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JRA理事長の功罪は?④

何とか今週中には終わらせたいですね。これでも結構削ったのですが、それを以上に変化が多くて困りますよ。思い返してみれば頭にくる事もたくさんあったのに、時間が経てば諦めてしまう・・良くない事ですが、相手がJRAなら文句を言うだけ無駄という側面が強いですからねぇ。だからこんな所で愚痴をこぼしているのですが。

2018年(平成30年)
1月 騎乗依頼仲介者(エージェント)制度の見直し
4月 スマッピー投票を開始
9月 UMACA投票を開始
11月 JBC3競走を京都競馬場で実施
   ジャパンCでの世界レコードに東京競馬場の馬場問題が顕著に

2019年(平成31年)
1月 一部OP競走をリステッド競走に格付け
1月 若手騎手競走の騎乗資格を見直し、勝利度数を撤廃
3月 女性騎手の減量制度を導入
6月 降級制度を廃止
   降級制度の廃止に伴い、クラス呼称の変更
   飼料添加物への禁止薬物混入が発覚し、156頭が競走除外に
   それに伴い、給与の10%を3ヶ月返上
11月 ジャパンCの外国馬出走0頭を達成

2020年(令和2年)
3月 弥生賞の名称をディープインパクト記念に変更
9月 馬場情報の追加【芝馬場のクッション値】

2018年1月に騎乗依頼仲介者、いわゆるエージェント制度の見直しに着手しました。そもそもエージェントとは『騎手が騎乗依頼を受ける際に、騎手に代わって依頼を受け付ける者』を指し、エージェント1人に対して騎手は3名および若手騎手1名までを担当する事ができます。

エージェント制度が出来た背景は、騎手がエージェントに支払う報酬が高額なのに、エージェントがポッケナイナイして税務処理を放置しているのを国税庁がブチ切れて何とかしろと迫った事が大きな理由です。今の騎手界隈を見ても、よほどの腕、あるいは人脈がある騎手以外はエージェントの手腕が成績に直結しますからね。騎手もそれを理解していて、高額な報酬を支払ってでも良いエージェントに確保するのが至上命題的な部分もあるわけです。

それに対して、分かった分かったって感じて重い腰を上げたJRAは、2006年にエージェント制度を導入したわけですが、しばらく様子を見ていると徐々にエージェントの力が強くなり過ぎてきたのが分かります。武さんの落馬事故の低迷期に入った事も影響し、エージェントの力でリーディング上位が決まるようになりました。主体は騎手であるべきなのに、エージェントが幅を利かせて我が物顔で歩くような真似をするもんだから、それを快く思わなかったJRAはエージェント制度の改正を目指します。

その改正とは兼業エージェントの廃止です。一般的なエージェントはトラックマンを兼業、というかトラックマンがエージェントを兼業しているのですが、担当できる騎手3名+若手1名の枠を兼業エージェントは騎手1名に縮小し、その後、兼業エージェントを廃止にようと画策します。

2017年1月に関東騎手と会合を持ち、その方針を伝えると大ベテランである蛯名正義、横山典弘といったベテランがエージェント契約を解消する動きを見せ、後輩もそれに続いてエージェントの解消、または専業エージェントに乗り換える流れとなるハズでした。ところが、○永を中心とした関西現場の激しい反発に遭い、9月に行われた説明会でも騎手、エージェントからの反発が収まらず、結局、以下のような内容に落ち着きました。

1.エージェントの馬券購入禁止
2.エージェントの業務範囲の変更
3.エージェントの欠格事項の追加

1.は長年指摘され続けてきた八百長対策です。兼業エージェントが勝負できる馬を配置した際に、自社の新聞等でその馬を低く評価させた予想を乗せたら、それだけ他の馬の馬券が売れるわけですから、オッズを操作して馬券を買って大金をせしめる事も可能ですからね。まぁ見つからなければどうとでもできるのですが。

