騎手の成績 2019年

今年の中央競馬も全日程が終了し、各リーディングが確定しています。毎月末に行っている騎手の成績は、今回2019年度分となっており、一年の結果を分析し、来年に繋げるためにもしっかりと見て行きましょう。

毎度のように申し上げておきますが、私は馬券に絡む騎手を探す事を目的としているため、騎手の成績で最も重要視するのは3着内率です。これが高ければ高いほど馬券に絡む確率は高く、低ければてんで馬券にならない事を意味します。数字的には、0.400を超えたら超一流(例えるならGⅠ級)、0.300~0.350で一流(重賞級)、0.250~0.300で平均(オープンクラス)と考えており、それ以下は並~及第点の騎手と勝手に判断しています。

リーディング上位はどうなった?

さて、今年のリーディングは春から好位追走で秋に抜け出しを図ったルメールが164勝でトップ、2位は9月までトップを守ったものの秋競馬の不振が響いた152勝の川田、3位はエージェントが変わって2015年以来4年ぶりに100勝を超えた111勝の武さん、4位は何だかんだで今年GⅠ3勝の福永、5位はJBCまでの10ヶ月で104勝を上げた戸崎となりました。この5人は3着内率が0.400を超えており、外国人騎手に負けず劣らずの優秀さと言えます。

特に川田はGⅠ戦線でも持ってない感が満載でしたが、前年比の3着内率の上昇率では0.472⇒0.562と0.090増で全体2位を記録しており、数字としてはかなりスゴい。武さんもここ数年は0.350前後をウロウロしていたのが、一昨年の2017年から0.382⇒0.390⇒0.407と着実に回復しており、全盛期とはいかないものの一時の不調からは完全に脱却したとみて良いでしょう。

20位までの注目騎手は?

続いて6~20位を見てみると、まず注目したのが三浦皇成。2008年デビュー年の91勝を超える102勝を記録し初の大台突破。3着内率も0.315と一流クラスの仲間入りを果たします。ただね、重賞勝ち鞍が中山牝馬Sのみってのは残念過ぎる。さらに戸崎が落馬しなかったらキャリアハイも無かったんじゃね?と思う部分も無きにしろあらずで印象がね…有望な若手が出てきた関東で、重賞勝ちの期待が持てない騎手がいつまで上位に居座っていられるか…来年が楽しみです。

三浦より期待できるのが田辺裕信。数字的には4年連続で3着内率0.300を超え、今年は0.351と上位10番入りしており重賞も及第点の4勝。個人的には三浦との立ち位置は逆だと思うんですが。それから今年大活躍の北村友一は2016年の0.230から0.307⇒0.325⇒0.366と一気に伸ばしてGⅠ3勝でフィニッシュ。ノーザン系に可愛がられるとこうなるって良い例ですね。もう少し勝ち星が伸びるといいんですが。2年目の西村淳也は昨年13勝から大きく勝ち星を伸ばして55勝の19位。前年比の3着内率の上昇率でも0.117増と川田を抑えて全体1位を記録。楽しみな存在ではありますが、素行が良くないとの噂も大きくなっており、8月のフリー転身、直後に1ヶ月の海外武者修行と話題に事欠かない印象があります。関西若手の3年目が重要とは良く聞きますが、果たして生き残れるか。

そして、触れなきゃいけないのがミルコ…もうホントに触れたくないけど触れないわけにはイカン。今年は前年153勝から大きく減らして91勝でリーディング8位。昨年15勝だった重賞勝ち鞍は3勝に激減。先日はエージェントを外した事も判明し、凋落激しいミルコ。もう見てられないよ。エージェント絡みで勝ち星を落とすのは珍しくないけど、かつての岩田を超える激減は某馬主に逆らった見せしめ+自分本位な性格が理由なのか。関東移籍を画策するもなかなか進展せず、有馬記念で鞍上を失ったレイデオロに最後まで見向きもされなかったという情報もあり、関東関西のドコに行っても厄介者扱い。

ただ、ミルコ終わったと思うのは早計じゃないかと。3着内率0.415はリーディング上位5人以外で唯一0.400を超えていますし、三浦、松山辺りと比べても信頼はできます。馬券の買い方を間違えなければね。重賞だと馬質に恵まれませんが、文句言わずコツコツやれるならまだまだ戸崎クラス。心機一転できるならと条件付きで期待したいですね。

21位以下には注目株が多い?

