モレイラ忖度はほぼ確定、JRAはこれでいいのか?
今週というか先週のニュースなんですが、WASJでモレイラが優勝し、見事に短期免許の取得要件をゲットしました。もうここまで来ると忖度以外の何ものでもないと思う人は多いのではないでしょうか。
■騎乗馬の忖度はあったと強く疑われる
おさらいですが、JRAは今夏に短期免許制度の変更を発表しました。その中の一つに短期免許の取得要件の新設がありまして、「WAJSで5位以上の成績を残した者」が追加されました。これにより母国リーディングやGⅠ勝利数がダメダメでもWAJSで上位に入れば短期免許を取得できることになり、ネット上でもモレイラルール爆誕とか騒がれていましたね。
で、前述のとおり今年のWAJSで優勝したモレイラは、どんなに成績が落ちぶれても短期免許を取得できるようになったわけですが、いやいやそんなんモレイラが5位以内に入れるとは限らんし、優勝したモレイラがスゴいだけちゃうん?という声もあります。特に鈴木君から。
しかし、モレイラは過去に4年連続5位以内という成績を残していますし、今年のWAJSでの騎乗馬の人気と成績は、
第一戦 1番人気2着
第二戦 11番人気8着
第三戦 3番人気5着
第四戦 3番人気1着
で、合計64点でした。3番人気以上の人気馬は4戦で12頭しかいないわけですが、その内3頭、4分の1をモレイラが引き当てたんですね。これは忖度というのではないでしょうか。外国人騎手は6人いるのですが?日本人騎手も含めると14人いるのですか?どんな確率なんでしょうか。
そんな疑問を持って色々と調べてみると、過去にモレイラが参戦したWAJSの外国人騎手の騎乗馬の人気と成績はこんな感じでした。
誰が見ても一目瞭然ですよね。モレイラがWAJSに出場した際、外国人の中で毎回騎乗馬の平均人気が最も高いのです。それが出場した6回全てでですよ。2016年は1頭取り消しがあったものの、それを除く5回の内、4回は平均人気が5番人気を切っており、それに続く外国人騎手の平均人気が6~7番人気であることを考えると、JRAはモレイラが優秀な成績を残せるように忖度していると考えるのはごく自然な流れではないでしょうか。
もちろん、上手いと評判のモレイラが乗るからこそ馬券が売れて人気になった、とも考えられらます。しかし、競馬ファンはシビアです。いくらモレイラが乗っているとはいえ、馬券になりそうにない馬を人気上位になるまで買う事はないでしょう。つまり、有力な馬であれば強く買われ人気になりますが、そうではない馬はたとえモレイラであっても人気が高くなることはないわけで、そうなるとモレイラの人気が高いのは有力な馬をあてがわれているから、と考えられるでしょう。
■モレイラの出場自体も忖度が疑われる
そもそもWAJSにモレイラが何度も選ばれている点も不可解です。モレイラが出場したWAJSの過去大会を見ても分かりますが、モレイラ以外で複数回選ばれているのはC・ウィリアムズだけです。モレイラが出場していない2019年と2022年を含めてもC・ウィリアムズが3回、カリス・ティータンが2回(今年は非選出から代打での参戦)です。同じ期間でモレイラが6回も選出されている点も、何かJRAの忖度や思惑があると思わざるを得ません。
地域ごとに選出しているのであれば、モレイラが所属していた香港からは2017/18シーズンから3シーズン連続でリーディングを獲得しているザカリー・パートンが選出されても良いハズです。2022年もゴールデンシックスティの鞍上だったC・ホーが選出されていますし、選出しない理由は無いでしょう。
それに2018年のモレイラは香港所属でしたがブラジルからの選出となっており、同年は香港からチャドレー・スコフィールドが選出されています。なぜこんな不可解な選出にしたのでしょうか。まさか同年7月にモレイラがJRAの通年免許受験を表明したから、といった理由ではないでしょうね。
こうした不可解な選出も、JRAがモレイラに忖度、あるいは関係者からの要望という名の圧力があったためとも考えられますよね。
■完全忖度でスリーアウト
今回の一連の流れをまとめると、
①モレイラが短期免許の要件を満たせなかった
②モレイラが毎回満たしていたWAJSの5位以上を短期免許要件に新設
③他の外国人騎手より遥かに多く選出されているモレイラを再び選出
④平均人気が外国人騎手の中で最も高くなるようモレイラ騎乗馬を選出??
