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今週の全米アルバムチャート事情 #97- 2021/9/18付

自民党の総裁選に石破さんが出馬しないことが決定して、これで個人的にはどーでもよくなったんだけど、アベシにすり寄る岸田アベシよりタチの悪いタカ派右翼の高市だけには総裁になって欲しくないですな。ただこれも次の衆院選で政権交代が実現すれば関係ないんだけどそれもまだまだ不確実性高いのが厳しいところ。みなさん、やっぱり次の国政選挙はちゃんと参加して国民の権利を行使しましょうね

ということで今週もお送りする「全米アルバムチャート事情!」。今週も連動ポッドキャスト、先ほど配信してますので、上記のリンクでお楽しみ下さい。ポッドキャストのみのコンテンツもありますので。

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さて今週9/18付のBillboard 200全米アルバムチャートの1位、先週予想通りドレイクの『Certified Lover Boy』ではあるんですが、これがまた笑いがでるくらい超ブッチギリの613,000ポイント(うち実売46,000枚、全てデジタルオンリー)という、先週今年最高ポイントを記録したカニエの倍以上のポイントで、2021年は当然最高ポイント、最近では2020年8月8日付の、テイラーFolklore』の初週の846,000ポイント以来の最高ポイントを叩き出してます。

そしてヒップホップだし、まだフィジカルはリリースされてないということもあり(CDは10/1リリースらしいです)、この613,000ポイントのうち実に562,000ポイントがストリーミング。これはオンデマンドストリーング実に7.43億回相当というからもう次元が違う感じ。この規模のストリーミング・ポイントというのも、ドレイク自身の前作『Scorpion』が2018年7月14日付で記録した7.45億回以来の高さで、2015年以降自分が確認した範囲で5億回以上の週間ストリーミングを記録したのはこの2回だけなので、ドレイクはもう違う世界のゲームを展開している感じです。そして既にあちこちで言われてますが、今週このアルバムからの曲が、あのライト・セッド・フレッドのサビを歌い直してる1位の「Way 2 Sexy」をはじめ、Hot 100上位5位を初登場で独占、トップ10も6位のキッドLAROIStay」以外の9曲は全てドレイクという凄まじいことになってます。

で、今回の内容ですが、ここ数年の『Views』(2016)から『Scorpion』にかけての流れをそのまま延長したスタイルで、特に尖ったことも、セルアウトするようなこともしてないし、ドレイクはいつものように淡々とラップし、時々歌って、トラックもどちらかというとチルな感じのものが多い、というまあドレイクファンには安心して聴ける内容。メディアの評価もそれを反映してか、メタクリティックで61点と決して高くはないですが、まあ言ってみればビートルズが『サージェント・ペッパーズ』やホワイト・アルバム出した後の『Let It Be』、みたいな位置付けと評価なのかなと。凄くはないけど悪くない、みたいな。それでもこれだけの実績を叩き出すあたり、もうヒップホップ・ジャンルを超えて21世紀の代表的アーティストとしてのステイタスを盤石にしてますね。UKアルバムチャートでも今週1位初登場です。

今回はゲスト陣も無難なところを揃えてます。リル・ダークと新進気鋭のR&Bボーカリスト、ギヴィオンを配した「In The Bible」、カニエにも客演してたジェイZと掛け合う「Love All」、トラヴィス・スコットをフィーチャーした「Fair Trade」あたりは話題を集めるところでしょう。いやしかしこのドレイクこそ、モーガン・ウォレンの2021年初登場から連続1位記録(10週)を塗り替える可能性高いですね。しばらくはこの記事の冒頭画面もドレイクになりそうです。

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ドレイクの1位は全く驚かなかったけど、今週ちょっとビックリしたのは何とアイアン・メイデンの新作の3位初登場!彼らの17作目にして、6年ぶりの新作となったその名も『Senjutsu(戦術)』が64,000ポイント(うち実売が61,000枚で今週のアルバムセールス1位!)で3位と、彼らにとってBB200上最大のヒットアルバムになりました(従来は前2作の『The Final Frontier』と『The Book of Souls』の4位が最高)。

UKアルバムチャートでも1位のドレイクに次いで2位初登場、これは判るんですが、今週のチャートに入ってくるのは知ってたけどこんな上とは思わなかったからちょっとビックリしてます。まあ前2作が4位だから全くの意外でもないわけなんですが、今回メディアの評価もかなり高いんですよね。メタクリティックなんて86点付けてるし。しかし何で今回「戦術」なのか不明で、ジャケなんかもお馴染みのキャラ、エディ君が日本の鎧を着て日本刀構えてるってむっちゃ色モン(笑)。まあ来日回数も多いし、日本のメタルファンには絶大な人気なのでオマージュということでしょうかね。久しぶりに聴いた内容的には80年代のあの機関銃のようなメタルからすっかり円熟した叙情性が前面に出たスタイルになっていて、なかなか時代を感じました。

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そして今週トップ10初登場もう1枚は、先週の予想で名前を出していたイマジン・ドラゴンズの3年ぶりの新作『Mercury - Act 1』が31,000ポイント(実売17,000枚)で9位に初登場。これで彼らはデビュー以来5作連続トップ10(UKでも同様、今週7位初登場)を達成したわけですが、これまでは出せば必ず1位か2位だっただけに、まあドレイクの週なので1位は無理としてもこの順位というのは、デビュー10年目にしてメインストリーム・ロック・バンドとしての相対的地位低下を感じますね。

