見出し画像

騎手の成績 2022年12月

クソホープフルSのせいで、年末に情報が更新されないんですよね。特に騎手の成績シリーズでお世話になるnet競馬は年末に更新されません。そりゃそうですよ12/28の夕方まで競馬やってるんですから。一般的には12/28で仕事納めですからね。JRAは12/29に更新完了、次回更新は1/3と公表しておきながら1/1に騎手の成績がクリアしていますし、面倒だなぁと思いながらコレを書いています。

長かった2022年騎手の成績シリーズも終わりを迎えましたが、最終的にはどうなったのでしょうか。


川田19年目で念願のリーディング

1位川田 9-11-2-22    勝率0.204 3着内率0.500 
  年間 143-101-77-231 勝率0.259 3着内率0.582 重賞8勝

川田は念願のリーディング獲得となりました。長かったですねぇ。2019年から2021年の3年間ずっと2位で上にルメールが居ましたが、後述するとおり今年のルメールは大不振でしたから、逆に考えればここで獲れなかったら今後ルメールが引退するまでリーディングは無理だったでしょうし、騎手大賞だって夢のまた夢だったでしょう。

一方、勝率、連対率、3着内率、重賞勝利数はいずれも下げており、川田帝国の終焉があってもおかしくはありません。特に重賞は8-12-11-34なのでもうちょっと勝ちたかったですね。

川田は海外遠征する事はほとんどなく、国内で淡々と騎乗をし続けてくれるので関係者からすれば使い勝手がいいでしょうし、典型的なJRA騎手という感じがします。それは悪いことではありませんが、昨今の若手は坂井瑠星をはじめとしてドンドン海外へ出て腕を磨き、新しいモノを吸収しています。そうした若手と馬質がマッチしたら川田は一気に古い人間になってしまうかもしれませんし、そうなったら心配ですよね。性格的にリーディング20位程度でしがみついていたくないでしょうし、40前半でスパッと辞める可能性もあります。リーディングを獲った今こそ、新しい川田を見せれるか。注目です。


2位戸崎 14-8-7-42   勝率0.197 3着内率0.408
  年間 136-111-80-486 勝率0.167 3着内率0.402 重賞2勝

2014~16年のリーディングジョッキーが大怪我を乗り越えて、ついに復活しました。キャリアハイとはいかないものの、ここ数年に比べたら各数字は良くなっており、2勝だった重賞勝利数が回復すれば完全復活といったところでしょうか。ミッキーカプチーノでホープフルSを勝てればまた違ったんでしょうがね。

ただ戸崎は、躍進してきた若手に歯止めを掛ける存在として非常に価値がある存在だと思います。関東の若きリーディングジョッキー横山武の鼻をへし折ったわけですし、菅原に至ってはダブルスコアに近い数字を付けたわけですから、まだまだ番人として頑張ってほしいです。


3位横山武  6-6-6-43    勝率0.098 3着内率0.295 
  年間  127-100-92-453 勝率0.165 3着内率0.413 重賞3勝

デビュー後、6年連続でキャリアハイを更新する大躍進を見せたものの、それをもって一流ジョッキーの仲間入りかと言えばそうでもない・・・そんな微妙な評価に終わってしまった2022年でしたね。

その原因の一つが重賞の不振です。年初から惜しい競馬は続くものの勝ち切る事が出来ず、上半期は1-1-7-21(内人気馬の成績1-1-4-8)と良いところがありません。下半期は2-3-4-18(内人気馬の成績0-2-1-6)と少しは巻き返したものの、人気馬ではことごとく期待を裏切っており、4番人気以降の2番手グループの3着が多かったですね。こうして知らず知らずのうちにリズムを崩したのが結果に響いたといった印象を受けます。

そしてもう一つの原因は短期免許組の来日です。それまで毎月10勝前後でしたが、短期免許組が来日した10月末以降、19節で17勝です。明らかに少なくなったのが分かりますよね。そりゃ相手がCデムーロやマーカンド、レーンにイーガンが切れ目なく襲い掛かってきたら数字を下げて当然です。もし、彼らが来日しなかったらあと10~15勝は上積みできたでしょうし、もう一つ二つくらい重賞を勝てたかもしれません。