⑤4戦中3戦で1~3番人気に騎乗し、堂々1位で短期免許要件を満たす
という感じですね。何度も繰り返しますが、これを忖度と言わず何と言うのでしょうか。ここまで露骨なのは、パリ五輪の柔道、混合団体決勝であった代表戦ルーレットと同じですよ。仏国以外の世界各国が疑惑だ不正だと騒ぎ立てた事案と同じレベルのことを、公正競馬を謳うJRAがやっているのだから問題視されて当然です。
確かに、モレイラが短期免許で来日できることは日本競馬にとって有益なことでもありますが、害悪となることでもあります。他国の競馬団体に所属する騎手が日本で騎乗するのだから、主催者はそのバランスをうまくとってやらなければいけません。
それをしないということは、物価の安い国から安くて良い商品を無関税でバンバン輸入するようなものです。そんな事したら国内の事業者はどうなりますか。物価の高いところで事業をしている者は、価格では太刀打ちできず、倒産してしまいますよ。それは公平な戦いとは言えないため、ある程度は関税を掛けて、価格面ではできるだけ公平な戦いにした上で、事業者の経営手腕に結果を委ねるようにしているわけです。それが他国との競争原理ってもんじゃないでしょうかね。
そう考えると、現在の短期免許制度は関税をほとんど掛けていない状態と一緒ですよね。現状、短期免許組が来日すると、多くの場合で騎乗馬が短期免許組に流れます。前述した記事でも書きましたが、契約馬主が吉田一族やその関係者であればその傾向は強く、日本人騎手はベテランから若手まで非情な乗り替わりと揶揄されるように乗鞍を奪われています。これは関税を掛けていても、国内の事業者と公平な競争が行われていない状況と同じでしょう。
こうした場合は、少なくとも関税を上げてバランス調整をするもんですが、JRAは逆に不公平な競争を助長する制度改革を行い、それを忖度によって推進していると強く疑われるわけです。この問題がどれだけ大事か理解できるでしょうか。腕前がどうとかの問題じゃないのですよ。
■疑われることすらあってはならない笑
昔からGⅠで不自然な枠順になるケースは散見されていますし、ネット上でもJRAはそういう事をする組織だという認識がファンの間で広がっていますが、なぜJRAはこうした騎乗馬の決定をどのように行っているのか明らかにできないのでしょうか。公正競馬を謳うのであれば騎乗馬の公開抽選を行うことは必要だと思いますし、それはGⅠでも同じです。
短期免許制度の概要について、内規だからと開示を拒んだ一件を見ても、JRAは都合の悪い部分を隠す組織だと思われかねないのに、今回の一件でそれが事実であることをJRA自ら認めてしまったように思います。立て続けに起こったスマホ事件の際に、疑われることすらあってはならないという従来からの姿勢を貫いてきたJRAが、自ら疑われるようなことをしているのはダブスタとしか言いようがありません。この姿勢を直さなければ、JRAが腐敗した組織に成り下がっていくのは歴史を見れば分かると思います。
ここに書いたことは、当然ですが私の推測に過ぎず、JRAが何かしらの忖度、手心を加えたという確たる証拠はありません。しかし、強い疑いを持たれることは確かです。
私は、できる限り公平な競争ができる競馬、一般的に適切かつ妥当といえる公正競馬を望んでいますし、それが日本競馬、日本競馬文化の発展に繋がると考えていますが、JRAは手間暇を惜しみ、安易に簡単な方法に飛びついて日本競馬の発展を阻害しているようにしか見えないのですよ。それが悲しいのです。非常に悲しいのです。
次の世代に、当たり前の公正競馬、当たり前の日本競馬を繋げていけるよう、少しでも声を上げて行きたいですね。
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