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今週の全米No.1アルバム事情 #74 - 2021/4/10付

いよいよMLBも開幕、大谷選手も投打の二刀流でいきなり華々しいシーズンデビューを果たしましたが、いまのところ先発した5人の日本人投手はそれぞれ好投するも勝ち星付かずという状況(今日やっと前田投手に勝ちが付きました。おめでとう!)。我がNYメッツも開幕シリーズが相手チームのコロナ感染で中止になってやっと先週末で開幕と、コロナ明けのフルシーズンはゆっくりスタートした感じ。早く日本投手の勝星ニュースをもっと聴いて、いろいろもやもやした気分をスカッとさせたいもの。あ、それからこの全米No.1アルバム事情のポッドキャスト、今週も先ほど配信しましたので是非聴いて下さい。

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さて今週末のBillboard 200のトップ10、今週は久しぶりに初登場も多くて賑やかなチャートになりました。そのトップで1位に130,000ポイント(実売4,000枚)という先週のジャスティン・ビーバーと遜色ないポイント数で初登場してきたのは、フロリダ出身のラッパー、ロッド・ウェイヴが3枚目のフルアルバム『SoulFly』で自身初の全米No.1アルバムを達成。「Heart On Ice」(2019年全米25位)のスマッシュヒットでブレイクし、前作『Pray 4 Love』が去年の今頃いきなりアルバムチャート2位初登場を決めていた流れそのままに、今回はしっかりポイントも稼いで、デラックス・バージョンをリリースしたジャスティンの勢いも何のその(ジャスティンは2位で100,000ポイントでした)、余裕のトップを極めたわけです。そのポッチャリアンコ型の体型が愛嬌あって、トラップビートにポップでR&Bなフロウを乗っけてフィールグッドなラップを聴かせる彼の魅力が今回のアルバムでも炸裂。今週は強力な対抗リリースもなかったのが最高の結果に繋がってよかったよかった。

ヒット中のシングル「Street Runner」(今週32位→16位急上昇)もチキチキのトラップビートに、メロウなピアノのオブリガートが寄り添う中、ロッドが愛する人たちへのメッセージをラップするという、癒やしの魅力たっぷりのトラック。コロナのこの時代に多分求められてるタイプのラッパーなんだろうなあと思いますね。あともう一曲、こちらは何と82位→11位と大躍進の「Tombstone」も同様のエモ系ラップ・チューンです。

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3位に86,000ポイント(実売58,000枚と力強い売上)で初登場してきたのは、ミシガン州出身の白人クリスチャン・ラッパーのNFことネイサン・ファイアーシュタインの初のミックステープになる『Clouds (The Mixtape)』。さっきのロッド・ウェイヴ同様、エモでスピリチュアルなメッセージをラップしてるんですが、そのスタイルは彼が大きく影響を受けたというエミネムにそっくり。まあ、エミネムよりはやや当たりは柔らかですが、なかなかパンチもあって、英語がわからなくてもなかなか聴き応えがあります。

事実ここ最近2作のフルアルバム『Perception』(2017)と『The Search』(2019)は共にBillboard 200初登場1位を決めてますから、確固たるファン層を持ってるんだろうなあというのはよく判ります。ミックステープじゃなくて正規のアルバムだったらもう少しポイントを伸ばして1位もあったかもしれませんね。

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続いて4位に初登場してきたのは、先週ちょっと名前を出したキャリー・アンダーウッドのゴスペル・アルバム『My Savior』。73,000ポイント(実売68,000枚で今週の売上ナンバーワンです)となかなかのポイント数なんですが、ちょうどリリース日の3/26にはNBCの国民的朝番『Today』に出演してパフォーマンスしたという、プロモーション活動の割にはキャリーにしては控えめのポイントなのはやはりゴスペル・アルバムという特定の層をターゲットにした作品だからでしょうか。前回のクリスマス・アルバム『My Gift』(2020)も5位止まりだったし、デビュー以来5作連続1位か2位というキャリーにとって、企画ものとかこういうスペシャルテーマ系の作品だと、メインストリームアピールをやや損なう部分もあるんでしょうかね。