2022年はシャーガーCで初の海外遠征を経験しましたし、この悔しさを糧に今年の飛躍に繋げてほしいところです。


4位松山 15-10-10-44   勝率0.189 3着内率0.443
  年間 118-76-71-518  勝率0.151 3着内率0.338 重賞9勝

今年は活躍が目立った松山、3月に頭部を負傷してひと月ほど休養しましたが、それ以外の月では安定してほぼ二桁勝利を挙げました。横山武との差はそのひと月分でしょう。これで3年連続年間100勝を達成し、重賞は3年間で24勝を挙げました。また、今年の重賞勝ち星トップであるという点、そして全て違う馬であるという点は非常に評価できます。

これだけ見ると十分一流騎手と言える成績ですね。ただ、連対率や3着内率は低すぎます。近年は勝率、連対率、3着内率の数字が高くなっており、特に3着内率は馬券に絡むかどうかという競馬ファンが注目する数字であるため、一流騎手であればここは最低0.400は欲しいところです。かつての岩田父のように数乗って勝利数を稼ぐのは若手に任せて、質を求めてもらいたいですね。


5位ルメール 8-7-7-30   勝率0.153 3着内率0.423 
  年間   109-88-74-296 勝率0.192 3着内率0.478 重賞5勝

5年連続リーディングのルメールでしたが、今年は海外遠征が非常に多く、しかも一年を通して調子が悪かった上に、はやり病関係の隔離や騎乗自粛があり、さらに秋に短期免許組が大挙して押し寄せてきた影響をモロに受けてしまいました。

しかし考えてみれば、昨年の12月期の記事で『総合成績でも昨年から全ての数字が悪化したのはルメール帝国の終焉の始まりかもしれない』と書いた通りの結果となったとも言えますね。ルメール自身のモチベーションの問題もありますし、今年はもう44歳になりますし、そろそろセカンドキャリアを考えてもいいのかもしれません。そうは言ってもまだまだ某大手馬主グループはルメールを必要としていますし、わずか5勝に終わった重賞も内3勝がGⅠで全て八大競走なんで、決して衰えたわけではありません。

まぁ2023年は注目しなきゃダメですね。突然引退とか言い出しそうですし。


6位岩田Jr 8-17-8-39   勝率0.111 3着内率0.458
  年間  103-83-75-525  勝率0.131 3着内率0.332 重賞2勝

2021年終了時点で合計201勝していて、2022年は前年より15勝増加させたキャリアハイの103勝を記録し、重賞も初重賞を含む2勝を挙げた・・普通に考えれば成長したと思えます。

しかし、前年110回も記録した2着が27回も減っており、3着も102回から75回に減っており、合計で54回も減ったのに勝利数は15勝しか増えていないのです。騎乗数が100回以上少なくなった分、勝率は上がりましたが、3着内率はちょい下げとなっていますし、成績が向上したと言うのは躊躇う内容です。

これをどう見たらいいのでしょうか。12月期も17回の2着を記録していますが、内15回は人気馬で記録しており、勝った重賞も5番人気、8番人気とプレッシャーの少ない立場で記録したものですから、前年の記事でも述べたように勝負弱いなという印象を受けます。この弱さでは福永の跡目は継げないでしょう。

騎乗数を100も減らしたのは個人的に良かったと思いますし、今年はもっと減らして坂井瑠星とか鮫島克とかに割り振ってほしいですね。


7位福永 7-7-6-38    勝率0.120 3着内率0.344
  年間 101-72-82-355 勝率0.166 3着内率0.418 重賞3勝

調教師転向を発表した福永の年度評価もこれで最後ですねぇ。13年連続100勝は大したもんですよ。しかもラストは調教師試験を受験しながらの達成ですし、いくら私でも評価せざるを得ません。2021年にも一部でキャリアハイを更新するなど衰えたわけではないので引退は残念で・・・はありません。もう言っちゃ悪いですけど早く引退して欲しかったです笑 それはなぜか?単に嫌いだからです笑 

だって仕方ないじゃないですか。彼の言動のほとんどが嫌いなんですもん。馬券的にも相性最悪ですし、それが長年続くんですよ?これで応援しろって方が無理です。

ただ、寂しいという気持ちはあります。こうして貶すことができなくなるのは心にポッカリ穴が開いたような気持になりますね。詰まるところ私は福永を求めているってことなのでしょうか?なんだかんだ言って福永が好きなのでしょうか?・・・・引退お疲れ様でした!!!!


