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今週の全米No.1アルバム事情 #77 - 2021/5/1付

いよいよステイホームのゴールデンウィークが始まりましたね。この間のアカデミー賞(ちなみに最後の主演男優賞の結果には呆気に取られてしまいましたが)で参加者がマスクしてなかったのは、全員ワクチン2回接種➕PCR検査パスが参加要件だったからのようです。普通に考えられるそういう対策を取ればライブやイベントもやりようがあるはずなのに、〇〇の一つ覚えのように時短や酒類提供制限など飲食イジメとしか思えないことを繰り返す政府に最近言葉もありません。飲食の皆さんのご苦労いかばかりかと思いますが、我々はゆっくり自宅付近で過ごすことで皆さんのご苦労を尊重するしかないですね。GWはゆっくり音楽を楽しみ、この記事のポッドキャスト版などお聴きになりながらゆっくり過ごして下さい。リンクはこちら↓。

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さて5月1日付Billboard 200チャートの1位ですが、何と今週も余裕で1位キープすると思われたテイラーの『Fearless (Taylor’s Version)』、今週ポイント80%減と思いの外大幅なポイントダウンで2位に沈み、変わって113,000ポイント(実売6,000枚)で穴馬的に1位に初登場してきたのは、自分は全くノーマークだった、ラッパーのヤング・サグ主宰のYSL(Young Stoner Life)レーベルのコンピレーション・アルバム『Slime Language 2』でした。全曲がYSLレーベル所属アーティスト集団である、Young Stoner Life名義ですが、前23曲中、13曲にレーベル主宰者であるヤング・サグがフィーチャー、また7曲にはもう一人のYSLのメジャー・アーティスト、ガンナ(ちょうど去年の今頃、2作目の『Wunna』がBillboard 200の1位に初登場してました)がフィーチャーされているという構成。

実はうちのヒップホップ・ヘッズの息子がこのアルバム、先週あたり絶賛してましたので、ヒップホップ・ファンの間では相当事前に話題になってたようですね。YSL軍団以外の参加ゲストもドレイク、トラヴィス・スコット、リル・ベイビー、リル・ウジ・ヴァート、フィーチャーなどなど、メジャーどころが勢揃いの豪華な内容で、この作品の1位を予測できなかったのは自分の不徳の致すところでした。このコンピ、タイトルの通りシリーズ2作目で、最初の『Slime Language』は今回ほどゲストが豪華でなかったのに2018年に8位初登場してますからね。今回のコンピでもサウンドもなかなかキャッチーで、これはティーンエイジャーのヒップホップ・ファンは飛びつくでしょうね。

そして先程お伝えしたようにテイラーの『Fearless (Taylor’s Version)』は80%ポイント減の57,000ポイントで今週は2位。ポイント減が60%減だったら、ギリギリ1位をキープ出来てた計算になりますから、YSL軍団、ラッキーだったと言えるかも

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そして1位を脅かすかも、と先週言っていたカントリーのベテランで、エリック・チャーチの7作目になる『Heart』が49,000ポイント(実売40,000枚で今週の売上トップ)は5位初登場。エリックはレコード・デビューは2006年ですが、2011年初のカントリー・チャート1位になった「Drink In My Hand」が同時にクロスオーバー・ヒットとなって全米40位を記録。続いてロック・ファンにもその名を知らしめた、ブルース・スプリングスティーンへのオマージュ曲「Springsteen」が大ヒット(カントリー1位、全米19位)に。その2曲を含むアルバム『Chief』(2011)と次の『The Outsiders』(2014)が連続して見事Billboard 200でナンバーワンを達成してその地位を確立した、割と地味目ながらシーンでの存在感はしっかりと持った正当派カントリー・シンガーです。

実は4/16にリリースされたこの『Heart』、今回3枚立て続けにリリースされるアルバムの最初の1枚で、この後4/20にエリックのファンクラブ(チャーチ・クワイア、つまり教会合唱団というらしいです)のみが購入できるヴァイナルのみリリースの『』、そして来週のBillboard 200チャート集計期間になる4/23にリリースされた『Soul』と合わせて、最終的には『Heart & Soul』というアルバムになるという(笑)何だかややこしいリリース形態になった作品。

