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今週の全米No.1アルバム事情 #68 - 2021/2/27付

問題発言騒動後ダウンすると思われたのとは裏腹に不可解な実売枚数の毎週の増加でなぜか5週連続1位を記録してきたモーガン・ウォレンの『Dangerous: The Double Album』。先週はザ・ウィークンドのベストや、フー・ファイターズの力強い新譜などを寄せ付けない48%の実売増を糧に5週目の1位をキープ。今週はさすがにポイントも実売も大幅にダウンして93,000ポイント(▲38%)実売10,000枚(▲73%)になったけど、それでもまだ2位のポイント数の倍以上で今週も予想通り1位をキープ、6週目の1位を記録してます。これだけ1位が続くと毎週のこの記事のスプラッシュ画像も何を使えばいいのやら(笑)。

6週連続1位は、昨年のテイラーの『Folklore』(2020/8/8から6週)以来、男性ソロアーティストとしてはドレイクの『Views』(2016/5/21から9週)以来のロングラン1位。更にカントリー・アーティストとしては何と25年ぶりにガース・ブルックスのベスト盤『The Hits』(1995/1/7-2/4の5週、1週空けて2/18-3/4の3週の計8週)以来のロングラン1位となったわけです。来週もブッチギリの強力新譜のリリースが見当たらないので、ポイント減少幅を半分以下に抑えれば、7週目の1位の目もまだありますねえ。もうそろそろいい加減にしてほしいんですがね。

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さて今週はトップ10内初登場はなし。その代わり、チャート集計のあやや、デラックス・バージョンリリースの関係で旧譜がいくつか圏外からトップ10に大きく返り咲いています。その一つが先々週4位→先週37位→今週2位ととんでもない乱高下を見せている、ザ・ウィークンドの『After Hours』(42,000ポイント、実売6,000枚)。何でこんな乱高下になるの?という理由は、先週も触れた「同じ楽曲が2枚以上の異なるアルバムに収録されている場合、当該楽曲のストリーミングポイントは、実売枚数の多い方のアルバムに加算される」というビルボードのチャート集計方法にあるんです。この『After Hours』と先週2位初登場のベスト盤『The Highlights』の両方に収録の「Blinding Lights」「Save Your Tears」のストリーミングポイントは、先週は実売が多かった『The Highlights』のポイントに加算されたために、『After Hours』は一旦大きく圏外に去ったのですが、今週は『After Hours』の実売が『The Highlights』の実売4,000枚を上回ったために、この2曲のストリーミングポイントが『After Hours』に戻ってきて、今週のジャンプアップにつながったというわけ。だからまた来週の実売が少ないと、また『After Hours』が圏外に転落するといういびつなチャートアクションが予想されるわけで、この集計方法、個人的にはいかがなものかと思うんですが。しかしこの仕組み、判りにくいなあ

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その他のトップ10内返り咲き組で、11位から6位に返り咲いたテイラーの『Evermore』は、カセットテープ盤のリリースが一つの要素のようですし、21位から7位に返り咲いたデュア・リパの『Future Nostalgia』は6曲追加のデラックス・バージョンのリリースのおかげですね。新曲「We're Good」の他、彼女がフィーチャーされて最近小ヒットしたJバルヴィンの「Un Dia (One Day)」やマイリーの「Prisoner」なんかも収録されてるようです。ここのところ、強力なリリースがあまりない状況が続いていて、何だか旧譜ばかりが上がったり下がったりと、チャート的にはあんまりパッとしない感じですねえ。

ということでトップ10のおさらい。トップ10圏外では、12位に60年代のブラック・パンサーの大物暗殺事件を描く伝記映画『Judas And The Black Messiah』にインスパイアされた、故ニプシー・ハッスルナスH.E.R.などR&Bヒップホップ・オールスターのアルバム、21位にはフロリダ・ジョージア・ラインの新譜、28位には女性ボーカル、テイラー・モムセンを擁するNYのハードロック・バンド、ザ・プリティ・レックレスの『Death By Rock And Roll』(↓ジャケ、UKでも6位初登場)などが初登場と、久しぶりにちょっと賑やかなチャートになってます(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

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1 (1) (6) Dangerous: The Double Album - Morgan Wallen
*2 (37) (48) After Hours - The Weeknd
3 (5) (9) The Voice - Lil Durk
4 (6) (33) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
5 (4) (2) Shiesty Season - Pooh Shiesty
*6 (11) (10) Evermore - Taylor Swift
*7 (21) (46) Future Nostalgia ● - Dua Lipa
8 (2) (2) The Highlights - The Weeknd
9 (7) (16) Positions - Ariana Grande
10 (8) (32) Legends Never Die - Juice WRLD

さて来週の1位予想。さっきもちょっと触れたように、集計対象期間の2/19〜25リリース作品の中で、来週モーガンを引きずり落としそうなのは、BTSの『BE』のエッセンシャル・エディション(パッケージや同梱グッズ入のスペシャル盤)とか、アリアナPositions』のデラックス・バージョン、あるいはヒップホップ勢代表でトリッピー・レッドの『Pegasus』のデラックス・バージョンと、いずれも旧譜のデラックス盤くらいしか見当たらないですねえ。この中じゃアリアナは今週も9位にいるからこれが可能性としては来週のモーガンの対抗馬最右翼かも。ではまた来週。

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