78位坂井瑠星 12-9-5-53    勝率0.151 3着内率0.329
   年間   98-88-68-524  勝率0.126 3着内率0.326 重賞4勝

10月期の大躍進から11月期に半減を経て、12月期はどうなるかと思いきや、2つ目のGⅠを含む12勝を挙げて巻き返したのは立派です。惜しくも年間100勝には届きませんでしたが、年間6度の海外遠征で国内の騎乗日は全107日中96日と一割も少ない点を考慮すれば達成したも同然ですね。

勝利数、勝率、連対率、3着内率、重賞勝利数、GⅠ勝利数という主要項目の全てでキャリアハイを更新する結果は、このレベルの若手からすれば文句の付けようがありません。福永亡き後に関西騎手界でトップを争うのは岩田Jrではなく坂井瑠星で間違いないでしょう。

ただ、まだまだ甘いところはありますし、慢心せずに精進してほしいと
思います。できれば私の馬券との相性が良くなって欲しいです笑 松山とは連対率も3着内率もどっこいどっこいですし、今年は奴を引きずり下ろして川田への挑戦状を奪取してほしいですね。


9位吉田隼人 5-5-7-49  勝率0.075 3着内率0.257
  年間   83-60-57-499 勝率0.119 3着内率0.286 重賞3勝

ローカルの帝王はだいぶローカルの騎乗数が減ってきましたね。勝利数も中央四場では40勝、ローカルでは43勝ですし、北海道の20勝を除けばローカル(第三場)に回る事はホントに少なくなり、本場の吉田隼人になったようです。

ただ、そうなると勝率や3着内率は低いんですよね。このレベルに居るなら0.300~0.350くらいは欲しいのですが、それ以下ならわざわざ吉田隼人に依頼する理由が乏しくなりませんかね。大御所が引退し、活きの良い若手が居ますのでポタジェの大阪杯のように存在感を示す騎乗を見せないと先細りになりそうです。


10位鮫島克 6-6-8-58   勝率0.076 3着内率0.256
   年間  81-73-80-650 勝率0.090 3着内率0.274 重賞4勝

今年は年初こそ出遅れたものの、春競馬から徐々に巻き返し、秋競馬では3ヵ月連続でTOP10入りし、最終的に坂井瑠星と同様に、勝利数、勝率、連対率、3着内率、重賞勝利数でキャリアハイを更新する大躍進を遂げました。2020年にカデナで初重賞を取って以降、野中くんの同期として注目していましたが、ドンドン花開いていきますね。

重賞成績を見ると、人気と着順がほぼ一致していますので、それなりの馬に乗せたらそれなりの結果を出せる騎手だということは分かりました。次はそれなりの馬に騎乗できるようにする事が大切です。坂井瑠星と違い、勝率や3着内率は低すぎですし、もう一皮剥けてくれれば次世代を任せられる騎手になるんですが。



11位以下の注目騎手

11位以下の注目騎手を抜粋したいところですが、なかなか面倒なので簡単にまとめます。

11位武豊
なかなか成績が安定しません。年齢的なものがあるのでしょうか。近年0.400前後だった3着内率は0.368まで下降しましたし、重賞勝利数も減少が続いています。やはりコレという馬になかなか乗れないのと難しいですよね。重賞で人気馬に騎乗で来たのは64鞍中16鞍で、馬券に絡めたのは6回、内3勝なので物足りない数字です。短期免許組の影響もあったでしょうし、来年こそはホープフルSを獲って中央地方GⅠ完全制覇を見たいところです。

12位横山和
タイトルホルダーと歩んだ一年でしたが、上半期で重賞5勝は立派だと思いますし、勝率はタイ、連対率、3着内率、重賞勝利数、GⅠ勝利数でキャリアハイを更新しました。凱旋門賞は悔しい結果となりましたが、良い経験になったと思います。今年のタイトルホルダーは国内専念とのことですし、次に繋がるように力を溜めて欲しいですね。

13位ミルコ
ぶっちゃけ、みんなミルコ舐めすぎだと思うんですよね。確かに色々あって一気に成績を下げましたし、今年もTOP10に入れませんでしたが、3着内率では6位なんですよ?それだけ馬券に絡んでいるわけですし、同じ勝利数の菅原と比べたら雲泥の差ですし、すぐ上の横山和と比べても十分上回っています。決して下手になったわけではありません。関東に移ったために期待できないとはいえ、馬質が改善すればTOP10どころかTOP5以上を狙えると思うので頑張ってほしいです。

14位西村淳也
気に食わない騎手でしたが、ローカルで勝ちまくって中央四場に意気揚々と進出して返り討ちにあい、その後、もがいてもがいてやっと自分の位置を確保した印象です。勝利数、勝率、連対率、3着内率がキャリアハイを更新、重賞も勝てましたし、順風満帆とは言いませんが5年目としては十分でしょう。2023年は福永が抜けた穴をどれだけ奪えるか、注目です。

