今週の全米No.1アルバム事情 #58 - 2020/12/19付
アメリカの大統領選の選挙人投票も無事終了、つつがなくジョー・バイデンの大統領選出が確定したようで何よりですな。相変わらずコロナ感染者と死亡者数に歯止めがかからないアメリカも、ファイザーのワクチンも供給開始されたらしいし、これで前向きモードになっていくことを期待したいもんですね。
さて今週末のBillboard 200の1位に飛び込んできたのは、先週の予想通り、ショーン・メンデスの4作目になる『Wonder』(89,000ポイント、実売54,000枚)。ショーンはこれまでデビュー以来3枚のアルバムをすべて初登場1位で送り込んできてますので、これで4連続ということになります。チャーリー・プースあたりと並んで、今のアメリカのメインストリーム・ポップ・シーンを背負って立つ実力派シンガーソングライターなわけですが、それまでもコンスタントにヒットを放ってきたところを、昨年のカミラ・カベロとのデュエット大ヒット「Senorita」の1位で名実ともに大スターになった感じだったので、今回の初登場1位はある意味当然でしょうね。実売を54,000枚も初週で売っているのもさすがです(今週のアルバム・セールスチャートも1位)。
先行シングルで、ジャスティン・ビーバーと共演の「Monster」も先々週8位初登場、もう一曲のシングルでタイトルナンバーの「Wonder」も10月に18位初登場以降チャートを下降してましたが、今週は若干リバウンドしてますので、これからこの2曲がまたHot 100上で上昇傾向になってくるんでしょう。
今週のトップ10内初登場はこのショーン・メンデスだけで、それ以外の動きとしてはトップ10内のクリスマスモードが一気に色濃くなったこと。先週までにトップ10に再登場していたキャリー・アンダーウッドやマイケル・ブブレのアルバムも順調にアップしている一方、今週は圏外から一気に3枚のいずれも既発表のクリスマス・アルバムが再登場してきていて、トップ10中5枚がクリスマス・アルバムという盛り上がりぶりを見せてます。
中でも今週話題なのは、昨年の12月にHot 100登場8回目にしてとうとう1位に昇り詰めてしまった(しかも3週1位!)「All I Want For Christmas Is You」が、今年Hot 100登場9回目で再び1位に返り咲いた、マライアの『Merry Christmas』(38,000ポイント)が先週15位→10位と躍進してきたこと。このアルバム、もともとは1994年10月にリリースされて、その年の年末にBillboard 200に登場、最高位3位を付けたのが今のところの最高ポジション。それ以降毎年上位に再登場して、昨年の2019年シーズンは4位まで昇ってますから、今年またシングルが1位となるとアルバムの方でも1位の可能性、無きにしも非ずかなあ(笑)。
今週再登場のクリスマス・アルバム2枚目は先週の16位→8位に再登場してきた、最近はクリスマス・アルバムしか出してないんじゃないの?って感じのアカペラ5人組、ペンタトニックスの『The Best Of Pentatonix Christmas』(39,000ポイント)。何しろ彼らは2016年にリリースした新作『A Pentatonix Christmas』で翌2017年1月に2週ナンバーワンをマークしてますから、もはやクリスマス定番グループの一つ。こちらの『The Best Of〜』は昨年リリースされて最高位7位をつけていた、それまでのクリスマスアルバム3枚に収録されてた楽曲のいわばクリスマス・ベスト盤なので、この時期は強いですね。彼らは今年もクリスマス・アルバムの新作『We Need A Little Christmas』をリリースしてるんですが、こちらは今週23位上昇中です。
そして今週再登場のクリスマス・アルバム最後は何とオリジナルは1963年リリースのナット・キング・コールの、あの「栗が暖炉の火で弾けてる/霜焼けで君の鼻は真っ赤っか/唱歌隊がクリスマスソングを歌って/道行く人はみなエスキモーみたいな出で立ちだ」と始まり「これまで何度も何度もいろんな言い方で言われてきたけど/君にメリー・クリスマス!」という様々なアーティストがカバーしてきたあの超定番の歌を収録した同名アルバム『The Christmas Song』(42,000ポイント)が先週12位→7位で入ってきてます。
恐らくあの曲1曲のストリーミングやデジタル・ダウンロードが相当貢献してのポイントだと思うので、やっぱりコロナで人の心が内向きなこんな時代にはこういう超定番が心に響くんでしょうねえ。
ということで今週のおさらい。今週は圏外は、33位のホワイト・ストライプスの『Greatest Hits』が初登場しているくらいでほとんど目立つ新譜のエントリーはなし。そんな中でしっかりK-ポップ勢のTWICEの『Eyes Wide Open: The 2nd Full Album』が72位に初登場しているのが目を引きます。やっぱり今年はKポップの躍進が印象深い一年でしたね(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。
*1 (-) (1) Wonder - Shawn Mendes
2 (1) (2) El Ultimo Tour del Mundo - Bad Bunny
3 (4) (6) Positions - Ariana Grande
*4 (6) (88) Christmas - Michael Buble
*5 (9)(11) My Gift - Carrie Underwood
6 (5) (23) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
*7 (12) (54) The Christmas Song ▲6 - Nat King Cole
*8 (16) (16) The Best Of Pentatonix Christmas - Pentatonix
9 (7) (3) Good News - Megan Thee Stallion
*10 (15) (97) Merry Christmas ▲6 - Mariah Carey
さて今年最終週のチャート、来週の1位予想です。対象リリース期間は12/11-17ですが、この期間はアヴァランチーズ、ライアン・アダムス、テラス・マーティンなど僕好みの連中の新譜や、ヒップホップ勢もジャック・ハーロウがかなり強力だとは思うんですが、何といっても『folklore』のリリースの時と同様、突然前日にネットでアナウンスされた、テイラー今年2枚目になる『Evermore』がやっぱり強いでしょうねー。これ、ほぼ反則状態です。ではまた来週。