今週の全米アルバムチャート事情 #269- 2025/1/4付
皆さん新年明けましておめでとうございます！自分は元旦の朝、自宅近くの公園に初日の出を拝みに行き、初日の太陽のビックリするくらいパワフルな光に大きなパワーをもらって来ました。去年は病気治療の関係でこのブログのポストも時々遅くなりましたが、今年も何とか穴を開けることなく一年走り続けたいと思いますので、改めてご愛読のほどよろしくお願いします！
さて新年最初の全米アルバムチャート、1月4日付のBillboard 200の首位は、やはり先週の予想通り、SZAの『SOS』に既にヒット済みの「Saturn」(2024年6位）を含む15曲を新たに追加した『SOS』超デラックス・バージョンのアルバム『SOS Deluxe: Lana』が、チャート上は『SOS』と同一アルバム扱いになってるみたいで、この『Lana』のリリースで『SOS』が178,000ポイント（うち実売10,000枚）で今週一昨年3月以来、通算11週目の首位に復帰してます。しかし『SOS』は2022年12月リリースのアルバムなんで、今回15曲という丸々新しいアルバムとしてリリースするに充分な作品ボリュームにも関わらず敢えて『SOS』のデラックス・バージョンとしてリリースした意図が今一つよく判りません。SZAはプロデューサーのカーター・ラングと『SOS』のために5年間で100曲以上の曲を書いたというのもあるようですが、今回の『LANA』収録の曲にはその後このために書かれた曲も多いようで、今SZAが人生でもクリエイティブに異様なペースとクオリティでアウトプットしてしまう時期の真っ只中にある、そしてそれが『SOS』リリースからの継続で新たなアルバムとして出すにはちょっと違う、ということなのかもしれません。それにしても同じアルバムで2年以上稼ぐというのも商売としてはなかなかのもんですね（笑）。
追加された15曲の楽曲が、「Saturn」をはじめ、ケンドリック・ラマーの『GNX』収録の「Luther」同様、ケンドリックがラップではなく歌とコーラスでコラボしているメロウな「30 For 30」やアイズレーの「Voyage To Atlantic」をサンプリングした「Kitchen」など、どれもクオリティは高く、かつ『SOS』のあの世界観と全く違和感なく旧来の『SOS』の収録曲と一体感を保って全体一作品的にまとめ上げられているのはさすがと言えます。しかし作品の内容はともかく、『LANA』のジャケに昆虫のコスプレでバーンと登場しているSZA、何で昆虫なんでしょう（笑）。どうもこれは今回のアルバムのテーマらしく、昨年5月のインスタグラムでの今回の『LANA』のリリース発表の時や、6月のロンドンのハイド・パークでのフェスでのライブの時も同様のフルボディの昆虫コスチュームで登場したらしいです。どうもクリエイティブな人のやることはよー判らんことが多いですねｗ
新年初のアルバムチャートは、集計対象期間の関係でクリスマスシーズン最後の週のチャート、ということで今週のトップ10の残り9枚のうち、今週5位→2位に躍進したマイケル・ブブレの『Christmas』を始めとして6枚がクリスマス・アルバムで占められてます。来週はこれが全部きれいに消える予定です。日本も正月でホリデームードなんでまあちょうどいいですかね。そして今週は11位以下100位までの圏外にも初登場はゼロ。年始にある意味ふさわしい潔いチャートになっています（笑）。
潔いと言えばHot 100の方も今週のトップ10は、通算18週目の1位を記録してリル・ナズXの「Old Town Road」の19週に次ぐ、歴代2位に躍進したマライアのあの曲を筆頭にトップ10すべてクリスマス・ソングという潔さ。というか、今週のHot 100、1位から16位までクリスマス・ソングが独占するというおそらく史上初の事態で、クリスマスでなければ今週17位のガガ＋ブルーノの「Die With A Smile」が1位だったはず。さて来週この曲、悲願の1位を達成できますかねえ。ということで今週のトップ10おさらいです（順位、先週順位、チャートイン週数、タイトル、アーティスト、＜総ポイント数／アルバム実売枚数、＊はHits Daily Double調べ＞）。
*1 (15) (107) SOS ▲3 - SZA ＜178,000 pt／10,000枚＞
*2 (5) (125) Christmas ▲6 - Michael Buble ＜100,000 pt／5,107枚＊＞
*3 (6) (8) Ultimate Christmas - Bing Crosby ＜100,000- pt／2,700枚＊＞
*4 (11) (88) The Christmas Song ▲6 - Nat King Cole ＜84,000 pt／3,651枚＊＞
5 (2) (5) GNX - Kendrick Lamar ＜76,000 pt／1,153枚＊＞
*6 (10) (132) Merry Christmas ▲9 - Mariah Carey ＜76,000- pt／6,287枚＊＞
7 (3) (36) The Tortured Poets Department ▲6 - Taylor Swift ＜74,000 pt／51,366枚＊＞
8 (7) (5) Wicked: The Soundtrack - Cynthia Erivo, Ariana Grande & Various Artists ＜71,000 pt／42,488枚＊＞
*9 (16) (45) A Christmas Gift For You From Phil Spector - Various Artists ＜70,000 pt／1,001枚＊＞
*10 (17) (52) Ultimate Christamas - Frank Sinatra ＜63,000 pt／2,815枚＊＞
SZAがほぼ2年ぶりに首位に復帰した新年最初の「全米アルバムチャート事情！」いかがでしたか？最後にいつものように来週首位予想（チャート集計対象期間：12/27～1/2）ですが、例年のこの時期の常として特に目立った新譜リリースもなく、来週はクリスマス・アルバムがこぞって消えてしまうので、消去法的にそしてSZAが大きくストリーミングを下げることもないでしょうから、10万ポイント前後までポイントを下げて来週もSZAが首位をキープしそうですね。ではまた来週。