16位田辺、22位池添、26位岩田父、27位浜中
この4人は重賞で活躍したベテランですね。最高勝利数は松山に譲ったものの、川田と並ぶ2位タイとなる8勝を挙げた岩田父、4位の池添は7勝、6位タイには5勝で田辺と浜中が入りました。調子が悪いとはいえルメールと同数ですからねぇ。大したもんです。

池添はメイケイエール、岩田父はダイアトニック、田辺はアスクビクターモアがいましたが、浜中は5勝全てが違う馬です。中身を見てみると面白いことが分かります。重賞成績はこんな感じです。

田辺  5-2-2-29(内人気馬2-1-0-7)勝率0.131、3着内率0.236
池添  7-1-2-42(内人気馬5-1-1-8)勝率0.134、3着内率0.192
岩田父 8-2-2-30(内人気馬2-0-0-0)勝率0.190、3着内率0.285
浜中  5-3-4-22(内人気馬3-2-4-1)勝率0.147、3着内率0.352

岩田父は人気馬に全く乗っていないのにこの成績は素直にスゴイと思いますし、勝負強さが目立ちますね。池添は人気馬でしっかり結果を出しており、大レースに強いという評判そのままです。そして浜中は3着内率が優秀、つまり馬券に良く絡んでおり、それが人気馬になると馬券圏外はスプリンターズSのナムラクレア5着のみとなります。1~3番人気に乗せたら全て掲示板ってスゴくないですか?10回乗って9回馬券圏内ですよ?めちゃめちゃ信頼できますよね。

こういう騎手がリーディング20位前後をウロウロしているんですから、リーディングなんてアテにならないですねぇ。もちろん、価値がないとは言いませんが、それが重要なのかと言われればそうでもないと言えるでしょう。こうしたミスマッチが無くなる時代が来るのでしょうか・・・



短期免許と日本人&若手騎手の関係

秋競馬に大挙して訪れた短期免許組は、はやり病nの鎖国状態でチャンスを掴んだ日本人騎手にどのような影響を与えたのでしょうか。まず、はやり病が発生した2020年3月以降、2022年の秋競馬開始までに来日した短期免許組は以下のとおりです。

2020年3~5月 ヒューイットソン
2020年4~7月 レーン
2021年12月  Cデムーロ
2022年1月   Cデムーロ
2022年4~6月 レーン
2022年7~8月 ホー

たった6人しかいませんし、内2人は初来日ですね。Cデムーロは合わせて2ヵ月しかいませんし、影響があるのはせいぜいレーンくらいです。では、2020年3月以降の日本人騎手にはどのような影響があったのでしょうか。2022年9月期の記事でこんな事を書きました。

『はやり病が発生した2020年3月以降、初GⅠや重賞を獲った若手やベテランは26人、初重賞は11人、初GⅠは5人、キャリアハイは11人もいる。』

簡単に言えば、短期免許組が来ないために玉突きで騎乗機会を得られた若手やベテラン騎手が重賞を獲り、キャリアハイを更新するケースが多かった、ということです。それは2022年末時点で、下記のようになっています。

・石川 裕紀人 重賞4勝(初GⅠ含む)
・泉谷 楓真  重賞1勝(初重賞)、2021年46勝(キャリアハイ)
・今村 聖奈  重賞1勝(デビュー4ヵ月での初重賞
・岩田 望来  重賞2勝(初重賞含む)
        2021年88勝、2022年103勝(キャリアハイ)
・大野 拓弥  重賞2勝(3年ぶりの重賞勝利含む)
・荻野 極   重賞2勝(初重賞、初GⅠ含む)
・亀田 温心  重賞2勝(初重賞含む)、2020年40勝(キャリアハイ)
・川須 栄彦  重賞1勝(7年振りの重賞勝利)
・国文 優作  重賞1勝(3年ぶりの重賞勝利)
・斎藤 新   重賞3勝(初重賞含む)
・坂井 瑠星  重賞10勝(海外重賞、初GⅠ含む)
        2021年53勝、2022年98勝(それぞれキャリアハイ)
・鮫島 克駿  重賞6勝
        2021年69勝、2022年80勝(それぞれキャリアハイ)
・菅原 明良  重賞4勝(初重賞含む)、2021年75勝(キャリアハイ)
・杉原 誠人  重賞1勝(初重賞
・田中 勝春  重賞1勝(3年振りの重賞勝利)
・丹内 祐次  重賞3勝(4年振りの重賞勝利含む)
        2021年38勝、2022年64勝(キャリアハイ)
・団野 大成  重賞3勝、2020年62勝(キャリアハイ)
・津村 明秀  重賞1勝(3年振りの重賞勝利)
・長岡 禎仁  重賞1勝(初重賞
・西村 淳也  重賞2勝(初重賞含む)、2022年72勝(キャリアハイ)
・菱田 裕二  重賞3勝
・藤井 勘一郎 重賞1勝(初重賞)、2020年16勝(キャリアハイ)
・藤懸 貴志  重賞1勝(初重賞
・松田 大作  重賞2勝(6年振りの重賞勝利)
・松若 風馬  重賞5勝(初GⅠ含む)
・丸田 恭介  重賞2勝(初GⅠ含む)
・幸  英明  重賞5勝(3年振りのGⅠ制覇含む)
        2021年81勝(キャリアハイ) 
・横山 和生  重賞8勝(初GⅠ含む)
        2021年79勝(キャリアハイ) 
・横山 武史  重賞13勝(初重賞、初GⅠ、初関東リーディング含む)
        2020年94勝、2021年104勝、2022年127勝(キャリアハイ)

