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リモートワークと108分の洗濯機
マルタの洗濯機、主張が激しい。
リビングのキッチン下に利口に収まっているのに、回るたびに存在感を爆発させる。
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洗い始めると歯医者で治療しているみたいな音がするし、
脱水になるとほぼ電車と同じだ。
それでいて仕事は遅い。最短で108分かかる。
サッカーの試合時間ずっと騒音。洗濯機に対して文句が出てくる。
半年ほど前
Bolt(タクシー)に乗ったとき、運転手が聞いてきた。
「どこから来たの?」
「日本です」
と答えると、彼は「テクノロジーの国だね」と感心したように言った。
そのときは「まあ、そうかもね」と適当に流したが、
最近この洗濯機を見ながら、彼の言葉を思い出す。
日本の洗濯機って静かで早い。
実家の最新型は洗剤を勝手に入れてくれるし、おしゃべりまでしてくる。
先日
洗濯機を回したままオンライン会議に出たとき。
「誰か、スムージー作ってる?」
って言われた。
「ごめん、それ私の洗濯機。」
さっと、隣の寝室に移動。
けれど洗濯機の騒音は壁をも超え、相変わらずスムージーの音が漏れているらしい。
心の中で謝りながら、静かにミュートにした。
ミュートにしながら会議に参加していると、ふと思った。
これって人間性が出るな、と。
例えば、
発言のたびにマイクをオンにする几帳面な人。
発言量が普段の倍になる積極派。
ミュートは外さず、ひたすら大きく頷く表現派。
何も変わらない自然体の人。
私はたぶん、表現派。
表情と動きで「聞いてます」をアピールをしておきたいタイプ。
結論
最終的に、私は会議中の洗濯機稼働をやめた。
誰かに迷惑をかけるくらいなら、洗濯は夜か休日にすればいい。
でも、このストレスフルの騒音がなかったら、
オンライン会議中の人を観察したり、反省したりする時間はなかったかもしれない。
洗濯機が新しい視点をくれたと捉えると、この洗濯機を少しは愛でようと思う。
まあ、108分はやはり長いが。
日本の洗濯機ってすごいな。