となると、来週のチャートで『Soul』のポイントが加算されることになるわけで、ひょっとすると来週順位上昇する可能性も。いやいやいろんなプロモーションのやり方があるものです。なお先行シングルは先日のグラミー賞最優秀カントリーソロ部門にノミネートされていた「Stick That In Your Counry Song」(2020年92位)。今週Hot 100で41位に上昇している「Hell Of A View」は来週チャートイン対象の『Soul』収録です。

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そして今週もう1枚のトップ10内初登場は、これも先週の1位予想で名前を上げていたグレタ・ヴァン・フリート。彼らのセカンド・アルバムになる『The Battle At Garden’s Gate』が44,000ポイント(実売39,000枚)が7位に初登場です。60年代後半デビュー直後のツェッペリンを彷彿とするような鮮烈なデビューを前作で果たした彼ら、今回のアルバムは一部賛否両論あるようですが、シングルの「My Way, Soon」そして「Heat Above」を聴いた限りでは、前作の60年代後半ツェッペリン・ロックのスタイルから、今回は70年代初期のクラプトンフェイセズといった連中のアメリカ南部のスワンプ・テイストを持ったロック的グルーヴにシフトしていて、かつボーカルのジョッシュのハイトーンは依然異様な存在感を見せていて「70年代初期にレイドバックしてるラッシュ」みたいな(笑)雰囲気に進化しているように思えました。ええ、これ、かなり好きです(爆)

他の曲も聴いて最終評価をしたいと思いますが、彼らのミュージシャンシップは以前高いレベルを維持してると思いますし、2021年の自分のベスト・アルバムランキングに入ってきそうな予感がすごくしてますね。初来日時も見に行って大いに興奮しましたが、これでまたコロナが落ち着き次第来日してくれると嬉しいんですが。

さて今週トップ10圏外の初登場は、アトランタのラップシーンの今や中心人物の一人、グッチ・メインが設立した1017レコーズ・レーベル所属のラッパー、ビッグ・スカーの初アルバム『Big Grim Reaper』が25位、あら懐かしや90年代に一斉を風靡したネオ・パンク・バンド、オフスプリングの9年ぶりの新作『Let The Bad Times Roll』が27位、そして80年代から活動しているというNY州北部バッファロー出身のデス・メタル・バンド、カニバル・コープスの15作目になる『Violence Unimagined』が45位と都合3作。まだまだチャート的には地味ですねえ。ということで今週のトップ10おさらい(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

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*1 (-) (1) Young Stoner Life: Slime Language 2 - Young Thug & Various Artists
2 (1) (2) Fearless (Taylor’s Version) - Taylor Swift
3 (4) (15) Dangerous: The Double Album - Morgan Wallen
4 (3) (5) Justice ● - Justin Bieber
*5 (-) (1) Heart - Eric Church
6 (5) (4) SoulFly - Rod Wave
*7 (-) (1) The Battle At Garden’s Gate - Greta Van Fleet
8 (7) (11) The Highlights - The Weeknd
9 (10) (55) Future Nostalgia ▲ - Dua Lipa
10 (9) (42) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke

さて来週の1位予想です。来週のチャートの集計対象期間は4/23-29ですが、ちょっと混戦模様。というのも、さっきもお伝えしたように、エリック・チャーチの3連作の最終作『Soul』がリリースされて、最初の『Heart』と合体するので下手したらかなりポイントが伸びる可能性があるのと、今週1位の『Slime Language 2』も実はデラックス・バージョンが4/23にドロップされてるのでその勢いで来週も1位をキープする可能性が高いのと、結構いい勝負だと思うんです。それ以外で目立つリリースはメンフィスのラッパー、マネーバッグ・ヨの新譜が目立っていて、彼も前作前々作が4位、3位と来ているので、この2作と1位を争う巴戦になりそうな気がしますがさあいかに。ではまた来週。


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