全部で29人ですね。内訳は、初重賞は13人、初GⅠは7人、キャリアハイは13人、3年以上の間隔を空けた重賞制覇は7人、達成時に若手騎手だったのは13人でした。これを見れば短期免許組がいかに日本人騎手の芽を摘んでいたのか分かると思います。

では本題の短期免許組が来日した後はどうなったかと言えば、短期免許組の活躍が目立ち、勢いがあった日本人騎手はブレーキが掛かった印象が強いですね。そりゃそうです。GⅠは9レース中4勝を盗られ、GⅠでは騎乗馬を盗られ、7人で74勝を稼がれれば、川田や横山武、岩田Jr、坂井瑠星などの上位陣が軒並み勝ち星を減らしたのも当然と言えます。

短期免許組が来襲すれば、リーディング上位の騎乗馬が盗られ、玉突きで中位、下位の騎乗馬が盗られます。それが弱肉強食だと言えば議論を終わらせることはできますが、それでいいのでしょうか。


短期免許制度の改革が必要

そもそも短期免許制度は日本人騎手の技術向上が主な目的です。国際交流がどうとかって話は後付けと言えますし、何より今の短期免許組は国際交流というより単なる傭兵集団です。役に立たない日本人騎手より外国人のトップ騎手を使いたいという関係者側の意向を黙認しているのが現状なんですよ。

これが続けば日本人騎手が育つことが非常に難しいことは明白です。世界でもトップクラスの外国人騎手を相手に、デビュー数年のアンチャンが競って騎乗馬を集めろって無茶ぶりもいいとこですよ。それは弱肉強食と言うのでしょうか。蹂躙って言いません?年間100勝以上も短期免許組に奪われている現状は、『日本人騎手の技術向上』を得るために大きな代償を負ったとは思いませんか?

JRAは若手や女性騎手の減量特典を用意し、若手騎手限定戦を用意しただけでなく、基礎斤量を上げてまで騎手の保護に走っています。それは日本競馬に即した騎手を自組織で育て、将来にわたって継続的に確保するという目的があるからではないでしょうか。組織の継続という観点からすれば当然の思考ですが、それをするなら短期免許制度にもメスを入れなきゃいけません。

私が口を酸っぱくして何度も何度も何度も何度も何度も申し上げているように、短期免許組は1日6鞍、週に10鞍までに制限した方が良いです。もしくは毎週騎乗馬の半分を契約馬主の所有馬および身元引受調教師の管理馬にするといった事実上制限する方法ですね。傭兵としての需要を満たしつつ、日本人騎手の騎乗機会と現在の日本人騎手の勢いを確保するには騎乗制限が最も手軽に行え、かつ現実的な方法でしょう。

また、契約馬主および身元引受調教師は毎年一回のみとか制限が必要ではないでしょうか。2022年秋に来日した面々の契約馬主と身元引受調教師からすれば、おそらく現状でも制限が掛かっているような感じがしますが、吉田某氏は2022年にレーン、ホー、Cデムーロと3人の契約馬主になっていますし、簡単に傭兵化させない方策も必要でしょう。

秋競馬が終わり、短期免許組の来日時と不在時のデータは取れました。それを分析、検証して、日本競馬にとって何が重要なのか、短期免許制度の弊害の有無やその改善を早急にしてもらい、互いにデメリットの無い制度になればいいですね。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?