”日本品質”を忘れないで
こんにちは。ぼーんぐんです。
最近ニュースで大型車両の左側後輪脱落事故についての情報をよく耳にします。
1メートルを超える大型のタイヤが、突然歩道を乗り越えて向かってきたならば、忍者のように身をかわすことがあなたは出来るでしょうか。
私には到底自信がありません。
交通ルールを守り歩道を普通に歩いていて、まさかタイヤが自分に向かって転がってくるなんて誰しも予想はしないですよね。
しかし事実そのような重大事故が発生しているのです。
「怖いですね」
事故には共通点があります。大型車両のタイヤの脱輪は決まって左側なんです。原因は何なのでしょうか。
調べてみますと左側後輪は、車両の左折時に大きな負荷かかるようです。タイヤの捩れがあって、その際についた筋がはっきり見てとれます。
しかしそれなら昔から同じような事故があったはず。でも、ここ十年で右肩上がりに事故が増えているのです。
車の関係者によると、浮かび上がるもう一つの要因があるようです。
それは規格の変更。
タイヤを車体に取り付ける締め付けボルトの規格が10年前に見直されたんです。
それまでの基準はJIS規格。日本の安全基準に従って決められたルールがあったのです。それによると左右にタイヤの取り組けには異なった締め付けボルトが使われていました。
左右のタイヤは回転方向が真逆です。ですから緩みやすさに違いが出ます。そのため左右のタイヤの締め付けボルトには工夫があって遠心力で緩みにくいネジが採用されていました。
しかしこの基準を10年前に国際基準であるISO規格に変更しました。ISO規格は全てのタイヤで同じ締め付けボルトを利用しています。これにより片側(左側)のボルトが緩みやすくなってしまったんですね。また2本のタイヤを1本のボルトで締め付ける仕組みですから1本外れると2本が脱落するのです。
これも従来のJIS規格ではタイヤごとにボルトで締め付けていたので仮に1本はずれても2本同時ではないのです。
こういった最近の度重なる脱輪事故と規格変更の因果関係を国土交通省は調査するとしていますが、明らかに規格変更後から増えている事実を見ますと影響があるように思います。
JIS規格からISO規格への変更は、全車一斉ではなく新規の車の購入など新しいものから順次採用されていくため、今後もリスクは年々増加していくことになります。
点検担当者によりますと、規格の変更により締め付けボルトの左右が統一されることから、点検作業自体はJIS規格より容易になると言います。また、海外への車の輸出の観点からも、ISO規格への統一は国際競争力に不利にならないとしています。
しかしこれが規格変更の背景であったのならば、その判断は如何なものでしょうか。
本来安全が最優先であるべき車に、「自社の作業の効率化の追求」や「国際競争力アップによる自社の利益追求」であって良いとは言えません。
外国企業など、仮にお取引先からの規格変更要求があったとしても、安全性が落ちることのないように日本ならではの工夫をしてもらいたいものです。
例えば、締め付けボルトの緩みを検知してセンサーで異常を知らせたり、エンジンが掛からなくする手立ても今の技術をもってすれば実現出来るでしょう。
いずれにせよ早急な原因調査と対策が望まれますね。
振り返り私たちの職場ではどうでしょうか。自社都合の効率化で、大切な”コト”が疎かになっていませんか。
手間がかかり、コストに目が行きがちな点検作業や品質管理。本当の差別化といえる”日本品質”を忘れないようにしたいものです。
自社の売上利益の追求の先に待っているのは市場からの退場しかありません。そのような危機感をもって初心を忘れず対応したいものです。
みなさんは如何お考えでしょうか。