2.はそれまで『騎乗依頼の受付』から『騎手は騎乗依頼の承諾に係る代理行為を行なわせることができる』に変更されました。法律的な物言いなので分かりづらいですが、それまでは『こんな依頼が来ましたよ』とまとめて騎手に伝えるのが仕事だったのですが、『こんな依頼が来たので、この馬に乗って下さい』とエージェントの意思で決められるようになりました。ぶっちゃけエージェントの権力強化ですが、今まで黙認されていた事を明確にしたに過ぎません。

3.は馬主や馬主に雇用されている者はダメよって話ですね。結び付きが強くなりすぎると色々と弊害が出るからでしょう。

これでは目指した形とは程遠い内容ですね。エージェント制度の廃止どころか権力強化に繋がり、さらに契約範囲も3名+1名が維持されるなど、JRAの敗北という形に当時はかなり驚きました。わずか数年前の話なんですが、弥生賞をデプ記念にするぐらいの強硬な姿勢は全く見えませんね。むしろ理事長自らエージェント制を分かりやすく透明な制度に変えますと言うぐらいの姿勢を見せてほしかったです。福○なんぞに反発されて引っ込めるなんてJRAらしくありません。

この問題では、騎手は怠慢ですし、エージェントは傲慢馬主や調教師は怠慢と同時に我慢を強いられています。騎手は面倒な事を丸投げして俺は騎乗に集中したいと言いますが、集中してるハズなのに目を覆うような騎乗をしているじゃないですか。昔と今で騎乗馬集めってそんな違います?依頼を受けて、空きを確認して、依頼を承諾するのがエージェントの業務のハズが、いつの間にやら調教師や馬主へのフォロー騎乗についてのアドバイスなど、本来騎手がやらないといけない範囲まで手を出していますよね。どんだけ過保護なんですか。

エージェントも先述したように、八百長疑惑はもちろん、騎乗馬を握っている=成績は俺達次第だという体で騎手や関係者に対して横柄な態度で接しているのはどうなんですか。ただの記者が競馬界を牛耳ったつもりでしょうか。

調教師も騎手探しが面倒だからってエージェントに丸投げするなんて怠慢も良いとこですし、新人をはじめとした所属騎手を用意しないからいざって時に騎手が見つからないのでは?今までのツケが回ってきたからこの状況なんですよ。そもそも厩舎内の打ち合わせに記者を入れてるのも、公平な報道に寄与する行為だとは思わないのですが。

馬主もシビアになりすぎですよね。馬主と調教師と騎手が程よいバランスで成り立つ事が、競馬界にとって有益なバランスとなりますが、今は馬主とエージェントの力が強すぎて、調教師も騎手も立場が弱いですよね。乗り替わりが当たり前、連続して騎乗する方が珍しい、アクシデントを除いて主戦騎手以外を乗せた事ないなんてレアガチャどころの話ではない、なんて騎手にも調教師にもマイナスでしかないって考えられないのでしょうか。

結局、解決策はJRAが強硬な姿勢で制度を撤廃、もしくは制限するしかないのですよ。個人的には専業エージェントで騎手1名のみにして、JRAが免許ないし許可を与える形にすれば良いと思います。そして騎乗馬の差配、その他騎手の業務を補佐する一切の業務を生業とし、馬券の購入禁止と現状の欠格事項を適用すれば十分でしょう。問題を起こせばJRAが処分し、それを繰り返せば免許ないし許可を取り消せばいい。とっととやって下さい理事長殿。

また、騎手が落馬負傷になった時の問題については、それは契約した騎手に責任を取ってもらえばいいのです。報酬に基本給+歩合給、または落馬負傷時の報酬については○○するという契約を結んでおけば問題ないでしょう。それもできない財力であればそもそもエージェントを付けるなと言いたい。ついでにデビュー後の3年間はエージェント禁止にして、調教師、馬主、その他関係者とのコミュニケーションが取れるようにしないといけませんね。エージェントを通すよりも遥かにマシだと思いますし、若手騎手には将来にわたっての財産になると思います。


エージェント制度が飛びきり長くなってしまいましたが、続いては4月に開始したスマッピー投票ですね。ぶっちゃけ色々試してみたいって感じのサービスで、スマホからアクセスした専用サイト内で購入内容を入力するとQRコードが表示され、それを自動販売機で読み取って購入するというもの。

