、ヴィクトリアMまで勝てば、外国人大好きの某グループの寵愛を受けるのも納得です。その後、宝塚記念と帝王賞を勝って、さらに豪州のコーフィールドとコックスプレートを日本馬で勝ってくれましたが、安心してはいけません。
ダービーでは断然の1番人気のサートゥルナーリアでポカし、香港では春秋のマイル王のインディチャンプで福○した事は忘れられないでしょう。特に香港の騎乗はねぇ…仕方ない部分があるにせよ批判受ける内容でしたから。残念じゃ済まされません。有馬記念での巻き返しに期待ですね。