とはいえ、リーダーのダン・レイノルズによると、コロナ時代を反映してか、様々な喪失と孤独と悲しみをテーマにしながら、最終的には人生や生きることを祝福する内容だという今回のアルバムは、エグゼクティブ・プロデューサーとして参加した大御所プロデューサーのリック・ルービンの「君らのファン達は君らと同様この10年で成熟して年を重ねているから、昔を再現しようとか、現実の苦しみを表面的に取り繕ったりしないで、ありのままの曲を書いた方がいい」というプロデュースに負うところが大きかったとのこと。確かに全体聴いて見ると、従来からの彼らの重々しくエモーショナルなスタイルはそのままに、全体的に成熟した感じを受けます。

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ということで今週のトップ10初登場は3枚。そしてその3枚がいずれもそれなりに重量級ではあったのに対して、今週のトップ10圏外100位までの初登場も3作なんですがいずれもやや地味めの作品。まず13位という高順位に初登場してきたのは、南部はメンフィス出身の若手ラッパー、ビッグ30(本名:ロドニー・ラモント・ライトJr.)の初のチャートイン作となったミックステープ『King Of Killbranch』。

彼は今年、最近同じメンフィスのラップ・シーンの顔になってきてるマニーバッグ・ヨの「Go」(最高位52位)にフィーチャーされたのがブレイクのきっかけとなったのと、今年2月にBB200に『Shiesty Season』が3位初登場してブレイクしたプー・シースティともマブダチらしく、メンフィス・ラップ・シーンで売り出し中の新人というのが今回の人気の理由みたい。内容はごくごく普通のトラップですね。やたら「Brrrr(ブルルル)」というのを連発するのがややウザいかな

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ぐーっと下がって66位初登場は、レディ・ガガの前作『Chromatica』のリミックス・アルバム、『Dawn Of Chromatica』。ガガがリミックス・アルバムを出すのは、あの大ヒットアルバム『Born This Way』(2011年2週1位)のリミックスアルバム『Born This Way: The Remix』以来10年ぶりですが、前回はゼッドとかフォスター・ザ・ピープルといったメインストリーム・アーティストによるリミックスが多かったのに対し、今回はもう少しコアで今時な連中のリミックスが多い感じ。

中でも耳を引いたのは、昨年エキセントリックなダンスビートアルバム『Kick I』で評価を集めたバイセクシャルDJのアーカによるアリアナとの「Rain On Me」のリミックスと、日本生まれロンドン育ちでその80〜90年代ダンクラ・オマージュ的作風がいいリナ・サワヤマのリミックスによる「Free Woman」ですかね。全社はアーカのあのエキセントリックな印象とはかなり違うけどやはり個性あるエレクトロな音像を再構築してるのが凄いし、後者はリナのスタイルの期待通りの90年代マドンナっぽいアレンジがなかなか気持ちのいいリミックス。今はクラブはシャットダウンしてますが、営業してれば結構このアルバム、重宝されたんだろうなあ。

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そして今週100位までの最後の初登場は、昨年末にバッド・バニーの大ヒット「Dakiti」(Hot 100 5位)にフィーチャーされて、今年3月のグラミーのこの曲のパフォーマンスでも登場していたジェイ・コーテスのセカンド・アルバムになる『Timelezz』が70位に初登場。やはり「Dakiti」とグラミー効果か、前作デビューアルバム『Famouz』(しかしこの人sの代わりにz使うの好きね)の164位から一気にギアアップしてきましたね。

彼はプエルトリコですが、いわゆるレガトン系というよりも、ラテンR&Bポップ系のシンガーソングライター。今時の音響系の音作りでラテン版クリス・ブラウンっぽいスタイルでなかなかです。ところでこのアルバムに「Tokyo」って曲が入ってるんですが、最近「Yonaguni(与那国)」(Hot 100 10位)のヒットを飛ばしたバッド・バニーの影響なんでしょうかね。

ということで今週の100位までの初登場のご紹介でした。ここでいつものようにトップ10のおさらいです(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

*1 (-) (1) Certified Lover Boy - Drake
2 (1) (2) Donda - Kanye West
*3 (-) (1) Senjutsu - Iron Maiden
4 (3) (16) Sour ▲ - Olivia Rodrigo
5 (4) (11) Planet Her - Doja Cat
6 (6) (35) Dangerous: The Double Album ▲ - Morgan Wallen
7 (7) (6) Happier Than Ever - Billie Eilish
8 (5) (59) F*ck Love ● - The Kid LAROI
*9 (-) (1) Mercury - Act 1 - Imagine Dragons
10 (8) (24) SoulFly - Rod Wave

さて今週の「全米アルバムチャート事情!」いかがでしたか。最後に恒例の来週1位予想ですが、これはもう間違いなくドレイク2週目1位です(きっぱり)。何せ今週のポイントが半減しても30万ポイントあるんですからそれでも多分ぶっちぎりですね。

その他対象期間の9/10-16リリースの作品でトップ10に来そうなのは、世が世なら1位も狙えただろうケイシー・マスグレイヴスグラミー受賞アルバムに次ぐ5枚目とJバルヴィンくらいかな。今週はあのメタリカの『ブラック・アルバム』のトリビュート集(アレッシア・カーラとかリナ・サワヤマウィーザーら6アーティストが「Enter Sandman」をそれぞれ別バージョンでやってる!)とかまだやってたんか!というアンドリューW.K.セイント・エティエンヌなんていう面白そうな作品もいろいろ出てるんですけどね。ではまた来週。

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