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永野猛蔵騎手、引退の衝撃とその余波

JRAから13日付で猛蔵の引退を正式に発表しました。これはちょっと衝撃でしたね。

なんでもスマホ不正使用以外に、骨折休業中に親族に対して予想行為を行っていたことが発覚したそうで、同日に行われた第1回の裁定委員会で2024年10月8日~2025年10月7日まで12ヵ月間の騎乗停止処分が決定しましたが、それを受けて本人が騎手免許の取り消しを届け出たため引退となったそうです。

12ヶ月間の騎乗停止については、自身が騎乗していた馬や所属厩舎の馬ではないものの予想行為をしていたという点が大きく響いたため、妥当と言えば妥当だと思いますが、これで引退とは非常に勿体ない気がします。

彼の競馬に対する姿勢は関係者から評価されていましたし、今年はキャリアハイ間違いなしの成績だっただけに将来有望な若手騎手の一人だったのは間違いありません。まだ22歳ですし、やり直すことは十分できると思いますが、JRA美浦トレセンの赤井誠公正室長曰く「以前から永野騎手から引退の意向を伝えられており、処分決定を通知したところ、正式に取消申請があった」とのことですから、本人がそれを望まなかったということになります。正直、意外ですね。

予想行為だって親族相手のことですから、

親族「猛蔵、どれが来ると思う?」
猛蔵「う~ん・これちゃう?」
親族「ほな、それ買うてみるわ」

という内容なら、ゴメンちゃいすりゃいい話だと思うんですよね。というか親族が頑張っている本人の足引っ張ってどうするよって話ですし。赤井公正室長も「自身の騎乗馬ジャッジなど通常の取材対応に関する範囲ではなく、馬券予想行為であり、競馬法に抵触するものではなかったが、遵守事項には抵触した、と判断した」とのことですし、ガチの大事になる一歩手前だったわけで、猛省すれば済む話だったと思うのですが。

まぁ藤田もそうですが、年取ってるせいなのか最近の若者って打たれ弱いのかなと思ってしまいます。SNS全盛の時代ですし、ネット上にはデジタルタゥーがいくらでも残りますし、こうした仕事をする以上、賞賛も非難も受け止める覚悟が必要だと思いますが、賞賛は享受するものの、非難は認めず拒否する姿勢になってませんかねぇ。

とにかく来年以降の推しになりそうな騎手だっただけに、この引退劇は衝撃的でしたね。非常に残念で仕方ありません。


また、猛蔵の件は本人だけではなく、他の騎手にも波紋を広げています。13日付のJRAの発表によると、横山琉人(りゅうと)騎手と佐々木大輔騎手にも騎乗停止処分が科されています。

前者は2024年3月16日(土)および2024年5月25日(土)に、猛蔵に通信していた事実が判明したためだそうです。同日は、横山琉は調整ルームに入室義務期間外(騎乗なし、または同節の騎乗終了後)でしたが、まだ入室義務期間中である猛蔵と通信するのはアウトなわけで、それが引っ掛かりました。

後者は2024年5月4日(土)および2024年5月17日(金)に、調整ルームに入室義務期間中の小林勝が他者と通信する場に同席し、小林勝の通信行為に間接的に関わっていた事実が判明したためだそうです。発表文を見ると、佐々木自身はスマホの不正使用はしていないものの、目線が捉えられた写真が送信されており、公正室は会話の流れから「会話に無関係とするには無理がある」と判断したとのこと。佐々木は「覚えていない」「スマホを手にしていることは本人に注意した」と証言していると言いますが、その場でそれを見ていて止めるなり、JRAに報告することなりをしていなければ関わっていたと推測でき、小林勝と同罪だよねってことでアウト判定なんでしょう。

両者は2024年11月14日から2024年12月13日まで30日間の騎乗停止処分となりました。裁定委員会送りだったら、かなりの大事でしたが、30日間で、お目こぼしを貰った感があります。

ただ、猛蔵のチョンボが発覚→その調査で小林勝と横山琉も不正使用が発覚→小林勝の調査で佐々木も関係したことが発覚、という流れですから、まさに芋づる式ですよね。もう乾いた笑いすら出てきません。武豊は激おこぷんぷん丸どころじゃないでしょう。特に佐々木はリーディング上位に名を連ね、今年初重賞を含む重賞3勝を挙げる、期待の3年目ですよ?信頼の失墜で済みますかねぇ。関西若手の3年目のジンクスは良く聞きますが、関東の若手でこれは残念というか、何やってんだよと𠮟責されて当然です。それだけ期待が高い騎手なんですよ彼は。

まぁやっちまったもんは仕方ないですが、日本競馬は競馬法に守られた公正競馬を旨とする組織なので、疑惑を持たれることすらあってはいかんのですよ。その点をよく考えて、猛省してほしいですね。


結局、10月頭の騎乗停止からひと月以上も間が空きましたが、その間はずっと調査を行っていたわけで、猛蔵、小林勝以外にも違反者が出てきた点が調査を長引かせる一因になったのでしょう。

説明会において「今後他の騎手が新たに処分が追加される騎手はいないのか、うわさレベルだが他の騎手も関与しているのでは」という質問に対し、JRAは「何人か対象の騎手はおりましたが、こちらで処分するような事実確認はできなかった。少しでも疑わしい履歴があれば徹底的に調査するが、入室義務期間中に電話の通話記録やLINEの履歴の部分を本人の承諾を得て確認したところ、事実確認が一切されなかった」、「現時点ではJRAができる調査は全て終了したと認識している」として、ひとまず調査は終了を発表しました。

その一方で、「農水省の競馬監督課からは強い指導を頂いているため、その方向に向かわざるを得ない」とコメントしているように、お上から問題視されている状況から、安心できる状況ではないとも言えます。

私個人は、責任感の無さがこうした事態を生んでいると思うんですよねぇ。短期免許制度やエージェント制と絡めて申し訳ないのですが、これだけ頑張っても上位騎手や短期免許組に乗り馬を奪われてしまうのであれば、そこそこの努力でいいやとなってもおかしくないですし、それは騎手としての責任感を育む要因とは正反対のことです。何か一頭、重要な競走馬とコンビを組めたら、その馬と歩むためにアホなことはしないと思うのですよ。例えば、横山和がタイホとコンビを組んでいるのに、そもそも競馬に乗れなくなるような事しでかすとは思えませんからね。

まぁJRAは一刻も早くこうした状況の原因を突き止め、それに対処していくことが求められますし、プロパー理事長でそれができないのであれば、再びお上から天下りで直接指導監督をしてもらわにゃいけません。分かってますJRAさん?


それからやっと裁定委員会が開催され、8月頭に飲酒運転で検挙された松若風馬の処分が決まりました。こちらは彼らのとばっちりで裁定委員会開催が延びたような感じですね。まだ第2回が残っていますが、松若は弁明することはないでしょうから、そのまま処分を受け入れると思います。予想では4ヶ月間の騎乗停止となるかな。3ヵ月ならもう騎乗停止明けてなきゃおかしいですし、情状酌量もないわけじゃありませんからね。


なんにせよ、今年は騎手界隈も日本競馬界もスキャンダルだらけです。ガチでお祓いした方が良いのではないでしょうか。JRAも騎手会も調教師会もね。


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