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栗東トレセンの火事で競走馬が犠牲に

8/14の午後5時40分ごろ、栗東トレセンの厩舎で火災が発生しました。関係者の話では、午後5時30分過ぎに保安課にある火災報知器が作動したため、関係者が厩舎に駆け付けると黒煙とともに火が上がっていたとの事です。直ちに消防に連絡し消火活動が始まりましたが、鎮火には約3時間を要するほどの火事だったそうです。

火元とみられるのはコパノリッキーを管理した村山明厩舎で、一部報道では全焼という情報が飛び交っていましたが、JRAの公式発表では半焼との事です。しかし、ネット上に上がっている動画を見る限りは全焼に近いほど燃えていますので、法的、科学的な見地からの発表なのでしょう。

出火の原因についてですが、昨日の今日ですので正確な情報が入ってきていませんが、エアコンの室外機が爆発したとの情報がありますので、過失ではなく事故のようです。厩舎内では、馬房をガスで冷やすエアコンなどもありますので、それが爆発したのであればここまでの火事になってもまったくおかしくありません。

いずれにしろ再建には時間がかかりそうです。なお、近隣の中尾秀正厩舎、高柳大輔厩舎も雨どいが溶けるなどの被害を確認したそうですが、管理馬は避難できたそうですし、貰い火等もなかったようで一安心です。

そして肝心の被害状況ですが、この火事による人的な被害はありませんでした。しかし、残念ながら競走馬4頭が犠牲になりました。死亡したのは以下の通りです。

アオイホープ   (牡2歳)
ケイティレジェンド(牡2歳)
トーアキャンディス(牝2歳)
ミラクルユニバンス(牡7歳)

この4頭はいずれも村山明厩舎の所属馬で、内3頭は個人馬主、1頭はトーアの冠名なので確かオーナーブリーダーじゃなかったかな。重賞馬をバンバン出すような馬主さんではなく、細々と趣味や道楽でやっているような方達でしたが、そうであればなおさら今回の事故はダメージが大きいと思います。本当に心からお悔やみを申し上げます。

なお、同厩舎の看板馬とも言えるコパノキッキングは、佐賀サマーチャンピオンに出走後、今週末の小倉競馬に出走する馬と一緒に帰厩する予定だったため、小倉競馬場に入厩しており難を逃れたそうです。もし、早めに帰厩、もしくは回避等で厩舎にいたら怖かったですね。

競馬施設は火元が少ないものですが、全く無いわけでもなく、過去にもいくつかの火事がありました。古い話では87年の大井競馬、最近では2006年に船橋で9頭が犠牲になった火事がありますが、牧場や外厩では2000年の山元トレセンの火災事故が有名です。22頭が犠牲になり、その中にはマイラーズCや阪神牝馬特別(現・阪神牝馬S)を勝ったエガオヲミセテが含まれていて大きな衝撃を受けました。この火災の原因は漏電と言われており、こちらも何か過失があったというわけではないため、関係者は行き場の無い怒りというか、苦悩は残念という言葉では言い表せません。

なお、その他にも以下のように火事によって犠牲になった馬がいます。

89年 静内の北西牧場      16頭
92年 郡山の川名育成牧場    23頭
95年 門別の門別軽種馬トレセン 16頭
98年 門別の日高大洋牧場    19頭
16年 伊勢崎市の境共同トレセン  1頭

こうした事故を全て防ぐのは難しいですが、火災が起きた時に人馬に被害が無いような方策を関係者にはお願いしたいところです。あと、村山先生は辛いと思いますし、安易に慰めの言葉を掛けても逆に不愉快にさせるかもしれませんが、それでもできる限りの応援をしますので、どうか気を落とさずに頑張って頂けたらと思います。

追記

8/15になってから、村山厩舎に所属するベルエスメラルダが安楽死処分となった事が発表されました。火災事故の際に負った気管熱傷が原因だそうです。気管熱傷とは人間で言えばのどの火傷ですね。ここが火傷で膨らめば息ができなくなるもので、昔、消防士さんが火災の際に注意するべき事象の一つと教えてくれました。馬が自然に負う怪我じゃないので、苦しませないための安楽死という事ですが、残念で仕方ありません。


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