これいります?それならPAT投票で十分なんじゃ・・と誰もが思うのではないでしょうか。マークミスの軽減やオッズ、取り消し情報などリアルタイムで取得できる事、そしてWINS5や海外馬券を購入できる事がメリットらしいですが、それPATでもでき・・・

あのですね、これってサービス内容が被っているのですよ。それに大金掛けてどれだけのメリットがあります?WINS5や海外馬券を買うほどのコアなファンならPATに入ってるし、そこまでして買いたいものなのかと言えばそうでもないでしょ。WINS5は、ただでさえ当たらない、配当が安い、資金が必要な馬券だし、海外馬券の発売自体がそこまで多くないのだから。

そこに金を使うなら三重勝単式(WINS3)を発売してほしいですよ。これは大昔に発売していた馬券で、WINS5と違い、1レースずつ予想して的中した分を次のレースの馬券と引き換える形で購入する方法です。例えば、

第1Rで10頭×400円(計4000円)を購入して的中
第2Rは第1Rで的中した分だけ購入でき、2頭×500円(計1000円分)で購入
第3Rは第2Rで的中した分だけ購入でき、5頭×100円で購入

って感じですね。ポイントは馬体重やパドック、返し馬などをしっかり確認できるところでしょうか。○○円分的中しました、その分だけ次のレースを買えますという馬券を引き換える形なので、途中で予想を変える事もできますし、3Rなので的中率も上がります。WINS5ではそれらを確認する事ができないですし、途中で変更する事も出来ません。もし、乗り替わりや競走除外があったら展開などが変わるから他を買いたかった!と思った人はたくさんいるのではないでしょうか。

そう考えると、このWINS3は非常に面白い馬券だと思います。この馬券が売り出されていた1951年は午前中のレースに限定して発売していたため売上が伸びず、10年も持たずに中止されたという経緯があります。しかし、今なら午前中でも容易に馬券を買える体制が整っていますし、今流行りのグリーンチャンネル無料放送を午前中だけ継続すれば、大いに売上に貢献してくれると思いますよ。頼んます理事長殿。

閑話休題・・スマッピー投票に続いて10月に導入されたのがUMACA投票です。こちらはスマッピー投票と異なり、キャッシュレスを目的としたサービスですね。使い方はsuicaやnanacoといった電子マネーと同じで、UMACAカードに事前にチャージしておき、それを馬券購入額に充てるという方法です。こちらもWINS5や海外馬券を購入する事が可能です。

これは時代の流れに即した形ですね。大金持って歩かなくても馬券が買えるので、必要な現金は競馬場やウインズで飲み食いする分くらいで済む点が嬉しいです。PATと異なり口座開設も不要ですし、暗証番号と手のひらの静脈を登録するので紛失防止対策もできています。払戻もカードに入るので払戻機に並ぶ手間も省けますね。

ただし、購入時にはレシートが出てくるのみで馬券は出てきません。そのため記念馬券など馬券そのものを欲しい方には利用できません。また、一度入金したお金は購入に対してのみ使用できるため、購入しなかった分を出金する事はできず、購入して的中した分(払戻金)のみが出金できます。その辺は電子マネーと混同しないように気をつけた方が良いでしょう。それから入出金はUMACAの『入出金機』で行いますので、競馬を開催していない平日などに出金する事はできません。

こうしたデメリットを除けば、十分利便性のあるサービスと言えますね。まぁ私はトラディショナルと言いますか、昔気質の人間で、PATを導入する際も散々悩んで導入したくらいですから、利便性だけで利用するのは憚られます。やはり現金を持って競馬場に行き、馬券を握り締めて応援したいですね。まぁPATに慣れると競馬場に行くのが面倒になるお年頃なんですが。


続いて、11月にはJBCの3競走を京都競馬場で実施しました。正直、これは止めて欲しかった。なぜなら、記録厨が揉めるから。だいたい、JRAのレースを潰してまでやる必要あります?既にJRAではJPNⅠは施行していないのだから、JBCはただのOP競走ですよ?

