抜け出す若手が見えてきた?ベテランの意図は?
先週末の小倉競馬は、若手とベテランの争いが面白かったですね。馬券を買わないで見てるならですが。そもそもローカル競馬にこれだけ有望な若手が集まっているのは、『勝ち星を量産したい意図』があるからです。この時期、中央四場では出走馬が少なく有力馬どころか騎乗馬を取り合う事になりますから、騎乗馬を集めやすいローカルに集結して勝ち星を稼いで春競馬に繋げようという意図があるのでしょう。
逆にベテランは「京都は頭数が少なく、有力馬に乗れる機会が少ない。大レースではリーディング上位から選ばれるのでリーディング上位につけたい。」(藤岡兄)という意図があるわけです。勝ち星を稼ぎたいという意図は若手と一緒ですが、若手は有力馬じゃなくても騎乗馬を集めたいという意図が含まれている点が違います。その結果はどうなったのでしょうか。
若手騎手の小倉成績
まず、若手騎手の2/16までの小倉競馬の成績は以下の通りです。
※成績上位者のみを記載しています。
横山武史 8- 7- 8-56 勝率0.101、3着内率0.291
団野大成 7-10- 6-60 勝率0.084、3着内率0.277
西村淳也 9- 9- 8-77 勝率0.092、3着内率0.252
斎藤新 6- 4- 3-50 勝率0.095、3着内率0.206
鮫島克駿 5- 4- 5-42 勝率0.089、3着内率0.250
藤田菜七子 5- 6- 6-53 勝率0.071、3着内率0.242
亀田温心 5- 4- 0-53 勝率0.080、3着内率0.145
これを見ると横山武が若手騎手の中では頭一つ抜けているように見えます。少し遅れて団野大成、西村が続き、さらに一馬身差で斎藤新、そこから半馬身差で鮫島克、藤田がいて、2馬身差で亀田といった感じでしょうか。
横山武は毎週のようにコツコツと勝ち星を積み上げており、意図した通りにリーディング上位につけています。勝ち星の多くは中穴以下で、1,2番人気での勝ち星は2つのみ。二桁人気の勝利も2つあります。親父さんとリーディングで並んでいるものの3着内率を見ると圧倒的な差があるんですが、春競馬でチャンスが巡ってきそうな雰囲気はあります。3歳OPにお手馬が居るといいなぁ。
団野大成も、昨年デビューした35期生の1,2位(斎藤新、岩田Jr)を押さえて、横山武に肉薄する成績。全国リーディング14位ですよ。数多居た「2年目に伸びる若手」のようですね。特別戦の勝ち鞍が無いので、まずはそこをクリアして、それから重賞騎乗を目指した方が良いかな。来月以降もローカル回りしても彼なら悪くないかも。個人的には見守っていきたい存在です。
西村は全体の成績は昨年より落としていますが、ローカルに限定すれば若干下がる程度。ただ、勝率が高いのは爆発があったからだし、人気馬での着外も少し多く感じますし、騎乗数が多い割には結果が伴わない悪循環に陥っていないか。中央四場でやれる感じはしないんだけど、春競馬では中央四場に参戦してきそう。
斎藤新も昨年の成績より落としていますが、小倉競馬なら同等かそれ以上の成績です。京都で頑張っていましたが、散々だったのでローカルに回って正解といったところでしょうか。そうなると減量☆だし、中央四場ではまだ厳しいという事になってまたローカルに回るのかな。
鮫島克は昨年、落馬負傷で3ヶ月ほど休み、デビュー以来最低の28勝に終わりましたが、それでも28勝です。それなりに乗れるハズで、騎乗数を考えれば3着内率0.250は立派です。特別戦も3つ勝ってますし、西村や斎藤新より信頼できると思います。
藤田は落馬負傷して戦線離脱ですね。自分のポカみたいですが、しばらく静養して頭も体も冷やせばよろしいのではないでしょうか。というか勝率は低く3着内率が高いのは活躍してるのか、してないのか微妙なラインですね。永年2キロの減量のせいか、55キロ以上で馬券に絡んだのは一度しかありませんし。コパノキッキングは他に任せてください。
亀田は昨年より成績を大きく上げてきましたね。昨年12勝の彼が既に6勝ですし、勝率は倍以上、3着内率は1.5倍近くも上げています。京都でも勝ち鞍があり、小倉でも活躍しているのはプラスです。松若風馬が落ちている状況をうまく立ち回ったら面白いな。
ベテラン騎手は健在だった
小倉組のベテランでは藤岡兄が群を抜いて勝っています。13-6-3-28で勝率0.260、3着内率0.440は『リーディング上位につける』という目的をキッチリ果たし、福永、ミルコ、岩田辺りを抜いてリーディング5位に着けています。藤岡兄の凄いところは小倉13勝中12勝が1,2番人気だという点です。人気馬でキッチリ勝つという事が出来るのが、若手とベテランの違いなのかなと思います。
菱田は9-4-6-39で、勝率0.155、3着内率0.327の成績で、特別戦も4勝しています。これなら9年目ですが、吉田隼人のようにローカルの番人に就任できるかもしれません。1着は人気馬が多いのですが、2,3着は人気薄が多いという特徴があるので、馬券買うなら注目したい点ですね。
吉田隼人は9-8-9-52で、勝率0.115、3着内率0.333の成績、特別戦4勝。ローカルの番人らしく人気馬を集めて馬券に絡められる騎手です。ただ、同じくらい人気馬で着外もあるので馬券的には信用しきれません。そこもローカルの番人らしいんですが。
やはり若手はベテランの壁に跳ね返されてますね。若手トップの横山武でもこの3人より下なんですから。辛うじて団野大成、西村淳也までが意図した通りになったかな?という程度で、それ以外はローカルに拘った意味がどれだけあったのかな、と思います。来月からの中京競馬もそうですが、春の福島、新潟辺りでもローカルに拘るのであれば、中央四場で戦うのは難しいんじゃないでしょうか。
逆に、中央四場でリーディング上位や短期免許に囲まれてバチバチやっている方が将来的にプラスになると思いますよ。ただ、関係者ってリーディング上位と短期免許、それ以外って括りで見る部分が多いので、勝利数に勝るとも劣らないインパクトを残さないと結局厳しいんですが。
それでもローカルより中央四場の方が関係者の目に留まりやすいので、技術を磨いて、夏のローカルで勝ち星を稼ぎ、秋に飛躍するって流れが良いですね。でも、本当は彼らのような有望な若手は、中央四場でリーディング上位や短期免許の外国人と一緒に腕を磨くのが理想です。空きさえあれば短期免許を引っ張ってくる今の日本競馬じゃそれは無理か。