でもクリスマス・アルバムもしかり、ゴスペル・アルバムもしかり、いずれもカントリーの大御所アーティスト達は必ずこういう作品を出しますので、そういう意味ではキャリーの大御所感はぐっと増して来てる感じはあります。2008年にグランド・オール・オプリーのメンバーになってもう早13年ですからね、今や間違いなく大御所ですね。ちなみに彼女、来週のBillboard 200チャート集計期間になるこの間のイースター・サンデーにはそのナッシュヴィルの伝統あるライマン音楽堂でこのアルバムのバーチャル・ライブをストリーミングでやったらしいですから、来週は場合によってはポイントを伸ばしてるかもしれませんね。

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ザ・ウィークンドの『The Highlights』がまたまた例の2曲のストリーミング・ポイントを『After Hours』から分捕って(この辺の裏話はここ1ヶ月ほどのこの記事をご覧下さい)圏外15位から6位に復活していますが、次の初登場アルバムは、8位に36,000 ポイント(実売4,000枚)で飛び込んできた、ヤング・ドルフキー・グロックのメンフィス出身のいとこ同士のラッパー・デュオによるコラボアルバム第2弾『Dum And Dummer 2』。彼らは2019年にコラボ1作目の『Dum And Dummer』でも同じ8位を記録してます。

一昨年亡くなったジュースWRLDの従兄弟だというヤング・ドルフ(本名:アドルフ・ロバート・ソーントンJr.)は、両親がクラック(煙草に仕込んで吸うコカインの一種)をやってたり、自分もドライブ・バイ・シューティングで死にそうになったりしたのがラップを始めたきっかけだという、なかなか殺伐系の奴で(その後も2017年にまた撃たれて死にそうになってます)、キー・グロック(本名:マーキーヴィアス・ラシャン・ケイシー)はその舎弟。二人でなかなかクールなハードボイルド・ラップを展開してて、まあ今時のサザン・ラップの中では実力派なんで根強い人気もあるんですね。年寄りにはちょっと辛いですが、サウンドはなかなかクールです。

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そして今週5枚目の初登場は、10位に32,000ポイント(実売13,000枚)で登場した、NY出身のメット3兄弟NYメッツファンかしら?w)によるロックバンド、AJRの4作目にして前作『Neotheater』(2019年8位)に続くトップ10アルバムとなった『OK Orchestra』(おいおい、何だか聞いたことあるタイトルやなw)。兄弟3人の名前のイニシャル(アダム、ジャック、ライアン)をグループ名にしたこのAJR、実は昨年8月にHot 100にチャートインしたシングル「Bang!」がスリーパーヒットとなって今年の1月にとうとうトップ10入りする大ヒット(チャートイン36週目で最高位8位を記録、初のトップ40ヒットです)になってたところにドロップされたこのアルバム、リリースタイミング抜群ですな。

ちょっと大人しいパニック・アット・ザ・ディスコ!的な味わいのあるこの「Bang!」、なかなかキャッチーではありますが、正直何でここまで大ヒットになったかはよく判りません。

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ということで久々に賑やかなトップ10でしたが、圏外もなかなか賑やかで、11位にはエヴァネッセンスの4年ぶりの新作『The Bitter Truth』、20位には最近のラテン勢の勢いにのって存在感を増してるコロンビア出身のキャロルGの『KG0516』、22位には「Mood」のサプライズヒットでリル・ナズX状態(そういやリル・ナズXの新曲、今週英米で初登場1位ですね)の24kゴールデンの『El Dorado』と、圏外上位に初登場が目白押しになってます。では今週のトップ10のおさらいです(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

*1 (-) (1) SoulFly - Rod Wave
2 (1) (2) Justice - Justin Bieber
*3 (-) (1) Clouds (The Mixtape) - NF
*4 (-) (1) Savior - Carrie Underwood

5 (3) (12) Dangerous: The Double Album - Morgan Wallen
*6 (15) (8) The Highlights - The Weeknd
7 (4) (39) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
*8 (-) (1) Dum And Dummer 2 - Young Dolph & Key Glock
9 (5) (52) Future Nostalgia ▲ - Dua Lipa
*10 (-) (1) OK Orchestra - AJR

さて来週の1位予想です。集計対象期間は4/2-8ですが、期間中リリースの作品で目に付くのは、デミ・ロヴァートの、例のドラッグOD事件後初のアルバムとなる4年ぶりの新作。今回プロモーションもかなり力入れてるみたいなので、まあ大きな対抗馬もない中、これが来週は来るでしょうね。ではまた来週。

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