リーディング2ページ目、21位以下には注目株がゴロゴロ居ます。これらの騎手が明日の日本競馬を支える騎手になってくれるといいんですが。

まずは今年通算100勝を達成した3年目の横山武史。典さんの有形無形のバックアップがあるのかないのか定かではありませんが、後1勝でリーディング20位以内と躍進したのは素直に褒めたい。3着内率も0.148⇒0.184⇒0.227と順調に伸ばしていますし、悪さしなければ関東期待の若手騎手となれるでしょう。

武藤雅、坂井瑠星も通算100勝を挙げました。同じ週で3人が通算100勝を達成するのは珍しいですね。武藤は7月にベルモントオークス招待で鞍上を任される有望株の一人。勝ち鞍の多くは未勝利戦で、特別戦の勝ち鞍は3勝と少なく、3着内率0.175も微妙なライン。ただ、横山武のように同期のライバルが同じ関東にいるので、切磋琢磨できる環境は見逃せない。来年以降も伸びる可能性は多いにある。

坂井は個人的に注目している騎手で、何回か記事も書きました。今年は初重賞を含む重賞3勝を挙げましたが、肝心の勝ち星が伸びず、3着内率も0.211と前年比の下降率は1位のミルコ▲0.137に続く▲0.056でワースト2位。昨年は海外遠征中で騎乗数が少ない点を考慮しても満足な数字ではない。師匠に恵まれているんだし、もっと成績を残せるハズと期待しています。

藤田菜七子は女性特典を最大限活用して平場で勝ち星を量産。コパさんの寵愛を受け、コパノキッキングとのコンビでカペラSを勝ち、JRA女性騎手として初の重賞制覇を達成。マスコミ曰く【地方込み】の数字では通算100勝を達成しているそうです。はぁ?ですが。普通に評価される事がない彼女には哀れみさえ覚えます。男女関係なく、4年目の関東若手にしてはしっかりと成績を残している点を評価しましょうよ。ただ、それと同時に問題点も指摘する事を忘れちゃイカン。例えばコパノキッキングでの連敗。いやっガチで他の騎手なら勝っていたレースばかりだと思うし、あのクラスの馬に乗って地方重賞でポロポロ負けるのは評価できません。また、3着内率も0.176と決して良い数字ではありませんし、特別戦の勝ち鞍もこの位置にしては少ない。永年2キロ減を生かして平場専用に落ちるか、一皮剥けて特別戦でも信用できる騎手になるか。

また、斎藤新、岩田望来、菅原明良の新人3名が意外にもここに顔を出しています。3人とも競馬関係者の子息、親戚という事で乗り鞍も揃えられたにせよ、一年目にしては上出来の結果に。ただ、これよりスゴい成績残して泣かず飛ばすの騎手は山ほどいるので、来年以降も謙虚に精進してほしいところ。

それから今年のダービージョッキーの浜中俊。京阪杯でファンタジストから落馬し絶賛療養中ですが、リーディングは低いものの、3着内率は何だかんだ言って9年連続で0.300超えを記録しています。これは三浦、松山、田辺、北村、丸山、岩田などの上位騎手でも記録していない数字で、言い換えれば隠れたスゴ腕騎手くらいの認識でも構わないくらいなんですよね。「もういいでしょう」発言以来、ネット上でも色々と言われていますが、彼を騎手へと導いてくれた祖父が亡くなった直後である点は何度も繰り返して恐縮ですが考慮して頂きたい。復帰は来春になるとの事ですが、来年も期待したい騎手の一人です。

我らが野中君は…

野中君は残念ながら2ページ目を死守できず、43位まで落ちてしまいました。12月の大不振が響きましたね。良い点は前年比の3着内率の上昇率が0.071で全体4位(3位はなぜか丹内の0.077)であり、アイルランドでの武者修行を終え、初めてフルシーズンの参戦にしてはまぁまぁの上昇率。騎乗数は724鞍で関東6番手、全国11番手と多く、特別戦も4勝できたし、人気薄、二桁人気をバンバン馬券に持ってくる点は多いに評価できます。

ただ、騎乗数が多いせいか3着内率は0.138と低い水準ですし、二桁人気を持ってくるケースが目立ちますが2着止まりが多く、勝ち星が伸びません。これは騎乗数が多い上に、二桁人気が半数を占める現状では仕方ないんですが、もうちょっと何とかならんかと。今年はレーン、マーフィーの襲来が痛かった部分もあるけど、同厩の後輩藤田に負けないように頑張ってほしいなぁ。あと、人気薄でも見せ場無く敗れるケースは減らしてほしい。関係者の印象に残るような騎乗をすれば馬質の向上に繋がるからね。まぁローカルに参戦すればもっと勝ち星を積めるだろうけど…本人にその気は無さそうで…インフルで逃した初GⅠ騎乗を早く見たいよ。

来年は再び海外武者修行を考えていると話してましたが、どうなるんだろう。行くならまたアイルランドかな。バリードイルの調教手伝える日本人騎手なんてそうそう居ないから、今の内に行っておくのが良いかもしれん。春先から秋まで1シーズン居てもいいし。大きくなって帰ってきてほしいわ。行かないなら行かないで、もっと成績を上げれるように貪欲になってほしいね。


さて、ここまで長々と書いてきましたが、こんなに書けるのは競馬が無い年末年始くらい。それだけに来年に向けた分析も時間を掛けたい所だが、もう来週日曜には正月競馬が…orz もう28日開催止めてほしいよ。無理くり2歳GⅠ作ってもさ…シーズンオフがない日本競馬なんだから、正月くらい休ませてくれって。



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