今週の全米No.1アルバム事情 #42 - 2020/8/29付
ここのところ連日アベシの体調不良、退陣説がメディアを賑わしていますが、もともとその政権能力と国家の舵取りの方針・価値観に大きな疑問のあったアベシなのだから、体調不良なのであれば無理をせずに潔く他の方に首相の座を一刻も早く譲って、自らは治療に専念されれば良いのでは。他の誰がやるにしても(某財務大臣は御免被りたいですが)病のアベシよりは適任。そういうシンプルな話だと思いますが。まあ自分自身のため、日本国民のためにゆっくり休んで下さい。
さて今週末のBillboard 200の1位、先週からポイントを26%落としながらも、テイラーの『folklore』ががっちり4週目の1位をキープ(101,000ポイント、実売46,000枚)。先週のフィジカルCD発売に続いて、今週もそれまではフィジカルバージョンのみ収録だった「The Lakes」を加えたデジタル・デラックス・バージョンがリリースされたのが、大きなポイント減を下支えしたのが大いに効いたようです。
ところで今週の1位は2つの点で特筆もんです。
1.4週連続10万ポイントはヒップホップ以外では今年初
ふつう最近のアルバムのチャートパターンは、発売初週にガーンとポイントを稼いで、2週目以降はドーンとポイントを減らす、というのが普通で、特にストリーミング消費が中心でなかなかポイントが減衰しないヒップホップに比べて、ポップ・ロック系は初週でファンがアルバム購入しちゃうと翌週は大きく落ち込むのがパターンでした。実際今年初週から4週間10万ポイントキープしたのは物故者人気もあったポップ・スモークとジュースWRLDの遺作2枚のみ。なので、ポップ・ロック系としては今年初の快挙ということになります。ちなみにこのテイラーの『folklore』は、ザ・ナショナルのアーロンとやってるからか、オルタナティブ・アルバム・チャートでも4週連続1位をキープしてます。
2.女性ソロシンガーとしてデビューから4週連続1位はアデル以来5年ぶり
最後に女性ソロシンガーが4週連続10万ポイントをマークしたのは、2015年のアデル『25』以来。この時アデルは2015/12/12付で348万ポイントで初登場1位してから7週連続1位をマーク。テイラーはこれまで初週から3週連続1位は『Red』(2012年、トータル7週1位)『1989』(2014年、トータル11週1位)『Reputation』(2017年、トータル4週1位)と3枚ありますが、初週から4週連続1位は今回が初めての快挙です。
となると5週目1位はあるのか?ということですが、これについては後ほど。
今週は先週と打って変わってトップ10は静かで、初登場は4位に65,000ポイント(実売32,000枚)で初登場した、メンフィス出身のラッパー、ヤング・ドルフ(本名:アドルフ・ソーントンJr.)の『Rich Slave』のみ。現在35歳という最近のラッパーにしてはあまり若くないヤング・ドルフ、これがもう7枚目のアルバムで、トップ10は昨年8位に入った『Dum And Dummer』以来の2枚目です。過去に2度、銃撃の対象になって死にかけてるというなかなかギャングスタな奴なのですが、一方であのジュースWRLDの従兄弟にあたるそうで、何となく死の影も漂ってますねえ。ニプシーやポップ・スモークに続かないように頑張って欲しいもんです。
この人、2016年のアルバム『King Of Memphis』でデビュー当時、既にHot 100の方ではO.T.ジェナシスのヒット曲「Cut It」(2016年全米35位)にフィーチャーされて初トップ40ヒットを決めてますがその後は2017年にグッチ・メインの曲にフィーチャーされた「Stunting Ain’t Nuthin」が95位とカスったくらいなので、どちらかというとアンダーグラウンドな活動でファンを増やしてきたという感じなんでしょうか。ラップのスタイルは今時のトラップとかドリル風味は強くなく、結構オールドスクールなスタイルなので、幅広く人気を集めているのかもしれません。上にPVを上げた「RNB」なんて今旬のミーガン・ザ・スタリオンをフィーチャーしたキャッチーな曲ですし。
ということで今週のトップ10のおさらいです。ポスティとハリー・スタイルズがまたトップ10に返り咲き。テイラーはまだ▲印付かないですね(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。
1 (1) (4) folklore - Taylor Swift
2 (3) (7) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
3 (2) (6) Legends Never Die - Juice WRLD
*4 (-) (1) Rich Slave - Young Dolph
5 (6) (256) Hamilton: An American Musical - Original Broadway Cast ▲6
6 (4) (20) Pray 4 Love - Rod Wave
7 (9) (25) My Turn - Lil Baby ▲
8 (8) (18) Blame It On Baby - DaBaby
9 (11) (50) Hollywood’s Bleeding - Post Malone
10 (12) (36) Fine Line - Harry Styles ▲
さて来週の1位予想ですが、リリース対象期間の8/21-27で目に付いたのは、ナズの新譜と、ティム・マグローの新譜。全然ジャンルは別ですが、いずれも過去最近までリリースすればトップ3には送り込んで来ている二人なので、それぞれ可能性あるかと。ただ最近のストリーミング優勢の状況だとナズに軍配が上がるか。いずれにしてもテイラーの5週目1位は結構厳しそうな状況です。ではまた来週。