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この通り、当日のJRAのHPには格付けは載っていません。ローカル格付けの地方JPNⅠなんですよJBCは。それなのにJBCスプリントをルメールが勝ったもんだから、ルメール年間GⅠ8勝の新記録だ!なんてアホが出てくるのです。開催場所は中央でも地方重賞なんだから勘違いしちゃいけません。

条件を狭めて無理矢理、新記録ですって言う点は、藤田の新潟【年間】リーディング達成!という報道と同じ匂いを感じますよ。それなら、昨年の東京【年間】リーディングや、一昨年の京都【年間】リーディングは答えられるのでしょうか。

だいたい、地方を含めて良いなら武さんは2005年に中央6勝(ディープ4勝、アドマイヤマックス、エアメサイア、カネヒキリ)、地方5勝(カネヒキリ2勝、タイムパラドックス3勝)の計11勝を挙げていますが?その辺は丸っと無視ですか?評価すべき記録、取って付けた記録は重みが違いますからね。繰り返しになりますが、競馬は伝統と格式が重要で、繰り返されてきた伝統が重みとなって格式に変わるのです。こうした事をやると、中央と地方の区別が曖昧になりますし、伝統と格式の面から見ても好ましくないと思いますね。二度とやらないで下さい。

最後に、ジャパンCで出された世界レコードで、東京競馬場の馬場問題が顕著になりました。今まで散々『馬場造園課やってくれたな』という声を聞いていながら、なぜここまでするのでしょうか。確かに『クッションが利いて走りやすい馬場』ではあるのでしょう。単純な故障率は下がっているのかもしれません。

しかし、その反面『1レース毎の負担』は大きくなっていますし、外国馬は校庭と陸上トラックほど違う馬場を敬遠して来日しませんし、何より日本競馬が目指していた海外競馬の頂からは遠ざかるばかりです。このレコードを見た時に『アーモンドアイすげぇ!!』というのは狭い範囲でしかモノを見れない人のような気さえしますね。それくらい、困惑する出来事でした。

今年の年頭インタビューで理事長が『馬場は世界各国で違う。ジャパンCに外国馬が来ない理由をそこに求めるのは違う』という発言をしましたが、それが本心だとは思えないのですよ私は。何か他の事象から目を逸らせたいがためにこうした発言をしているように思えてならないのです。

例えば、東京競馬場の馬場は世界一の馬場にした。だが、それを理由に外国馬が来ないのであれば、いくら世界一の馬場があっても宝の持ち腐れだし、強硬なファンや関係者から馬場を直せと突き上げを食らう。それを避けるために『馬場ではなく、賞金とか検疫とか他にも問題はあるのだ』と言って、馬場問題から目を背けさせる・・といった感じでね。

2/4付の『違う、そうじゃない 』
https://note.com/boost_quinty/n/n55e617527fad

にも書きましたが、まるで政治家のパフォーマンスのように見えるのですよ私には。こうやっておけば仕事したって見えるでしょ?的なね。本当は手土産持って海外の有名馬主や調教師に片っ端から本音を聞きにいけばいいのです。そうした関係者は口を揃えて『賞金が少ない』とでも言うと思います?そう考えたら、わずか4年間で3回も褒賞金を上げる事がパフォーマンスに見えるのも仕方ないのでは?

もう東京競馬場は日本一の競馬場とは言えないと思いますよ。高速化する馬場だけではなく、極端に内枠が有利な馬場でもありますからね。それなのに東京開催を増加させ、特徴のある競馬場の開催を減らすってんだから、何を考えているのか分かりませんよ。だったら中央四場だけで競馬やったらいいじゃないですか。巨人と阪神だけでプロ野球やるようなもんですが、それを望んでいるのでしょう?

一昔前が良かったと言うつもりはありませんが、昔と比べて今が良くなったとは決して思いませんし、思えません。同じ問題を先送りにしている現状に理事長として何が打開策を提示しなければいけないのでは?

⑤に続く

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